パートタイム労働法のポイント
1. パートタイム労働者とは
パートタイム労働法の対象である「短時間労働者」は、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に
雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」とされています。
例えば、「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」など、
呼び方は異なっても、この条件に当てはまる労働者であれば、「短時間労働者」としてパートタイム
労働法の対象となります。
2.事業者の責務
事業主は、その雇用するパートタイム労働者について、その就業の実態、通常の労働者との均衡
などを考慮して、適切な労働条件の確保および教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の
改善を図るために必要な措置を講じ、パートタイム労働者がその有する能力を有効に発揮することが
できるように努めなければなりません。
また、事業主の団体は、その構成員である事業主の雇用するパートタイム労働者の雇用管理の改善
に関して、必要な助言、協力その他の援助を行うように努めなければなりません。
3.労働条件の明示
パートタイム労働者を雇い入れたときは、労働基準法により明示が義務付けられている事項に加え、
一定の事項について、速やかに、そのパートタイム労働者に対して、労働時間その他の労働条件に
関する事項を明らかにした文書を交付するようにしてください。
(明示の内容)
@労基法15条の明示義務
労働契約の期間、就業の場所及び従事すべき業務、始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える
労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに交代勤務に関する事項、賃金の決定、計算及び
支払いの方法、賃金の締め切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項、退職に関する事項
その他相対的明示事項
Aパート労働法6条による明示義務
昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無
3.就業規則作成手続き
パートタイム労働者に係る事項について就業規則を作成・変更しようとするときは、その事業所
において雇用するパートタイム労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように
してください。
パートタイム労働指針では、「パートタイム労働者の過半数を代表すると認められるもの」の
考え方などについて規定しています。
「
パートタイム労働指針」
4.「短時間雇用管理者」の選任
パートタイム労働者を10人以上雇用する事業所ごとに、パートタイム労働指針に定める事項
その他の適正な労働条件の確保および雇用管理の改善に関する事項を管理する「短時間雇用管理者」
を選任するようにしてください。
パートタイム労働指針では、「短時間雇用管理者」に期待される業務は以下のようなものとされています。
パートタイム労働指針に定められた事項その他のパートタイム労働者の雇用管理の改善に関して、
事業主の指示に従い必要な措置を検討し、実施すること。
労働条件等に関して、パートタイム労働者の相談に応じること。
「短時間雇用管理者」は、例えば人事労務担当部課長など、事業所の人事労務管理について責任を
有する者を選任することが望ましいとされています
5.待遇の決定についての事業主の説明義務
事業主は、その雇用する短時間労働者から求めがあったときは、その短時間労働者の待遇の決定
に当たり考慮した事項について説明しなければならない。
(説明義務を課せられた事項)
労働条件の文書交付等、就業規則の作成手続き、待遇の差別的取扱い禁止、賃金の決定方法、
教育訓練、福利厚生施設、通常の労働者への転換を推進するための措置