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就業規則・労務管理の行政書士&社会保険労務士 成瀬事務所

TEL. 0565-29-1551

〒473-0902 愛知県豊田市大林町15−8−5

未払い賃金立て替え払い制度UNPAID SALARY

1.未払い賃金の立て替え払い制度の内容
  未払賃金の立替払制度は、企業が「倒産」(注1)したために、賃金が支払われ
  ないまま退職した労働者に対して、その未払賃金の一定範囲について労働者健康
  福祉機構が事業主に代って支払う制度です。
注1 「倒産」とは、企業が次のイ又はロに該当することとなった場合をいいます。
破産手続の開始、特別清算若しくは整理の開始又は再生手続若しくは更生
手続の開始について、裁判所の決定又は命令があった場合
(以下、「破産等」といいます。)
破産等の手続きはとられていないが、事実上、事業活動が停止して、再開
する見込みがなく、かつ、賃金支払能力がないことについて労働基準監督
署長の認定があった場合(この場合は、中小企業のみが対象になります。
以下「事実上の倒産」といいます。)をいいます。
 立替払をしたときは、労働者健康福祉機構は、労働者の承諾を得て労働者が事業主
に対して有する賃金請求権を代位取得します。(民法499条第1項及び第501条
本文)当機構は、代位取得した賃金請求権を、以下のとおり、行使します。
(A) 法律上の倒産事案の場合
裁判所に対して
債権の届出又は債権者名義変更の届出
管財人、管理人又は清算人に対して
賃金債権の代位取得通知又は賃金債権の代位取得通知及び弁済請求
 再生債務者に対して
未払賃金立替払の通知及び賃金債務の弁済請求
(B)  事実上の倒産の場合
事業主に対して、未払賃金立替払の通知及び賃金債務の弁済請求

2.立て替え払いを受けることができる人
     
「立替払を受けることができる人」は、次に掲げる(1)と(2)の要件に
該当する人です。
(1)次の@とAの要件を満たしていること。
@ 労災保険の適用事業で1年以上にわたって事業活動を行ってきた企業
(法人、個人を問いません。)に、「労働者」として雇用されていたこと。
A 企業の倒産に伴い退職し、「未払賃金」(後記V参照)があること
(ただし、未払賃金の総額が2万円未満の場合は、立替払を
 受けられません。)。
(2)次のイ又はロのいずれかに該当すること。
イ 破産等の場合 裁判所に対する破産手続
開始等の申立日
の6か月前の日から2年の間に、当該企業を退職した人であること。
ロ 事実上の倒産の場合 労働基準監督署長に対
する倒産の事実について
の認定申請日
3.立て替え払いの対象となる未払い賃金
  立替払の対象となる「未払賃金」は、退職日の6か月前の日から労働者健康
 福祉機構に対する立替払請求の日の前日までの間に支払期日が到来している
「定期賃金」及び「退職手当」であって、未払となっているものです。

なお、未払賃金総額は、税、社会保険料その他の控除金の控除前の金額です。
   ただし、その他の控除金のうち、毎月の賃金から差し引かれている社宅料、
   会社からの物品購入代金、貸付金返済金等は未払賃金から差し引かれます。

4.立て替え払いされる額
  立替払の額は、「未払賃金総額」の100分の80の額です。ただし、
 立替払の対象となる「未払賃金総額」には下表のとおり退職時の年齢に応じて
 限度額が設けられておりますので、この限度額を超えた場合は、その限度額の
 100分の80となります。
   限度額は次の表のとおり年齢により異なります。

賃金の支払の確保等に関する法律施行令に基づく限度額(平成14年1月1日以降)
退職日における年齢
未払賃金総額の限度額
(参考)立替払の上限額
45歳以上 370万円 296万円
30歳以上45歳未満 220万円 176万円
30歳未満 110万円 88万円
なお、さらにこの制度についてお知りになりたい方は、こちらを参考にして
ください。