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就業規則・労務管理の行政書士&社会保険労務士 成瀬事務所

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名ばかり管理職とはNOMINAL MANAGER

 いま管理職の定義についての解釈が揺れています。残業規制にかからない
 管理職ってどういう立場でしょうか?あなたの職場の管理職は如何でしょう

第66回労働政策審議会労働条件分科会  会議資料より 平成18年10月24日

管理監督者について>

労働基準法(昭和22年法律第49号)(抄)
(時間外、休日及び深夜の割増賃金

37条 (略)
 (略)
使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、
その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合
においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率
で計算した割増賃金を支払わなければならない。
第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で
定める賃金は算入しない。

(労働時間等に関する規定の適用除外

41条 この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の
各号の一に該当する労働者については適用しない。
(略)
事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密
の事務を取り扱う者
(略)

管理監督者の範囲についての解釈例規

[監督又は管理の地位にある者の範囲]

法第41条第2号に定める「監督若しくは管理の地位にある者」とは、一般的には、部長、工場長等
労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称に
とらわれず、実態に即して判断すべきものである。具体的な判断にあたつては、下記の考え方によられたい。

(1)  原則
法に規定する労働時間、休憩、休日等の労働条件は、最低基準を定めたものであるから、この規制
の枠を超えて労働させる場合には、法所定の割増賃金を支払うべきことは、すべての労働者に
共通する基本原則であり、企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の
役付者であればすべてが管理監督者として例外的取扱いが認められるものではないこと。
(2)  適用除外の趣旨
 これらの職制上の役付者のうち、労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動する
ことが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制に
なじまないような立場にある者に限つて管理監督者として法第41条による適用の除外が認められる
趣旨であること。
従つて、その範囲はその限りに、限定しなければならないものであること。
(3)  実態に基づく判断
一般に、企業においては、職務の内容と権限等に応じた地位(以下「職位」という。)と、経験、
能力等に基づく格付(以下「資格」という。)とによつて人事管理が行われている場合があるが、
管理監督者の範囲を決めるに当たつては、かかる資格及び職位の名称にとらわれることなく、
職務内容、責任と権限、勤務態様に着目する必要があること。
(4)  待遇に対する留意
管理監督者であるかの判定に当たつては、上記のほか、賃金等の待遇面についても無視し得ない
ものであること。この場合、定期給与である基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい
待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても
役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等について留意する必要があること。
なお、一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからといつて、実態のない役付者が管理監督者に
含まれるものではないこと。
(5) スタッフ職の取扱い
法制定当時には、あまり見られなかつたいわゆるスタッフ職が、本社の企画、調査等の部門に多く
配置されており、これらスタッフの企業内における処遇の程度によつては、管理監督者と同様に
取扱い、法の規制外においても、これらの者の地位からして特に労働者の保護に欠けるおそれ
がないと考えられ、かつ、法が監督者のほかに、管理者も含めていることに着目して、一定の範囲
の者については、同法第41条第2号該当者に含めて取扱うことが妥当であると考えられること。
(昭和22年9月13日付け発基17号、昭和63年3月14日付け基発150号)


[都市銀行等の場合]

 労基法上の管理監督者の範囲
 取締役等役員を兼務する者
 支店長、事務所長等事業場の長
 本部の部長等で経営者に直属する組織の長
 本部の課又はこれに準ずる組織の長
大規模の支店又は事務所の部、課等の組織の長で一〜四の者と銀行内において同格以上に
位置づけられている者
 一〜四と銀行内において同格以上に位置づけられている者であつて、一〜三の者及び
五のうち一〜三の者と同格以上の位置づけをされている者を補佐し、かつその職務の全部
若しくは相当部分を代行若しくは代決する権限を有するもの(次長、副部長等)
一〜四と銀行内において同格以上に位置づけられている者であつて、経営上の重要事項に
関する企画立案等の業務を担当するもの(スタッフ)
(注)
 (1) 四の本部の課は、部長−次長−課長という一般的な組織における課をいい、課という
名称が用いられていてもこの基準の適用にあたつて適切でない場合には、実態に
即して判定するものとする。
 (2) 課制をとつていない場合等、この基準の適用する職位がないときは、各職位の権限、
責任、資格等により判定するものとする。
(昭和52年2月28日付け基発104号の2)


[都市銀行等以外の金融機関の場合]

金融機関における資格、職位の名称は企業によつてさまざまであるが、取締役、理事等役員を兼務する者
のほか、おおむね、次に掲げる職位にある者は、一般的には管理監督者の範囲に含めて差し支えないものと
考えられること。
(1) 出先機関を統轄する中央機構(以下「本部」という。)の組織の長については次に掲げる者
 (1)  経営者に直属する部等の組織の長(部長等)
(2)  相当数の出先機関を統轄するため権限分配を必要として設けられた課又はこれに準ずる
組織の長  (課長等)
 (3)  (1)〜(2)と同格以上に位置づけられている者であつて、(1)の者を補佐して、通常当該組織
の業務を総括し、かつ、(1)の者が事故ある場合には、その職務の全部又は相当部分を代行
又は代決する権限を有する者(副部長、部次長等)
 従つて、(2)の者の下位に属する、例えば副課長、課長補佐、課長代理等の職位は除外
されるものであること。
(2) 支店、事務所等出先機関における組織の長については、次に掲げる者
 (4) 支店、事務所等出先機関の長(支店長、事務所長等)
 ただし、法の適用単位と認められないような小規模出先機関の長は除外される。
 (5) 大規模の支店又は事務所における部、課等の組織の長で、上記(1)(2)(4)の者と企業内に
おいて同格以上に位置づけられている者
(本店営業部又は母店等における部長、課長等)
 従つて、(4)の者を補佐する者で(5)以外の者(次長、支店長代理等)は原則として除外
されるものであること。ただし(4)の者に直属し、下位にある役付者(支店長代理、
(5)に該当しない支店課長等)を指揮監督して、通常支店等の業務を総括し、かつ、
その者が事故ある場合にはその職務の全部又は相当部分を代行又は代決する権限を有する
者であつて、(1)(2)(4)と同格以上に位置づけられているものは含めることができること
(副支店長、支店次長等)
(3) (1)〜(4)と企業内において同格以上に位置づけられている者であつて、経営上の重要な
事項に関する企画、立案、調査等の業務を担当する者(いわゆるスタッフ職)
(注)
(1) (2)の本部の課長等は、権限分配された職務を実質的に所掌する者であつて、その地位に
ふさわしい処遇をうけているものでなければならない。従つて、単なる人事処遇上の
実質を伴わない課長等は除外するものである。
 (2) 支店次長等支店長の直近下位の職制管理者については、その職位にあるからといつて、
支店長等の職務の全部又は相当部分を代行又は代決する権限を有するものとして
取扱うものではなく、その代行、代決の権限が明らかなものに限られる。
従つて、本来なら次長制を必要としないような規模の支店等に名目上の次長を置いたり、
形式的に複数の次長を置く等、実質を伴わない補佐役は含まれないものである。
(昭和52年2月28日付け基発105号)

管理監督者の深夜業についての解釈例規

[深夜労働に関する規定との関係]

 本条は第4章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日の規定を適用除外としている
ものであり、深夜業の関係規定(第37条の関係部分及び第61条の規定)は適用が排除されるものではない。
 したがつて、本条により労働時間等の適用除外を受ける者であつても、第37条に定める時間帯に
労働させる場合は、深夜業の割増賃金を支払わなければならない。ただし、労働協約、就業規則
その他によつて深夜業の割増賃金を含めて所定賃金が定められていることが明らかな場合には別に
深夜業の割増賃金を支払う必要はない。
(昭和63年3月14日付け基発150号、平成11年3月31日付け基発168号)