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就業規則・労務管理の行政書士&社会保険労務士 成瀬事務所

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外国人労働者の雇用、労働条件に関する指針FOREIGNER

最終改正  平成19年8月3日厚生労働省告示 276号 
   
第1 趣旨
 この指針は、雇用対策法第8条に定める事項に関し、事業主が適切に対処することができるよう、
事業主が講ずべき必要な措置について定めたものである。
 
第2 外国人労働者の定義
 

 この指針において「外国人」とは、日本国籍を有しないものをいい、特別永住者並びに在留資格が
「外交」及び「公用」の者を除くものとする。また、「外国人労働者」とは、外国人の労働者をいう
ものとする。
 なお、「外国人労働者」には、技能実習制度において「技能実習」の在留資格をもって雇用関係の
下で技術、技能等の習得のための活動又は修得した技術、技能等を要する業務に従事する活動を行う者
(以下「技能実習生」という。)も含まれるものである。

第3 外国人労働者の雇用管理の改善等に関して必要な措置を講ずるに当っての基本的考え方
 事業主は、外国人労働者について、雇用対策法、職業安定法、労働者派遣法、雇用保険法、労働基準法、
最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、健康保険法、厚生年金保険法等の労働関係法令
及び社会保険関係法令を遵守するとともに、外国人労働者が適正な労働条件及び安全衛生を確保しながら、
在留資格の範囲内でその有する能力を有効に発揮しつつ就労できる環境が確保されるよう、この指針で
定める事項について、適切な措置を講ずるべきである。
1 外国人労働者の募集及ぴ採用の適正化
(1) 募集等
 事業主は、外国人労働者を募集するに当たっては、募集に応じ労働者になろうとする
外国人に対し、当該外国人が採用後に従事すべき業務の内容および賃金、労働時間、
就業の場所、労働契約の期間、労働・社会保険関係法令の適用に関する事項について、
その内容を明らかにした書面の交付又は当該外国人が希望する場合における電子メールの
送信のいずれかの方法により、明示すること。特に、募集に応じ労働者になろうとする
外国人が国外に居住している場合にあっては、来日後に、募集条件に係る相互の理解の
齟齬等から労使間のトラブル等が生じることの無いよう、事業主による渡航費用の負担、
住居の確保等の募集条件の詳細について、あらかじめ明確にするよう努めること。
 また、事業主は、国外に居住する外国人労働者のあっせんを受ける場合には、職業安定法
の定めるところにより、職業紹介事業の許可を得ている者又は届出を行っている者から
受け入れるものとし、職業安定法又は労働者派遣法に違反する者からは外国人労働者のあっせん
をを受けないこと。その際、事業主は、求人の申し込みに当たり、職業紹介事業者に対し、
明示事項を明示方法により、明示すること。なお、職業紹介事業者が職業紹介を行うに当たり、
国籍を理由とした差別的取り扱いをすることは、職業安定法上禁止されているところであるが、
事業主においても、職業紹介事業者に対し求人の申し込みを行うに当たり、国籍による条件を
付すなど差別的取り扱いをしないよう十分留意すること。
(2) 採用
 事業主は、外国人労働者を採用するに当たっては、あらかじめ、当該外国人が、採用後に
従事すべき業務について、在留資格上、従事することが認められるものであることを確認する
こととし、従事することが認められない者については、採用してはならないこと。
 事業主は、外国人労働者について、在留資格の範囲内で、外国人労働者がその有する能力を
有効に発揮できるよう、公平な採用選考に努めること。特に、永住者、定住者等その身分に
基づき在留する外国人に関しては、その活動内容に制限がないことに留意すること。
 また、新規学卒者等を採用する際、留学生であることを理由として、その対象から除外する
ことの無いようにするとともに、異なる教育、文化等を背景とした発想が期待できる留学生の
採用により、企業の活性化・国際化を図るためには、留学生向けの募集・採用を行うことも
効果的であることに留意すること。
2 適正な労働条件の確保
(1) 労働条件の明示
書面の交付

 事業主は、外国人労働者との労働契約の締結に際し、賃金、労働時間等
主要な労働条件について、当該外国人労働者が理解できるようその 内容を
明らかにした書面を交付するものとする。

 
賃金に関する説明

 事業主は、賃金について明示する際には、賃金の決定、計算及び支払の
方法等はもとより、これに関連する事項として税金、雇用保険料、労使協定
に基づく一部控除の取扱いについても外国人労働者が理解できるよう説明し
当該外国人労働者に実際に支給する額が明らかとなるよう努めるものとする。
 

(2) 適正な労働時間の管理
 事業主は、法定労働時間の遵守、週休日の確保をはじめ適正な労働時間管理
を行うものとする。
(3) 労働基準法等関係法令の周知
 事業主は、労働基準法等関係法令の定めるところによりその内容についてその
周知を行うものとする。その際には、分かりやすい説明書を用いる等外国人労働者
の理解を促進するため必要な配慮をするよう努めるものとする。
(4) 労働者名簿等の調製
事業主は、労働基準法の定めるところにより労働者名簿、賃金台帳を調製するもの
とする。その際には、外国人労働者について、家族の住所その他の緊急時における
連絡先を把握しておくよう努めるものとする。
(5) 金品の返還
事業主は、外国人労働者の旅券等を保管しないようにする。また、外国人労働者が
退職する際には、労働基準法の定めるところにより当該外国人労働者の権利に属
する金品を返還するものとする。また、請求から7日以内に外国人労働者が出国
する場合には、出国前に返還するものとする。
3 安全衛生の確保
(1) 安全衛生教育の実施
事業主は、外国人労働者に対し安全衛生教青を実施するに当たっては、当該
外国人労働者がその内容を理解できる方法により行うものとする。特に、外国人
労働者に使用させる機械設備、安全装置又は保護具の使用方法等が確実に理解
されるよう留意するものとする。
(2) 労働災害防止のための日本語教育等の実施
 事業主は、外国人労働者が労働災害防止のための指示等を理解することができる
ようにするため、必要な日本語及び基本的な合図等を習得させるよう努めるものと
する。
(3) 労働災害防止に関する標識、掲示等
 事業主は、事業場内における労働災善防止に関する標識、掲示等について、図解等
の方法を用いる等、外国人労働者がその内容を理解できる方法により行うよう努める
ものとする。
(4) 健康診断の実施等
 事業主は、労働安全衛生法等の定めるところにより外国人労働者に対して健康診断を実施する
ものとする。その実施に当たっては、健康診断の目的・内容を当該外国人労働者が理解できる方法
により説明するよう努めるものとする。
 また、外国人労働者に対し健康診断の結果に基づく事後措置を実施するときは、健康診断の結果
及び事後措置の必要性・内容を当該外国人労働者が理解できる方法により説明するよう努める
ものとする。
(5) 健康指導、健康相談の実施
 事業主は、産業医、衛生管理者等を活用して外国人労働者に対して健康指導、
健康相談を行うよう努めるものとする。
(6)   労働安全衛生法等関係法令の周知  
  事業主は、労働安全法等関係法令の定めるところによりその内容についてその周知を
行うこと。その際には、分かりやすい説明書を用いる等外国人労働者の理解を促進する為
必要な配慮をするよう努めること。
 
4 雇用保険、労災保険、健康保険及び厚生年金保険の適用
(1) 制度の周知及び必要な手続きの履行
 事業主は、外国人労働者に対し、雇用保険、労災保険、健康保険及び厚生年金保険に
係る関する法令の内容及び保険給付に係る請求手続等について、雇入れ時に外国人労働者
が理解できるよう説明を行うこと等により周知に努めること。また、労働・社会保険に
係る法令の定めるところに従い、被保険者に該当する外国人労働者に係る適用手続き等
必要な手続きを取ること。
(2) 保険給付の請求等についての援助
 事業主は、外国人労働者が離職する場合には、外国人労働者本人への雇用保険被保険者
離職票の交付等、必要な手続きを行うとともに、失業等給付の受給に係る公共職業安定所
の窓口の教示その他必要な援助を行うように努めること。
 また、外国人労働者に係る労働災害等が発生した場合には、労災保険給付の請求その他の
手続に関し、外国人労働者からの相談に応ずること、当該手続を代行することその他必要な
援助を行うように努めること。
 さらに、厚生年金保険については、その加入期間が6月以上の外国人労働者が帰国する
場合、帰国後、加入期間等に応じた脱退一時金の支給を請求し得る旨帰国前に説明する
とともに、年金事務所等の関係機関の窓口を教示するよう努めること。
5 適切な人事管理、教育訓練、福利厚生等
(1) 福利厚生施設
 事業主は、外国人労働者について適切な宿泊の施設を確保するように努めるとともに、給食、
医療、教養、文化、体育、レクリ工一ション等の施設の利用について、外国人労働者にも十分な
機会が保障されるように努めること。
(2) 生活指導等
 事業主は、外国人労働者の日本社会への対応の円滑化を図るため、外国人労働者
に対して日本語教育及び日本の生活習慣、文化、風習等について理解を深めるため
の指導を行うとともに、外国人労働者からの相談に応じるように努めるものとする。
(3) 教育訓練の実施等
事業主は、外国人労働者が、在留資格の範囲内でその能力を有効に発揮しつつ就労することが
可能となるよう、教育訓練の実施その他必要な措置を講ずるように努めるとともに、
苦情・相談体制の整備、母国語での導入研修の実施等働きやすい職場環境の整備に努めること。
(4) 適切な人事管理
 事業主は、その雇用する外国人労働者が円滑に職場に適応し、当該職場での評価や処遇に
納得しつつ就労することができるよう、職場で求められる資質、能力等の社員像の明確化、
職場における円滑なコミュニケーションの前提となる条件の整備、評価・賃金決定、配置等
の人事管理に関する運用の透明化等、多様な人材が能力発揮しやすい環境の整備に努めること。
その際、公共職業安定所の行う雇用管理に係る助言・指導を踏まえ、適切に対応すること。
(5) 帰国及び在留資格の変更等の援助
 事業主は、その雇用する外国人労働者の在留期間が満了する場合には、
当該外国人労働者の雇用関係を終了し、帰国のための諸手続の相談その他
必要な援助を行うように努めるものとする。
 外国人労働者が在留資格の変更あるいは在留期間の更新を受けようと
するときは手続きを行うに当たっての勤務時間の配慮その他必要な援助を
行うように努めるものとする。
第4 外国人労働者の雇用状況の届出
  事業主は、雇用対策法第28条第1項及び附則第2条第1項の規定に基づき、新たに外国人労働者を
雇い入れた場合若しくはその雇用する外国人労働者が離職した場合又は平成19年10月1日の時点で
現に外国人労働者を雇い入れている場合には、当該外国人労働者の氏名、在留資格、在留期間等の事項
について所定の方法により確認し、当該事項を当該事業主の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の
長に届出ること。
第5 外国人労働者の雇用労務責任者の選任
 事業主は、外国人労働者を常時10人以上雇用するときは、この指針の第3に定める事項等を管理させる
ため、人事課長等を外国人労働者の雇用労務に関する責任者(以下「雇用労務責任者」という。)として
選任するものとする。 
第6 技能実習生に関する事項
  技能実習生については、外国人労働者に含まれるものであることから、第3から第5までに掲げるところによる
ものとするほか、事業主は、技能実習制度推進事業運営基本方針(平成5年4月5日労働大臣告示)に規定する技能実習生の受け入れ等、技能実習の実施に関し留意すべき事項、技能実習の継続が不可能となった場合の取扱い等の内容に留意し、技能実習生に対し実効ある技術、技能等の習得が図られるように取り組むこと。
第7 職業安定機関、労働基準行政機関その他関係行政機関の援助と協力
  事業主は、職業安定機関、労働基準監督機関その他関係行政機関の必要な援助と
協力を得て、この指針に定められた事項を実施するものとする。