エコキュートを買う前に
エコキュートは本当に”経済的にお得”で、静かなのか

"科学的"知見の欺瞞 8/12


5.マスコミの無知

 拙文「基礎の基礎」でも述べているが、騒音問題に対し、真摯な取り組みがなされない重大原因の一つにマスコミの無知さがある。
 
 最近のその一例として、既に終わってしまった感が有るが、私はそうは思っていないが、私の理念で敢えてこの問題には触れなかった奈良の“騒音おばさん”CDラジカセ事件がある。ことの事実は置いて、マスコミは当初の報道で「その“大音響”90dBと報道した。その後、格別の訂正もないからそうだとしよう。

 では、90dBの音量と言うのはどんな音であろうか。上記の「環境騒音レベル」の一覧に依れば、「政治団体宣伝車20m」「丸鋸によるパイプ切断」「打ち上げ花火」と同じと言うことである。これらは確かに間違いなく“大音響”には違いない。

 しかし、しかし、もし本当に毎日、長時間こうした騒音を聞かされていれば、当該被害者でなくても同じ様に「それ」を聞いているはずの少なくとも最低限向こう三軒両隣くらいは同じように苦情を訴えてもおかしくないはずである。もし、被害者が当該被害者だけなら、低周波騒音と同じで、「気にしているのはあなただけですよ。気のせいですよ」と何故専門家は言わないのだ。おかしくないか?

 そして、何よりも奇妙なのは何故におばさんが、ラジカセと“布団叩き”とわめき声を長年発し続けなければならなくなったかその理由が全然報道されないことだ。確たる理由もなくある日から突然何の理由もなく“騒音おばさん”が騒音を発しだしたとしたら、彼女は間違いなく「キチガイ」である。もし、そうであるなら彼女の名前や顔は伏され、TVにあれだけバカバカ顔を出す事はできないはずだ。もちろん精神障害者として裁判自体も成立しないはずであろう。が、実際には「懲役1年(求刑懲役3年)の判決を言い渡した」のであるから、彼女は正常と判断されたのであろう。

 結局、奈良・平群町は新しい条例案で、
 
正当な理由なく夜間(午後8時−午前8時)なら人の会話程度の60デシベル、昼間(午前8時−午後8時)は65デシベルを超える音を出すと“騒音”と規定。町職員が立ち入り調査し、やめるよう警告できるようにした。(共同通信)06/03/07

 のだが、これで90dBの「ピアノ」の音や「犬の吠え声」、さらには道路でのおばさんのしつこい長話も取り締まれるのであろうか。

 因みに残念ながら人間の声は騒音とされないので規制できない事になっている。

 そう言えばこの原稿を書いていて、この事件以来、近所で「天気さえ良ければ毎日」布団を干して、百叩きの刑のごとく布団をバンバン叩いていた音がパッタリしなくなっていることにフト気付いた。このおばさんは、おばさんと言うにはまだ早い幼稚園児が二人いる奥さんであるが、最初の内は育児ノーローゼか何かと思っていたが、布団のしつこい干し様と叩き様を見ると余程汚い布団なのかとしか思えなかったが、それは単なる清潔好きを通り越してキチガイと私は思っていた。
 
 ※最近この家の二××の××ガキは舗道上に自転車を止めたり、道路でキャッチボールをしたり、道路の真ん中をコースターで滑ったりしている××ガキと同一であることが判った。その家の障子はボロボロである。彼女のキチガイ沙汰はこの××ガキが原因であったのではないかと思っている。

 騒音は無くなれば途端に忘れてしまうような存在である。それが普通の騒音である。ところが、低周波騒音は人間が出す騒音ではなく、機械が出すのだからスイッチを切るか、機械が壊れるまで延々と続くのである。

 特にこの事件はマスコミ、特にTVの「偏向報道」によりインパクトのある映像でショウ化された感が強い。しかし、これにより騒音が「凶器」になりうると言うことが少しの人にでも解ればそれは意味のあることである。

「あなたの逆転裁判」弁護士ファイル 


6.キーワードは低周波音

6−1.低周波音なんて知らない


 06/05現在「超低周波音」と言うキーワードでヤフーで検索してみると92,300件、「infrasound」では198,000件(ほとんど英文)、「low frequency」では30,500,000件(ほとんど英文)、「低周波音」では37,400件がヒットする。「低周波音 被害」とすると7,990になる。もちろん内容的に全て検証したわけではないので、その内容の実効度は不明だが、参考になる内容が少なくない。Googleではヒット数は1.5倍くらいになるが、ヒットランクにポリシーが無いような気がする。根こそぎ調べるには良いのだろうが。

 1999年被害に遭い、私が苦しみ抜いた挙げ句、「低周波音」という言葉自体を知るまでに半年掛かった。それは“低周波音”をインターネットで検索しても、ほとんどヒットせず、たまたまヒットするのは、今でも多くはそうであるが、「低周波による治療器」のサイトであった。その時「低周波音による騒音被害」としてヒットしたのが、今はサイトのない美穂リンさんと今も続くトライアングルさんのサイトであった。

 当時は検索エンジンそのものが非常にヘボい存在であって、Google 等はなく、yahooなどは“問題”のない“健全な”お薦めモノしか載せず、告発系などはお呼びでは無かった。今は知ろうと思えば大抵のことは調べられる、ある意味天国のような時代である。もちろん逆に情報過多過で読むのが大変であるが。

 その後、検索エンジン自体が進歩したこともあるが、たった6年半でこれだけヒットするようになったのは「低周波音」と言う言葉自体がそれだけポピュラーになったと言うことでもあろう。しかし、依然として未だに大多数の“低周波音不可聴者(=夫感応者)”はこの被害の実態を知らず、また知る必要もないが、頼みの綱の専門家達の多くは被害の存在を知ったとしても、その存在自体を否定している。


6−2 環境省は良くやった?

 2000年からの5年間、環境省は00/10「低周波音の測定方法に関するマニュアル」策定、01/01低周波音全国状況測定調査(319)02/03低周波音防止対策事例集、04/06低周波音問題対応の手引公表と、行政としては実は極めて迅速に立て続けの対応をした時期と重なる。この動きは、私が低周波音問題で辿った履歴とちょうど軌を一にする。全くの偶然としか言いようがない。これは汐見先生を始めとする先達たちの労の賜物と思うしかない。
 

 しかし、その結果から見ると、残念ながら行政のこれらの施策により問題は解決したかと言えば、「全く否」である。現実を見るとむしろ、今日の低騒音化、静音化による低周波騒音問題の蔓延化の傾向を行政が前取りしたかのような感がしないでもない。

 それを一番物語っているのは「低周波音」と言うキーワードでヒットする「サイト数の増加」や、「拙サイトへのアクセス数の増加」である。拙サイトへのアクセス数などは増えたと言っても微々たるモノであるが、それでも増えていることは確かである。そして、その後、「梨の礫の環境省の態度」である。そして、その後、裁判に勝った人は私が知る限り一人いるがそれは低周波騒音でなくても勝てたはずの騒音問題である。

 家屋の高密度化、モーター類の静音化、建設重機器の騒音の低騒音化、…など騒音を低周波音に押し込もうとする企業の試みは、行政の施策と相まって、むしろ低周波騒音源を増加させる結果となっている。今後一層の低周波騒音被害者の増加を予想させる。

 その好例が当今のエコ機器の宣伝などに見るように、一見したところの”企業の騒音に対する理解”である。官学一丸となって低周波音被害の存在そのものを否定するというお墨付きを与えられた企業は、実際には、静音という名の下に(可聴域)騒音低減するとして、実は、単に低周波音とし、低周波音被害者を一層苦しめることになる。企業は低周波音問題を都合よく利用することはあっても、それがもたらす被害を低減する課題に正面から対峙しているとは思えない。



10 11 12 HOME