エコキュートを買う前に
エコキュートは本当に”経済的にお得”で、静かなのか

"科学的"知見の欺瞞 1/12


 エコキュート(家庭用ヒートポンプ給湯機)は、現在の科学的知見では騒音基準値的には問題ないとされてきたが、「その騒音(=低周波音)は人間の健康に被害を与える「可能性」が有る」と、
2014/12/19消費者事故調が報告書をだしました。


 言うまでも無いことなのだが、実は結構日本人が勘違いしているのではないかと言うことに、日本で言う「エコ」には、英語としては、「エコ・ロジー=Ecology=環境(に優しい)」「エコ・ノミー=Economy=経済(的でお得)」と言う二つの意味があるようなのだが、この二つの意味を企業や国は実に巧妙に混同させる。即ち、「エコロジー」=「エコノミー」と思わせ、”エコロジーはエコノミーである”と誤解させる。ところがどっこい、エコロジーでエコノミーなモノは早々はない。

1.静音化

1−1.静音化がもたらすモノ

 最近(2006年)の洗濯機、冷蔵庫を始めとする大型家電製品の“静音化”は節電と共に謳い文句になっている。特に、古めの洗濯機を使っている人にとってはその“静音化”は驚異的である。私自身購入当初(と言っても2001年の事なのでもう随分古いが)、洗濯を始めても余りに静かなので、本当に動いているかどうか、置いてある場所へ行って思わず蓋を開けたくらいだ。
 ”低周波音をも含む騒音感知器”のような私が言うのであるからこれは間違いない。むしろ、一番煩いのが洗濯の際、浴槽から残り湯をくみ上げるモーターの音なのである。
しかし、昼間これほど静かでも、夜間になると、くみ上げる音は勿論”ザバ、ザバ”と洗濯槽内で水が動く音自体が結構家中に響き渡るような感じの音になる。即ち、昼間の何となくザワザワした騒音のマスキング効果は相当に大きいのである。

 しかし、「冷蔵庫の静音化」は絶対に頂けない。これは以前にも述べたかも知れないが、この静音化は常用電流50or60Hzの「ブーン」と言うコンプレッサーの騒音を、回転数を下げることにより、“人には聞き取りにくい”事になっている、「ドゥーン」と言う、25(or30)Hz、あるいはその半分の12.5(or15)Hzの「超低周波音」レベルに下げることにより達成されたモノである。その結果、コンプレッサーの稼働時間が長くなり、我が家の“最近の”少し古い静音タイプではほとんど間無しコンプレッサーが低周波音を発して稼働している。音アレルギー者にとっては夜中は殊更に辛い音である。しかし、ごく最近の静音タイプの冷蔵庫は稼働時間そのものも短くなり随分静かであることは事実である。しかし、勿論無音ではない。

 そして、ついでにエアコンだが、これは建設当初(2001年)設置したガスエアコンが2010年頃から、冷えず暖まらず、耐えに耐えに耐えたが、2012年に換えた。これは確かに電気は食わないようだが、騒音的には全体的に音は小さくなったが、「強」にすれば、風を切る音が大きくなる。そして「常に室内の状況をセンサーが見守る」らしく、「止まることが無い」。この音が無音が欲しい時には結構ウザイ。やっと少し慣れてきたところだ。


 静音化は当然のことながら、最近の新しい機器、「エコキュート」や「エコアイス」等にも見事に“実現”されており、これらの「環境に優しい自然冷媒のヒートポンプ・蓄熱システム」が「産官一体となった補助金付きの普及活動」により今後普及することを考えると、間違いなく新たなる低周波音被害者を生み出すであろうという確信を得ている。

 実際「エコキュート」が私の近辺の新築住宅にも設置され始めている。道路から観察と言うより“視聴”すると、確かに小さい音だが、昼間でも「ブーン」と低い唸り声を出している(どうもこれはエネファームだったようだ)。ソーラーの蓄電か、蓄熱かの装置も同様なのだが、通りがかりの”低周波音非可聴者”にとっては、恐らく全く気にならない音であろうが、低周波音可聴者にとっては非常に嫌な音で、早々に現場を立ち去りたい音である。もちろん実際に測定したわけではないので、数値的には解らないが、昼間では音源から10mほど離れると聞こえなくなるが、これは逆に10m以内では聞こえると言うことである。当該の家にも隣家にも立ち入ることはできないので室内での長時間の具体的な感覚については未知であるが、あなたの家と隣家とは10m離れて居るであろうか。少なくとも並の団地ではそんな状況は無かろう。この状況を避けるには、これらの設置に際しては、隣家との敷地境界などではなく、美観、デザインの問題で無く、最低限「必ず道路に向けて設置すべきである!」

 しかし、残念と言うより当然ながら機器設置業者はもちろん、建築業者、設計者などの建築関係者にはこういった「外部に発する騒音」の知識(が無いはずはないが知らないことにする)と言うか意識が皆無(では無いであろうが法的に問題にならないのだから無視する)の様である。もちろん素人の施主には知るよしもない。

 本来ならばこういった騒音源としての可能性が有るモノについては、騒音関係の専門家団体、それこそ具体的には「日本騒音制御工学会」や低周波音関係の専門家達が「予防原則」として国交省などに働きかけ、建築基準法などに盛り込むことが望まれるのであるが、遺憾ながら日本には「予防原則」という思想そのものが無い上に、“騒音防止業界”自体が騒音が存在し、それに苦しむ人が存在すること自体が「飯のタネ」である上に、こうした関係者そのものがそうした組織をなしているのであるから「望むべくもない希望」である。

 少なくともこの事実を知ったあなたは、隣家の新築や機器の変更時には必死に「予防的アドバイス」をする事を是非ともお薦めする


1−2.エコ機器の被害は既に始まっている


 などと、ノンビリしたことを考えている内に、既に現実に、非常に静かな住環境のため返って静かであるはずの「エコキュート」の“静かな騒音”の被害が2006年以降、頻繁に発生している事が解った。この件に関しては、騒音に耳慣れている低周波騒音被害者でも聴き分けが難しい程の”騒音”であったそうだ。

 先日、たまたま低周波音被害と言うことで私自身が訪れたお宅は、周りをビルに囲まれ、結果すり鉢の底のような状態になってしまった今となっては珍しい都心の戸建て住宅で、既に必ずしも閑静とは言えない環境であった。そこにおじゃましている間中、玄関から入ってくる、100m程離れた三方の大通りからの絶えることのない自動車の通行騒音が私には非常に苦痛であったが、被害者は格別気にならない様子であった。即ち、要するに「騒音は慣れることができる」と言うことの実例である。

 そんな人を「低周波音被害者」にしたのは、狭い通りを挟んだ3階建てビルの屋上に設置された「エコアイス」の室外機の夜間の低周波騒音であった。
 被害者宅から外へ出ると私にとってはどちらからも低周波騒音が降ってきて、騒音源と被害者が特定するところへ近づくとその音は聞こえなくなる。ビル同士で反射している可能性もある。確かに街中での騒音源の特定は非常に難しい

 
 こうした例に限らず低周波音被害者は「低周波音にヤラレタ」後は、それまで気にならなかった車のアイドリング、空調の室外機、子供の嬌声、犬の吠え声、挙げ句は夜間の人の話し声など全ての音が苦痛となってしまう。果ては、行き場のなさから鬱となってしまい、自殺まで何度も考えるようになる。その後も入院したり、転居したりしながらも、逃げてばかりもおられないので、騒音源の測定調査の要求、アイドリング車への注意、大声の話し声の注意など積極的な行動をとるようになったりすら。こうして低周波音被害による”音アレルギー患者”はできあがる。

 それまでの格別問題もない住環境は、エコ機器一つで“人”によっては音地獄に突き落とされ、生活はもちろん、人格まで大きく変えられてしまう



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