エコキュートを買う前に
エコキュートは本当に”経済的にお得”で、静かなのか

"科学的"知見の欺瞞 6/12


4.確信的詐欺

4−1.爆音マフラー

 エコアイスでは「低騒音制御時は5053dB(A)」とあり、dBの後に(A)が付いているが、エコキュートの方は「45dB以下」となっていて(A)付いていないが、基本的にはこれが付いていない場合も(A)である。この(A)と言うのを簡単に言うと可聴域、即ち人間に“普通に”聞こえる音の大きさの範囲内の聞こえ具合を考えて測定しました、と言うことで、これをA特性音圧レベルと言う。これに関する詳細は「音の評価としてのA特性音圧レベル」などのサイトを参照していただきたい。

 即ち、(A)とある場合は、可聴域(80or100Hz以上)の音で、ここで問題にしているような可聴域外の低周波音域は全く評価外の問題外の音となっていることであることをもう一度思い出していただきたい。実は電気製品に限らず大抵の「騒音の出る製品」ではこういった方法がとられる。それは普通に「騒音」と言った場合には聞こえる音だけを指すのであって聞こえない音は埒外なのである。そして、それは「一般的」にそれで良いことになっている。

 従って、ハッキリ言って、低周波音は幾ら出しても問題ない!!!のである。即ち、騒音を低周波音にすればその部分は一般の騒音としては評価外の音となり、騒音としては無い!!!と言う事になるのである。そして、これこそが現在言われるところの静音化(=低周波音化)なのである

 この代表例が「爆音マフラー」である。これらは正しくは「違法なマフラー」「不適切なマフラー」と言うそうだが、国交省、警察は騒音的には現実的な法的根拠を持たないので、(あるにはあるが非現実的な方法で判定しなければならず)現実的には目視で可能な、

(1) 視認性、被視認性の低下を招く窓ガラスへの着色フィルム等の貼付及びフロントガラスへの装飾板の装着

(2) クリアレンズ等不適切な灯火器及び回転灯等の取付

(3) 騒音の増大を招く基準不適合マフラーの装着

「不正改造車を排除する運動」実施要領

 等と言う一発で判る点から取り締まるしか方法がないのである。詰まるところ爆音に関して現況では野放し状態と言って良い。実は、一時期、国交省、環境省がセットで「マフラーの“音の質”について検討する」と言っていたので、本当カイナと思っていたが、案の定立ち消えになっていおり、依然爆音を響かせて走っている車は無くならない。

 これは至極当然なことで、行政自体があらゆる面で黙殺している低周波音をマフラーにだけに限って問題視する事などできるわけがない。仮に行政が単純に音量だけを規制しても、それは所詮可聴域の騒音についてできるだけであり、現在の「爆音マフラー」使用者に“快感“を与えているのは「100Hz前後90dBの音」であるが、極端なことを言えば、これを仮に「45Hz前後の音」とすれば、周波数的に低周波音なので100dB以上でも法的には問題ないことになってしまう。

 仮にこんな規制をして、何の効果も出ないどころか、より周波数を下げて=静音化して、迫力を出す様なことにでもなれば、低周波騒音そのものが一般人の苦情として出てくる可能性もある。そんなことにでもなれば、これまで必死に低周波音を黙殺してきた「低周波音関係者」の努力が水の泡となってしまうからである。

 現状の「爆音マフラー」取り締まりには何ら効力が無いことを一番よく知っているのは言うまでも無く行政自体である。従って、「音質(=音色?)を検討」すれば、と考えたのは良いのだが、その当然の帰結は低周波音に行き当たる訳で、手を下すことのできない代物であったわけである。


4−2.国土交通省お薦め「低騒音型機械」

 合法的低周波騒音のばらまきの極めつけは、国土交通省お薦め「低騒音型機械」である

 国土交通省は、平成9年、「低騒音型・低振動型建設機械の指定に関する規程」(平成9年建設省告示第1536号)を告示し、また、同告示に基づき平成9年から低騒音型建設機械、低振動型建設機械の型式指定を行い、当該建設機械の普及促進に努めている。

 そして、新たに、平成18年3月22日からは
 「低騒音型建設機械については、騒音基準値からdB減じた値を下回る騒音の測定値を得た建設機械に対しては、超低騒音型建設機械の標識を表示することができる」

 とした。これこそ、「低周波騒音、超低周波騒音への(可聴域)騒音の追い込み」を推奨したのであり、これこそ実に低周波騒音の「普及促進」に努めていた事になるのである。

「低騒音型・低振動型建設機械の指定に関する規程」(平成9年建設省告示第1536号)
 第2条の規程に基づき建設機械の型式を指定する告示について

 上記法令の「dB減じた値」という所の太字は私であるが、これは実は最低このくらいは音圧を下げないと「(何となく)静かになったかな」とは人間は感じないのである。上記の音圧の計算から言うと6dBと言うのは人間の耳には1/4の騒音になったと言うことになる

 これらの機器の使用は、当初は大手とか、行政体指定の工事などに限られていたが、業界(日本建設機械化協会JCMA)としては「これは良い機会」とばかり買い換えを促進させる機会にしたのではなかろうか。今では使用される殆どの建設重機は「低騒音型機械」となっている。

 これにより実は、低周波騒音、超低周波騒音が限られた環境、状況と言えども更に世に蔓延することとなった。かく言う私もこれまでの実生活では余り建設機械の低周波騒音を経験することは無かったが、引っ越し後、そこは新興住宅団地で次々に新築工事が有り、その都度バックフォー(※)が大活躍するわけであるが、その音は明らかな低周波音で非常に辛い。しかし、いずれも12週間でその騒音は去るので外出したりして何とか凌いでいた。

 ※アタッチメントの付け替えによって様々な用途に使われる建設機械。下向きのバケットを取り付けてバックホーとして使うのがもっとも一般的。油圧式ショベル、ユンボ、バックフォー、パワーショベル、ショベルカー、ドラグショベルなどは同一のもの。



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