エコキュートを買う前に
エコキュートは本当に”経済的にお得”で、静かなのか


"科学的"知見の欺瞞 12/12


7−5 Reference value

 「参照値」を英訳するとReference valueとなる。確かに環境省も英訳に際してはそう訳している。ただ、他の業界では、Reference valueを「参考値」と訳しているところが多い。では「参考」と「参照」とどこが違うか。「参考」は「考えをまとめる(学習や研究の)手助けにすること」であるに対して、「参照」は「他のものと照らしあわせること」とある。

 即ち、意味的には「参考」というのは“それを利用するかどうかは「相手側に判断の主体性がある」”が、「参照」では“必要なときにはこれを見よ、といわば「こちら側(参照値)に主体性がある」”のである。

 従って、本手引書に示されている参照値は、「苦情の申し立てが発生した際に、低周波音によるものかを判断する目安として示したものであり」とあれば、「参照値」以下であれば、苦情は「間違いなく低周波音によるものではない」、と言うことにならなければならない。また、そうでなければ、「何のための参照値なの。意味無いジャン」という自治体からの声が聞こえるはずである。それは現実の自治体行政の低周波騒音被害者に対する対応で明らかである。

 また、「低周波音についての環境アセスメントの環境保全目標値、作業環境のガイドラインなどとして策定したものではありません」等と、"言い逃れ"的文言を付しても、少なくとも「基準値」的意味あいを持つ数値を環境省は提示したのであり、末端に於いては最早当初の策定意図や言い逃れ的表現などは関係ないモノになってしまうのである。

 また、企業的(電気製品など)にも、今後もし、低周波音に対する意識が一般的に高まってきた場合にも“「参照値」をクリアしているので問題なし”と言う宣伝文句として使われるであろう事は明白である。

 そして、いずれの場合にも「決めたことは政府が責任がある」と言い切れるのですね。

 そして、如何に環境省が「環境アセスメントの環境保全目標値、作業環境のガイドラインなどとして策定したものではありません」と言っても、この「参照値」が「紛れもない基準値」で有ることは、上記議事録で、当時環境庁大気保全局長の橋本道夫氏の以下の言による。

橋本説明員 今回専門委員会が、一時間値を述べた場合にパーセンタイルを述べておりません。これはパーセンタイルを述べれば、英語で言えばガイドがガイドラインに変わる、そのものがストレートに基準に入ってくるということで、先生方はそのパーセンタイルを外されたわけです。

 環境省の説明に依れば、「参照値」の設定に於いては“先生方は10パーセンタイルを採用された”のである


 「参照値」に引っ掛からない低周波騒音被害者(殆どの低周波騒音被害者はそうであるが)がせめて願うのは、

「本手引書は、現時点での集積データをもとにしたものです。今後、全国の各地方公共団体で活用していただき意見や要望を踏まえ、その有効性や課題などを検証し、必要に応じてその内容等についてよりよいものにしていくことを目指します。」(低周波音問題対応の手引書 平成16年6月)

 と言う文言を信じたいのであるが、遺憾ながら、多くの全国の各地方公共団体においては「参照値」による足切り、または、それ以前的に民民問題には介入しないと言う”基本的態度”を崩すこと無く、多くの低周波騒音被害者を門前払いしているようでは、全国の各地方公共団体での「参照値」本来の「活用」は望むべくもない。従って、「意見や要望」はもちろん、「有効性や課題」など環境省に上がってこようはずもなく、一体全体どう「検証」するのであろう。

 まず、「検証」すべきは、”どうして各地方団体から「意見や要望」がないのであろう”かと言うことではなかろうか。


橋本説明員 これは専門委員会、審議会が言ったから決めましたなんて、そんなような逃れ口上を言うことじゃございません。ですから、一番の核心は、定期的に常に科学的な点検、判断を加えるというところが最もの核心でございます。」

 公害対策基本法 第9条第3項

 第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。



10 11 12 HOME