エコキュートを買う前に
エコキュートは本当に”経済的にお得”で、静かなのか
"科学的"知見の欺瞞 7/12
4−3.国立事件
ところが、外出などで凌げず、「事件」となってしまった事件が起きた。この事件は今回の終稿間際に汐見先生から聞き、急遽入れているのだが、「やはり有ったか」と思いを新たにした。
国立駅 列車停止ボタン押す 1万4000人に影響、57歳書類送検へ
平成18年6月7日午前11時40分ごろ、国立市北のJR中央線国立駅で、東京発高尾行き中央線快速電車がホームに進入する際、隣接する立体工事現場の列車停止装置が作動、電車が停止した。…、8本が運休、18本が28〜2分遅れ、乗客1万4000人に影響が出た。
立川署などで原因を調べていたところ、立体交差工事現場の近くに住む国立市に住む男性(57)が「自分がボタンを押した」と申告。男性は「工事の騒音がうるさく、注意しようと現場に向かう途中、危ないのでボタンを押して電車を止めようと思った。もうしわけないことをした」と話しているという。…、鉄道法違反容疑で男性を書類送検する方針。(平成18年6月7日 産経新聞)
その後、この男性と連絡をとることができたのだが、その男性の新聞には載らなかたコメントは、
昨夜(6月6日)11時30分頃床に着くも寝付かれないまま、零時30分前に不快になり工事が有るのか確かめるためパソコンを起動してファイルを覗くと稼働時間(1:00〜4:30)となっていて、工事の始まりが少し早いと思いつつ現場に出向くと、バックフォーが稼働しており…。…、「責任者はいるのか」と聞くと、「お名前は」と問われたので、むっとして「こんな時間に私以外に来るヤツがいるのか、助役を呼べ」とクレームした。
本日午前11時30分外出から帰り着替えているうちに低周波音を感じムカムカする。今朝も9時前から低周波音に煩わされており、今朝の出来事も重なり工事現場に向かう。
そして、記事の内容となる。男性は記事掲載に際し、繰り返し、「低周波音が…」と訴えたが、低周波音を解しない記者により、紙上には単に「騒音」と記されるのみであった。
私には男性の心境が痛いほど解る。何故なら私も駐車場の輸送車に何度火を付けてやろうかと思ったことであろうか。そして、その輸送車を稼働させるべくしているトヨタのカンバン方式を呪ったことか。そして、それを放置している行政へと私の対象は変わったのだが、それにはかなりの時間を要した。そして、この思いが私のサイト立ち上げの起爆となったのだが。
この様な思いは決して私だけではなく、低周波騒音被害者は皆同じく騒音源を自らの手で絶つ事を一度ならず考えるであろう。男性が工事は何のためか、JRのせいだと考えても少しも不思議ではない。私としては、よくやったと拍手喝采したいくらいだ。しかし、現実は男性の法律違反で終わる。この不条理は被害者でなくては解らない。
この工事は平成11年3月から続いており、平成22年まで、特に夜間工事として続くと言う。
4−4.「低騒音」とは
「低騒音型機械」の騒音を周波数分析した明確な資料を随分探したが見あたらないので、類似的な「極超低騒音型発電機」なるモノの従来機器と「低騒音型機械」の周波数分析を比較したモノを参照する。下図の左に示されている騒音値(dB)の数字が表示されていない上に、下の周波数の数字も明瞭に読み取れないため、具体的な数値は解らない。が、少なくとも、100Hz前後の周波数帯の音圧がいずれの周波数帯に於いても「半減されている」事が解ると思う。(白いグラフが従来機)
この「音圧が半減」されると言うことは、音の”専門家”が言う「3dBで騒音は1/2になる」等と言う“理論的なお遊び”とは次元が違い、実に聴感的にも明らかに「静かになった」と感じられる数値(現実的に聴感的に静かになったと感ずるには20〜30dBの音圧の低下が必要)なのである。従って、こちら方面の専門家としては「随分静かになりましたよ」と言うのも、もっともなことなのである。
しかし、特に濃いめのグラフ(新製品)だけに注目し、左から2本目と5本目のグラフを見て欲しい。数値は明らかではないが、明確な卓越周波数(ピーク)となっている。
これは発電装置であるから恐らく下の数値は50Hzと100Hzと思う。音圧は一目盛り10とすれば30dBと言うことになるが、そんな画期的に静かな機器はあり得ないので多分20刻みで60dBだと思う。そうするとこの2本はこれまで110dBと120dBであったことになる。確かにここまで行っていれば流石の「参照値」でも有罪としなくてはならないはずである。しかし、60dBなら何とか逃れられる。
ところが、しかしである、全体的に静かになったことは確かなのだが、この「低騒音」化は、実は「普通騒音による低周波騒音のマスキングをなくしてしまったこと」になるのである。いわば、”逆マスキング”となり、図らずも人工的に明瞭なカクテルパーティー効果を生み出す事となり、特定の低周波音がマル聞こえとなってしまったわけである。
これは電気機器の場合であるが、大型のディーゼル車では、我が家の場合の測量で解ったのであるが、20Hzにピークがある。そして、この音こそ私に音地獄を這いずり回らせた『犯人』だったのである。他の建設重機も似たような周波数であろう。
実はこのような器機では、騒音を低周波音化するのに防音材などを貼っても実際上の効果は少なく、業界では「チューニング」(調整)と言う方法をとるらしい。その具体的な方法は不明だが、もし同様のことが「低騒音型機械」で行われているとすれば同様な状況になるであろう事は容易に推測できる。
そして、これらの行政推薦の機器、機械が出す低周波音数値こそ、当に汐見氏が低周波騒音被害者を生み出すと指摘する「10Hz〜40Hzの間くらいで、卓越周波数(ピーク)をもち、その音圧は60dB前後」にピッタリの数値なのである。こうした経緯から、行政は汐見氏の意見を何が何でも「絶対に相手にしない」のである。
※マスキング、カクテルパーティー効果の解説はこちらが解りやすいでしょう。音のマメ知識 “聞こえ方”の不思議
4−5.静音の騒音化
可聴域の騒音を静音化(=低周波騒音化)する、一番簡単な方法は「回転数を下げて、周波数を低く」する事である。
逆に低周波音を“騒音化”するには回転数を上げればいい。何をわざわざそんなことをと思うであろうが、現実にそう言ったことがあったのである。その典型的な事例は、既に私のサイトでご存じに方もみえるであろうが、低周波騒音に苦しむ被害者が訴えた「深川市における低周波音被害責任裁定申請事件」である。詳細は汐見氏のレポートをご覧頂きたい。
この事件の要件は結論的には公害等調整委員会により、静音化の逆の手法、即ち、「測定時に限り室外機の回転数を上げて、真犯人の20Hz-60dB(G)の“低周波騒音”を100Hz-80dB(A)の“騒音”として、”犯人”を特定した」言う。静音化の時代を逆手にとった、"専門家"でなくては思いつかないような知能犯的手法により、一応普通の「騒音問題」として和解に到った。
20Hzにおける「参照値」は76dB(G)であり、60dB(G)と言う現場での測定値では「参照値」では到底「有罪」とはし得ない。しかし、現実に被害者は低周波騒音地獄を這いずり回っているのである。しかもその現場は、低周波音が聞こえないはずの関係者にとっても、「これは酷い」と思えるような“何らかの音”が聞こえたのであろう。流石に公害等調整委員会の面々も何とかしなければならないと考えたのかも知れない。
公的には見え見えのすり替えは行われていないはずだが、もし、行われたとすれば、その結果は「20Hz-60dB→100Hz-80dB」にしか変えられなかったと言うことである。物理の理論ではどうか解らないが、単純に考えれば「20Hz60dB」のエネルギーは「100Hz80dB」のエネルギーと同等と言うことができるのではなかろうか。そうとすれば物理の”専門家”は、低周波音が持つエネルギーについて根本的に考え直さなくてはならないはずだが、その気はないのであろう。
結局、この問題は騒音源側が室外機の位置を変える事により、“最低”いや“裁定”としては“解決した”ことになったのである。
当初、私は、騒音が低周波音では法的に何ともしようがないから、公害等調整委員会はわざわざ可聴域騒音として問題を解決してくれたのかと思い、結果良ければ全て良し、と思った。
しかし、その後のことを聞くと、元々通常20Hzの騒音を出す機器を、100Hzの騒音を出すように高速で回転させていれば、オーバーヒートするのは明白で、しばらく後には、元の回転数に戻され、「騒音」は本来の「低周波騒音」に戻され、被害者は結局自宅に帰れない日々が続いていると聞く。
普通の人間なら、「ウソだろー」「詐欺ジャン」と思うであろう。もちろん私もそう思う。しかし、現実的には、技術的に可能ならば、低周波音問題は面倒な詐欺まがいでなく、正真正銘の詐欺までしまでも「問題は無い」ことにしなくてはならない問題なのである。
(3)距離減衰の測定
低周波音は地表面での吸収や空気吸収がほとんどないので、騒音に比べて遠方まで伝搬する。したがって低周波音の距離減衰を調べる場合、発生源から数km
といった遠距離まで測定することもある。
最初に問題となる方向について地図上で測定点を定める。一般的には、例えば機械から1, 10, 20, ・・・50, 100, 200 mなどのように概略二倍ずつ離れた点を測定点にとる。これは測定結果を図示するときに、片対数グラフ用紙の横軸(対数目盛)を距離、縦軸(等間隔目盛)を音圧レベルにとると、6dB/倍距離あるいは3dB/倍距離の直線と比較して低周波音の減衰性状を検討しやすいためである。