低周波騒音問題 基礎の基礎 4/9

あるいは(超)低周波空気振動被害

2 騒音

2−1 騒音とは

「騒音」に対する統一的な明確な定義は無いようですが、その幾つかを上げますと

“身の周りの様々な音のうち、人に好ましくない影響を及ぼす音、不必要な音、邪魔な音が騒音です。”

日本騒音制御工学会 騒音とは:

“騒音とは、望ましくない音である音声、音楽などの伝達を妨害したり耳に苦痛、傷害を,与えたりする音である。”

JIS Z 8106-1976

 “音の聞こえ方は、人によって違う。音というのは、ある人にとっては好ましい音でも、他の人にはうるさい音にもなるという主観的なものである。我々の周りの音は大まかに「必要な音」と「それ以外の音」の2つに分けることができる。この「それ以外の音」すなわち、不必要な音、不快な音、邪魔な音、好ましくない音などが一般に騒音と称される。したがって、聞く人が「必要でない」と感じることによってその音は「騒音」となる。よい音楽、感動的な話でも、聞いている人には楽しく感動的でも、それらに興味のない人、勉強している人、あるいは寝ようとしている人にとっては騒音であり、うるさくて困ることもあるというわけである。

音の辞典


 と言う事で、その音が「騒音」であるかどうかは、個々の人間の感覚に多いに関わり合いを持ちます。感覚に関する価値観を一概に律し切る事は単に音の世界だけに止まらす、容易ではありません。それ故に音色が重要だと私は考えるのですが、その点は研究されておりません。
 現実的には低周波音を制御(防音)することが出来ないので、できないことは放置、黙殺、野放し状態で、結果、容認されていることになります。卑近な例では巷に蔓延る「爆音マフラー」と同じです。爆音マフラーは言うまでもなく低周波音ですが、これを感覚的に心地良いと感じる人間が少なからずいると言うことです。


2−2 環境基準

詰まるところ、周波数とか音色等と言う面倒なモノは置いて、結局、手っとり早く客観的に数値的に表す事ができる音の大きさ(音圧=dB)のみで規制値がつくられているのが現実です。更に、一般の騒音として規制対象となっているのは一般的に聞き取りやすい可聴域の音(100Hz以上)に限られ、このサイトで問題とするいわゆる(超)低周波音(100Hz or80Hz以下)は対象外となっています

 そこで、”賢い”メーカーや業者は、昨今騒音を出す機器の騒音を規制外の低周波音域に追い込み始めました。こうした”技術的進歩”が更に低周波音問題を日常生活に持ち込み、新たなる低周波音被害者を生み出すこととなりました。
 
 では、その
一般の騒音を規制している環境基本法ですが、その第16条第1項(騒音の環境基準)では、「騒音に係る環境上の条件について生活環境を保全し、人の健康の保護に資する上で維持されることが望ましいとされた騒音レベル」として、昼間、夜間、住居地域、対象物などにより異なりますが、下記のように法的な基準値を示しています。
 ここで、誤解無きように付け加えますが、ここで示される基準値というのは、必ずしも良好なレベルと言うことではなく、あくまで最低レベルであると言うことを忘れないでください。メーカーなどは、あたかもこれをクリアすれば大丈夫であると誤解を与えるような説明をしますが、それはあくまで単に「違法ではない」と言うだけのことで、違法でなければ合法と言うだけの話しであって決して必ずしも優良などと言う話しでは有りません。こういった話しには灰色の部分が非常に幅広いと言うことをお忘れ無く。

 従って、
流石に行政も灰色帯に存在する「爆音マフラーに対する苦情」(この問題は紛れもないれっきとした低周波音問題なのですが、それを知らない人がほとんどです)の多さから、低周波音を無視することもできなくなり、2,3年前には、音の大きさだけの規制では不十分であると国土交通省などでは”音の質”(この場合は周波数)にも注目するようになってきたのですが、結局、依然として何らの進展はないようです。

基  準  値 時間の区分は、昼間を午前6時から午後10時までの間とし、夜間を午後10時から翌日の午前6時までの間とする。
昼  間 夜  間
AA 50dB以下 40dB以下 AAを当てはめる地域は、療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域など特に静穏を要する地域とする。
A及びB 55dB以下 45dB以下  Aを当てはめる地域は、専ら住居の用に供される地域とする。Bを当てはめる地域は、主として住居の用に供される地域とする。
60dB以下 50dB以下  Cを当てはめる地域は、相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域とする。

ただし、次表に掲げる地域に該当する地域(以下「道路に面する地域」という。)については、上表によらず次表の基準値の欄に掲げるとおりとする。

地 域 の 区 分 基 準 値
昼  間 夜  間
A地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域 60dB以下 55dB以下
B地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域及び
C地域のうち車線を有する道路に面する地域
65dB以下 60dB以下

備考  車線とは、1縦列の自動車が安全かつ円滑に走行するために必要な一定の幅員を有する帯状の車道部分をいう。 この場合において、幹線交通を担う道路に近接する空間については、上表にかかわらず、特例として次表の基準値の欄に掲げるとおりとする。

基準値
昼  間 夜  間
70dB以下 65dB以下
備考
 個別の住居等において騒音の影響を受けやすい面の窓を主として閉めた生活が営まれていると認められるときは、屋内へ透過する騒音に係る基準(昼間にあっては45デシベル以下、夜間にあっては40デシベル以下)によることができる。

上記の「備考」は非常に重要だと考えます。詳しくは「
騒音に係る環境基準について」を参照して下さい。

なお、環境基準値は各自治体により多少異なります。まずは、各自治体の環境課などに「地域の区分」「基準値」などを確認して下さい

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