低周波騒音問題 基礎の基礎 1/9

あるいは(超)低周波空気振動被害


1)始めに

 低周波音に限らず騒音を原因とする被害の被害状況は様々で、当然ながらそこから生ずる問題も様々で一概に述べることはできません。その中でこのサイトでは主に騒音としては極めてマイナーで特殊な存在とされている低周波音(or超低周波音or超低周波空気振動)による騒音(?)公害"問題"を中心にしています。
 
 わざわざ"問題"としたのは、低周波音あるいは低周波騒音そのものを物理学的・工学的に理論として専門的に論じたり、その被害状況の機序を広範にるには私の能力外と考えるからです。また、騒音に(?)を付けたのは低周波音、超低周波空気振動においては専門家諸氏が言われるように所謂一般の「音」として聞こえにくい場合が多々あり、音そのものを専門家が述べるように一般的な空気の振動という物理的現象として考えると、「聞こえない音で健康被害は生じない」と言う"低周波音専門家"達のまやかし的理論と、一般の人々の
「音は聞こえるモノ」という”誤解”を容易に導き出してしまうからです。
 また、低周波被害を取り巻く環境は、単に空気の振動と言う物理的な現象がもたらす被害としてのみでは捉えきれない、極めて政治的、経済的な恣意的な側面が多々有ると考えざるを得ない結論に到ったため、敢えて「問題」としています。

 とは言え、音によってもたらされる被害はあくまで全て震源の振動が空気の振動によってもたらされる被害である点に於いては共通ですので、ひとまず低周波(音)被害とします。

 と言うことで、私が主に述べようとするのは
低周波によってもたらされる「騒音公害」を取り巻く特殊な社会的、政治的、経済的環境「低周波騒音問題」とし、これを読めば、一応ザットのところは解るという内容を、私の理解の範囲内で概論的に基礎中の基礎としてまとめてみました。

 なお、自分が現在受けている騒音被害が低周波騒音被害ではないかと思って検索で初めてこのサイトを訪問された方は、まずは
初めの低周波音被害者へをご覧ください。


 日本で騒音・振動を「専門」的に扱っている唯一(?)の団体として日本騒音制御工学会という学会があります。このサイトは「平成3年7月に環境庁(現環境省)所管の社団法人として 新発足しました。」とあるように、いわば典型的な××学会と言えましょう。

 さて、その学会は騒音問題をどのように解説しているかをみますと、下記のようになっています。それに基づけば、私がサイトで扱っているのは「騒音を形成している3つの要因」の内、人や社会の関係に関わる現象現象としての音」(この「現象現象」と言う箇所はミスでしょうか?)と「聴覚・心理現象としての音」と言う点における一被害者としての経験からの”証言”が中心と言うことになります。
 ただし、現状では、この「聴覚・心理現象としての音」という点に於いては研究は非常に未発展で、わずかに心理学的分野に於いてささやかになされているだけで、理工学系はもちろん、特に医学的視点からは全くと言って程、ほとんど何もなされていません。

 因みに、日本騒音制御工学会では低周波音被害者に対して、低周波音被害から逃れるには、「気にしないように」に代表されるような結論しか出していません。

 低周波音が如何に特殊な存在と言っても、物理的には、もちろん低周波音も空気の振動である音であることには変わりませんので、それにより生じる騒音も広義ではもちろん普通の騒音に含まれ、環境省などでも騒音の一部として処理しています。しかしながら、低周波音騒音はいわゆる普通の騒音と厳密に一線を画さざるを得ない極めて特殊な存在で、騒音的にはいわば「鬼子」的存在である側面を持っています。
 その最大の理由は、学会専門家の「聞こえない音では健康被害は無い」とする論に真っ向から対立する、被害者の「聞こえない(ことは無く、聞こえにくい、敢えて言えば感じる)のに健康被害がある」と言う被害者の声がある事です。これを公的(国は)には苦情者と言いますが。


2)騒音問題とは

 それでは、これが日本に於けるひとまずの騒音問題の”定説”とされている日本騒音制御工学会の解説を見てみます。

騒音問題とは

身の周りの様々な音のうち、人に好ましくない影響を及ぼす音、不必要な音、邪魔な音が騒音です。

騒音のもたらす影響は

  1. 睡眠妨害(眠れない、目が覚める…)
  2. 心理影響(うるさい、気になる、やかましい…)
  3. 活動妨害(会話妨害、テレビやラジオの聴取妨害、読書・勉強・作業の邪魔…)
  4. 聴力障害(難聴)や身体被害(頭痛・めまい、ノイローゼ…)
  5. 物的被害(瓦のずれ、壁のひび割れ、精密機械などへの影響…)
  6. 社会影響(地価下落や土地利用の制限、相隣問題…)

など様々な問題があげられます。 

騒音を形成している3つの要因:

 第1に、騒音は音。物理現象としての音の存在が原因となります。

 音は大気に生じた音圧の微少な乱れが波として伝わる現象です。物理現象としての音の性質には空間、時間、周波数が関与します。また、音の発生源・伝搬の経路・受音側の音響的性状も影響します。しかしながら、騒音の問題を単純に音の物理現象としてのみ捉えると、問題を正しく把握することが難しくなります。 

 第2に、騒音は人が音を知覚することに伴う問題です。

 人は聴覚により音を聴きます。物理現象の音を、人が「音」として知覚し(聴取し)、「大きな音だ、うるさいな!」と判断される事によって、はじめて「騒音」となるわけです。聴覚は視覚よりも早く、胎内に生命が宿ってまもなく機能し始めます。人は音に敏感です。音を聞くとすぐに反応し、影響を受けます。さらに、心理現象面は複雑です。意識を集中していると、無関係な音が聞こえても、全く印象が残らない場合もありますし、逆にかなり小さな音にでも耳を傾ける事ができます。 

 第3に、騒音は、人と人、人と社会の関係に関わる現象でもあります。

 騒音問題には、「発生源(音を出す人)→伝搬経路→受音側(影響を受ける人)」という構図が必ず存在します。
特に、音の印象は聞く人の状態によって大きく左右されます。

 何をしているのか?
 心理状態はどうか? 音の発生源との関係や社会的立場はどうか? 等など、様々な要因の影響で、物理的には同じ音であっても、それぞれの状況によって、異なる影響を生じる事があります。ある人にとっては、快い音楽であっても、別の人には騒音と受け取られたり、飛行機の音に悩まされている人が、逆に自家用車のアイドリング音で、近隣住民に迷惑をかけているような場合もあるのです。


 騒音問題の”定義”は以上で、実にまともに述べられているのですが、その気になって、現実として実際に騒音被害を受けて、被害者が騒音発生源者や行政に単に「うるさい。何とかしろ」と苦情を申し立てても、「はいそうですか。早速何とかしましょう」等と言う事にはまずならない場合がほとんどです。

 行政は基本的には@まず基本的には相手が個人の場合「民民の問題には介入しない」という立場で取り上げてくれません。ただし、A相手が工場などの事業者の場合に限り、両者の”話し合い”から始めるはずです。それは中立的立場を旨とする行政の建前としては、一応「被害者側の言い分が全く一方的である」、と考えることも必要だからです。これが擦った揉んだの挙げ句、滅多にないことですが、運良く防音処理がなされても、被害者側が望む結果が得られない場合が多々あります。この場合は非常に面倒です。即ち、”発生源者は誠意を尽くした。受音側は「全然変わっていない」”等となります。

 従って、現実的には、相手が特定の”個人or企業”ならば時として、回りくどいことをせずに、被害者が手っ取り早く、
直接騒音発生源者に怒鳴り込んだ方がすんなりと解決する場合も無いわけではありません。

 しかし、相手が個人の場合は、昨今の世情に鑑みるに、この方法にはそれなりの”用心と覚悟”が必要な時代となっています。少なくとも相手”の人となりをそれなりに一応、充分に”調べた上でないと、お互いに
”思わぬ結果”(=殺されるかも知れない)を招きかねない場合がありますので充分なる慎重さが必要です。 


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