風車問題は誰が責任を取るのか2

低周波音の参照値の見直し実験に参加して(大河氏記)

既存の風力発電所&新規建設が全国各地で問題となっている。それらは、
@設置に伴う開発による自然への影響、それに伴う生態系への影響、低周波音などによる人間の健康への影響等、他者にもたらす影響であり、
Aもう一つは、本来なら有り得ない話しなのだが、問題が発生した際に、or最終的には言うまでもなく、事業者が全責任を取るのが当たり前であるが事業者が問題は生じていないので、責任がないとしている場合、そして、最終的には風車が残骸となり、処理するとき、事業者が存続すれば問題はないが、当該企業が存続しない場合、誰が残骸を処理するのか、とか言ったことだ。

 しかるに、現状では、
@事業者は風車の設置・建設に関しては、法的にほとんど野放し状態であるため、法的に問題になることはなく、また、その後生じた健康被害については、「風車との因果関係が何ら科学的に証明されていない」と嘯いている。

A当該自治体は、まさかこんなに面倒な問題が出てくるなんて思いも依らなかったとばかりに、ましてや低周波音問題などに関しては元々「知らぬ存ぜぬ」と言うような田舎自治体が多いため、簡単に判を押したのであろうが、最終的に風車の建設にOKサインを出した事になるのだから連帯責任を逃れることは出来ない。
 最近では自治体も新規の風車建設のOKにかなり慎重になってきているが、既設風車では何はともあれ、被害者に門前払いを喰わせるか、少し勉強して「参照値に引っ掛かっていない」として追い払うか、もう少し勉強すると「参照値」は風車には使えないようだと解ると、それではやはり、県に言え、国に言えとなる。

 とにかく、これまで、格別問題など、起こったような事のないド田舎市町村が風車被害の窓口になってしまったのだから、最終的にお国にお伺いしろとなるのだが、そもそもが国にも”国の統一見解”なるモノがないのであるから、国としては、「地方分権であるから…(自分で処理しろ)」と言うことになる。

Bは、少なくとも風車事業者に補助金を出している、謂わば強力なスポンサーであるにも係わらず、”問題の実態を把握していないのでこれから調査する”などとふざけた事を嘯いている。黙って金だけを出すこんな有り難いスポンサーがどこにあろうか。しかし、忘れてはならないのその黙って出される金は紛う事なき税金であると言うことだ。

 いずれにしても現況に於いて、風車騒音問題については誰も責任をとらないようである。


もちろん、言うまでもなく、直接的責任を取るべきは、人間に害を与えるような場所に風力発電施設等を建設した事業者である事は言うまでもない。しかし、残念ながらのこれらの建設はそれなりの手続、と言うより書面が整っていれば、日本国の現行法下では全く違法ではない様である。それどころか国にとっては風力発電施設等の建設は資金を与えてまでして、推進奨励すべき事業なのであり、あくまで、風力発電事業者は国のお墨付きの元で事業展開しているのである。

 国の強力な推進奨励(建設資金の1/3の補助金)無くしては風力発電施設等の建設は間違いなく殆ど行われる事はないはずである。そうした観点からすれば、やはり、風車問題の張本人は胴元である国であることは言うまでもない。まー、もちろん本人が知らないうちに、「秘書が…。秘書が…」で通ってしまう政治の国柄であるから、監督官庁も「事業者には指導しているのですがねー…」で通してしまうのである。

 その証拠の1つは、国自体がこれまで風力発電施設等の建設に関して「問題有り」として、自ら風力発電施設等の建設に「待った」をかけたような事例は聞いていない。(最近は自治体がOKを出さなくなって来ている場合も出てきて、申請書が整わない事例も出てきている)まして、建設に際しての補助金の支給申請に関しては、実に胡散臭そうで、風力発電施設建設に対する補助金申請に際する説明書である「新エネルギー等事業者支援対策事業 公募要領」の冒頭に常に述べられているのだが、申請に際して、「虚偽の記述」or「不正行為」が有った場合には「受領済の補助金の取り消し」or「返還」等と言う言わずもがなの事が述べられていると言うことは、当初からそうした可能性が充分あると言うことを、国自体が認識していたはずなのだが、寡聞にして、これまで現実にそうした話しは聞いていない。

 
それは、これまで、そうした事業者はいなかったのか、少なくとも、それを扱う独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)→経済産業省資源エネルギー庁新エネルギー対策課→一般社団法人 新エネルギー導入促進協議会」のどこも、これまで、補助金を出してきた事業者の行為に関しては「問題無し」という認識なのであろう。つまり、これまでの風車建設と運営は国管理の下で全て”適正”に行われていると国は理解している事になる。

かくも問題無く運営されているはずの風力発電であるが、1月28日の報道に依れば、今後は風車事業の拡大化により影響力が大きくなると言うことで、「環境省は風力発電を環境影響評価法(環境アセス法)の対象にする方針を固めた。」とある。事業者にとっては迷惑千万な話しである。

 また同時に「環境省は低周波音の影響について22年度から4年間かけて調査研究する」としている。この中に一般の低周波音問題も入るのか、あるいは単に風車騒音問題に限るのかは不明であるが…。

さらには、、赤旗(10/01/30)によれば、「専門委員会の報告書によると、自治体などが策定した自主的な環境影響評価の実施状況も、4分の1が住民の意見を聞く手続きを行わず、評価書の閲覧もおこなっていないことを指摘」していると言うことである

 
こうしたことは、補助金交付者である国の認識としては、「虚偽の記述」or「不正行為」には当たらないのであろう。何故なら公募要領に高々と文頭に謳われている補助金に係る不正行為に対しては厳正に対処し、「虚偽の記述や不正行為」が行われていることが判明した場合は、「受領済の補助金の取り消しor返還」等を行うとあるが、現実にはそうした事例は聞いていないからである。もちろん密かに処分が行われているとすれば知りようもないのは言うまでもないことであるが。


さて、現在粛々と行われているはずの、当サイトでも紹介した、環境省・日本騒音制御工学会・産総研により行われている「低周波音問題対応の手引書(平成16年)の確認・見直しを目的とした実験の被験者募集」に依る”人体実験”と、「22年度から4年間かけての現地調査研究」により、「風車被害と風車の因果関係が科学的に何らか証明」がされるかも知れない。

 09/12/17の朝日新聞の「風車と健康被害 調査」記事の中で、“複数の事業者は「低周波音について、科学的な解明がされれば、それに従いたい」と話した。”とあるが、こうした事業者は実に”賢い”。と言うのは、こうした環境省の”努力”にも係わらず、「低周波音と人体への健康被害について、科学的な解明がなされることは恐らくない」であろうことを知っているからである。
 
 私見では、
これらの一連の環境省の行為は、単なる問題解決へのポーズと、被害者を諦めさせるための時間延ばしとしか思えない。それはこれまでの低周波音問題が辿ってきた歴史を見直せば容易に解ろう。しかし、今回の風車被害は、これまで被害者が単独で存在している低周波騒音被害者と異なり、黙殺しきれない数の被害者が一箇所に存在して、尚かつ同様な事例が個別に複数の箇所で存在しており、国、自治体、事業者にとって、被害の真っ直中にいる彼らを個別に言いくるめたり、全ての被害者を黙殺or全員キチガイor全員異常者にするのは中々に難しい課題であろうからである。

さて、ここまではマクラで、今回の話しのメインは、上記の環境省・日本騒音制御工学会・産総研により行われているれている低周波音の参照値の見直し実験に参加した大河さんの体験報告である。



無音室扉

低周波音実験室

実験室アンプ類

受音点(聴き取り位置)

無音室前面埋め込みスピーカー

低周波音の参照値の見直し実験に参加して(大河氏記)

場 所 産業技術総合研究所(以下産総研)第6−11棟1階低周波音実験室(つくば市)
 
日 時 平成22年1月26、27日
      26日午後 4時間、27日午前 4時間、計8時間(予定)

被験者 大河剛

担 当  倉片(他 助手1名)


実験(被験)経過報告

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午後1:05頃 産総研低周波音実験室到着

午後1:15〜 おおまかな実験内容の説明、承諾書等記入

午後1:30〜 鼓膜検査(問題なし)
無音室内にて聴覚検査(問題なし)

午後2:00〜 被験開始
40Hz〜200Hzの周波数から始める。
周波数、音圧レベル共に産総研側の設定した音がスピーカーから発生。
各周波数の単音がどこまで聞こえるか音圧レベルを徐々(3db刻み)に上下。
聞こえる場合はボタンを押す。聞こえない場合は押さないを繰り返す。
聞き取りの周波数はおよそ10種類。周波数ごとに音圧レベルが上がったり下がったりする。
音(単音)の発生時間は1.5秒。1.5秒(音)→1.5秒(無音)→1.5秒(音)→1.5秒(無音)を繰り返す。
10種類ほどの周波数の為1回(1セット)が10分ほど。
1セットごとに体調を整えるために10分程度の休憩をとる。
これを4セット行った。

 実験室詳細

10cm以上の厚さのある扉2枚が出入り口にある無音室に入り実験。
振動吸収剤が壁に貼り付けてあるということだが壁等のビビリ音は実験中に十分感じた。

※(倉片氏のコメント 以下同様)ビビリ音が鳴るのは、大河さんご自身が後で書かれているように、“参照値をはるかに上回る”場合です。
実験中いつも鳴っているかのように誤って読まれても困るのですが…。


部屋は6畳ほど。天井まで2m強。
前面の壁全体にスピーカーが16個ほど埋め込んである。
受音点(聴き取り点)はスピーカーより5mほど離れた所。背面の壁より30cm程の距離にスピーカーに向かって椅子に座る。

 実験内容

前回、低周波音の参照値を作ったときとほぼ同じ実験内容とのこと。

※前回の実験では、被験者自らが音圧レベルを調整した為、レベルの上げ過ぎ、上げ不足等があった可能性がある為、今回は産総研側が設定した音を聞かせて、気になるかどうかを聞きとる実験に変更した。

 感想

実験開始時の無音状態は違和感なし。しかし音を聞き始めて耳の詰まり(耳鳴り)、頭がボーっとする等の症状現れる。頭も重くなる。たった10分だが非常につらい。耳の詰まり等は気圧の変化だろうと説明される。風車の低稼働時に少し似ている。
非常に苦痛なのは片倉氏も理解してくれてか、休憩を多く取ってくれた。ここでは気のせい気にしすぎという扱いはなかった。

午後M3:30頃〜
10Hz〜40Hzの周波数の単音に設定変更
周波数は6種類。時間は10分弱ほど。これも4セット繰り返す予定だった。
4セット目に倉片氏がボタンの押し方に問題があると指摘。助手がチェックしていたが全てやりなおしたほうがいいだろうということでここまでのデータはすべて取りなおしで合意。10〜40Hzの4セットを取り直す。

 感想

周波数が下がったほう(10〜40Hz)が少し楽な気がした。
何れにせよ耳抜きを常に(2、3秒に1回)しなければならないほどの耳の圧迫感。後で聴いた20Hzの参照値の音圧レベルの音を参考にすると、参照値をはるかに上まわる音を聴いていたことになる。この時は壁がものすごくビリビリ振動していた。
震動感はこちらのほうが酷い。外にいる助手に聞いたらレベルが上がると外の壁もがたつくとのこと。

ボタンの押し方については単音が聴こえたら押し、無音で離す、次に聴こえなかったら押さないというやり方がプログラムされていなかったそうです。
ここについては説明が難しいので省略します。

午後6:00
予定を1時間ほど超過して1日目終了。
40〜200Hzの4セットは明日に持ち越し。


1/27

午前9:05〜おおまかな実験内容の説明
鼓膜検査(問題なし)、無音室内にて聴覚検査(問題なし)

午前9:30〜
昨日分40Hz〜200Hzの聞き取り2セットをこなす。

午前10:30〜
ここからが参照値の見直し実験本番。
聴こえる音が気になるかどうかの実験。場面設定は通常時。
周波数に関しては後で確認したところ10Hz、20Hz、40Hz、80Hz、160Hzの5種類の単音。これを音圧レベルを変えながらランダムに聴かせて気になるかどうかを調べるという実験。1回(1セット)がおよそ10分。この実験では、10秒間続く単音を聴いてこれをこのまま聴き続けたとしたらどのように感じるかを以下の5段階で評価していくというもの。


4:非常に気になる
3:やや気になる
2:あまり気にならない
1:まったく気にならない
0:聞こえない

およそ30種類ほど評価したと思う。周波数5種類×各周波数音圧レベル6種類?(3db刻み)。これを2セット

感想

産総研側の設定した音だと0と4の答えしか出ない、昨日の聴き取りではかすかに聞こえる音があったはずだがこの実験では聴こえるか聴こえないかの音しか出ていないと指摘。倉片氏より「3dbごとに間違いなく出ているはず」と言われる。数値は確認できず。疑義は残る。

※疑問がおありでしたら、どうぞ遠慮なくお尋ねください。

この日はメモを取り忘れた為ココまでで昼になった様に思う。

午後1:00〜
次は午前中の5種周波数ランダムの実験の場面設を変えるということで、寝室で今から寝ようとしていた場合にどうかを5段階評価で判断する。
場面設定は寝室でこれも10秒間聴いた音がそのまま続いたらどのように感じるか(寝れるか?)を以下の5段階で評価しました。
3と4の間の平均値が前回、低周波音の参照値になったそうです。

※2と3の間です。ただ、前回はこの方法を使っていませんので、この判断基準が参照値の根拠に使われている訳ではないのですが。

4:まったく許容できない
3:あまり許容できない
2:やや許容できる
1:許容できる
0:聞こえない

これも10分程度×2セット

感想

今回も聴こえるか聴こえないかはっきりしていると指摘。
倉片氏は「音が聴こえると4、聴こえないと0という極端な評価がでているようだ。かなり敏感だと思われる。しかし3dB刻みを1dB刻みにするプログラムにはなっていないのでできない」と言われた。

午後2:00〜
次は場面設定を居間に変更。通常でも寝室でも居間でも無音室で安静な状態で聴いているので意味がないはず(変わらない)という理由で断る。
その後、昨日分の取り直し40〜200Hzの聴き取り2セットをこなす。

午後2:30〜
予定だけの実験が終わり、倉片氏より今までの実験を見る限り100〜200Hzの周波数のほうが敏感に反応すると指摘される。自分もそう思った為、低周波音の参照値20Hzと80Hzの音圧レベルの体験をさせてもらう。個別対応はしないということだが、こちらの勘違いだったようだ。但しプログラムに無いものは対応不可ということです。

感想

20Hzは30秒×3回聴かせてもらったが、ほとんど何も感じず。
倉片氏に「僕は頭を揺さぶれる感じがする、場所により感じるところがあるかも知れないから動いてみれば」と言われたが、何処もあまり感じない。
80Hzは30秒×2回聴かせてもらったが、まったく許容できないというほどではなかった。しかし長期暴露の実験をすれば許容できなかったかもしれない。いずれにせよ短時間では判断ができない。

午後3:00〜
アンケートを書く。あまり実験には関係ないと思われるが、性格分析のような内容だった実験後の体調変化の聴き取り無し。その後の追跡調査も無し。

午後4:00予定を半日オーバーして実験終了

結論

私が低周波音被害者なのか確認するための実験参加だったが、風車から発生している1Hz〜5Hzの極超低周波音はココでは体験できなかった。しかし、低周波音の参照値がどのようにして作られたかが理解できた。

今回は「10秒間聴いた音がこの先ずーっと続いたらどう感じるか」という実験。
被害者切り捨てに使われている参照値が「たられば」の評価で出来たものだという事実が掴めた事は今回の実験に参加した意味があったと思う。
前回は評価時間がもっと短かったであろうか。

前回の実験(低周波の参照値が作られた時)が被験者自ら音圧レベルの調整を行った為、音圧レベルの上げ過ぎ、上げ損ないがあった可能性がある。
今回は産総研側が設定した音を聴かせたほうが良いと判断し実験方法を変更した。参照値は信憑性も疑わしいものだと理解できる。

※参照値はこのような聴取実験だけに基づいて設定されたのではない、と聞いています。詳細は.別途メールにてご説明いたします。


以上の文・写真は大河氏による


大河様,

倉片@産総研 です。

いただいた報告文の最後で,参照値の信憑性について書かれていましたので,少し説明させてください。

おっしゃるとおり,実験室内で何ヶ月にもわたって音を聞き続けていただくことはできませんので,どうしても「たられば」の測定になってしまいます。

その問題は参照値の策定に係わった研究者らも十分に認識しており,そのため聴取実験に加えてもう一つ,苦情現場での音響測定結果も使用して参照値の妥当性を検証しています。

添付の「犬飼1」の図-10と図-11をご覧ください。これは,実際に低周波騒音が疑われた苦情現場の測定結果を分析したものです。

騒音源が見つかった場合(図-10,苦情対応あり)と,見つからなかった場合(図-11,苦情対応なし)とを比較していただきますと,苦情対応なしの場合は,測定値が「寝室の許容値」の曲線の下にほぼ収まっていることが分かります。

このように,騒音の測定結果がこの曲線を下回る場合は低周波音が原因ではなかったため,この曲線に基づいて参照値を求めたとのことです。

参照値を批判される方は,どうもこの点をご存じないように見受けられます。


なお,参照値や感覚閾値を根拠に苦情者を切り捨てるのは間違いであることは,参照値制定に関わった犬飼自身が明確に述べています。

添付の「犬飼2」には,次のような説明があります。

「現場の測定結果がすべての周波数で「参照値」より低い場合でも,低周波音に特別に敏感な人(許容値が低い人)にとっては苦情原因になる可能性もあるので,注意深い対
応が必要である。」
「感覚閾値は個人内でも個人間でも確率的に変動するものであり,ISOの閾値曲線はその平均値であるから,ISOの閾値曲線より低い値で低周波音が検知される可能性は50%の確率である。」

ちなみに,これらを含め参照値に関する論文は,騒音制御Vol.30 , No.1(2006)から無料でダウンロードできます。

どうか,聴取実験だけから判断して「信憑性がない」などとおっしゃらず,大河様からも関係の皆様に参照値の意味を正しくご説明いただけると助かります。

私自身は参照値の制定に関わっていないのですが,この参照値が,皆様の抱える騒音問題の解決に少しでも役立つことを期待しています。



 本文には無いが大河氏の”土産話”の産総研の話しでは、低周波音被害体験者の被験者は”片手”に満たない(現実としては実は二人であったらしい)と言うことで、彼が初手の被験者で有ったと言うことである。比較にする”健康な人たちは”現地で採用されたらしい。神経を集中させると言うことは相当に疲れることであり、「実験が終わった後はグッタリした」と言うことであった。現実に被害者の多い高齢者が被験者になることは、中々の覚悟が必要であるようだ。

 実はこの「(聴覚)神経を集中」すると言う状態は、低周波音被害者は、「いつもどこかで低周波音がしているのではないか? 今していないなら何時するのだろうか?」と言う、神経、肉体の緊張状態が常時続くようになる状態に短期間でなってしまい、それがリラックスしようという自らの意図に反して、知らずの内に「常態」となってしまい、いわゆる低周波音症候群である、「胸の圧迫感、息苦しい、吐き気、ふらつき、立ちくらみ、頭痛、頭に帽子をかぶったような感じ、耳の圧迫感・痛み・ふさがり感、目がクシャクシャする、肩の痛み・凝り、のどがはしかい、全身の圧迫感、手のしびれ、足が痛い・だるいなど」などの結果を招いていると考えている。

 従って、1,2日間の人体実験では低周波騒音被害者の典型的症状はなかなか掴みきれないと考える。少なくとも1週間、何時も低周波音がするかというような状況に置いておくことが必要であると考える。まー、実際にはそれまでしなくても低周波音症候群は間違いなく発症するはずであるが。


 確かにこのところ環境省が長年に渡り低周波音被害を単なる苦情(今でもそうだが)として完全に黙殺していた頃に比べれば、色々とやっている事は事実だ。

@日本騒音制御工学会に委託した「移動音源等の低周波音に関する意見募集」(これは既に08/02/15で終了したようだ→結果はどうだったのだろうか?)

A「諸外国における風力発電施設から発生する騒音・低周波音に係る基準等の状況について(暫定版)」では「格別の基準はない」と言うことで、格別目新しい情報はない。そのそもからして、諸外国では人家から数百メートル等と言う非常識な場所に風車なんぞ造らないから問題など起きようがない。そうした当然の事情を無視して、日本の非常識さを鑑みず「欧米では何の問題もない」などと言う、環境省を初めとして、時々、あちこちのサイトで見かける余りにも××な風車ファンが未だに一部に存在するが、鳩山さんと同じで、”本当の無知”と言うのは強くもあるが怖い。

Bかくて、今回の人体実験

C現在進行中の風力発電所からの低周波音により被害が出ているとして住民が国に騒音被害を訴えている場所とマスコミが採り上げた地域での風車の騒音測定の結果

Dそして、同じく風力発電所からの低周波音により被害が出ているとしている周辺住民に対し、環境省が4月から実施するとしている健康調査

 これらの知見が収集・集約され、それらからどういった結論が導き出されるのか、非常に興味あるところである。相当のカネと時間をかけるこれらの検証作業は風車の低周波音に関してのみならず、低周波音問題的にはヒョッとしたら世界的な規模では無かろうか。

 できれば、これまでのように感覚閾値にだけ拘泥した、「聞こえない音は、感知しないのであるから、人間には影響を与えない」等と言う、単純にただたこれまでの低周波音問題や風車騒音問題を否定するだけの為の結論では余りにも情けない。現実を見れば自ずと「聞こえなくても被害がある」と言う、これまでの「参照値」とは異なった結論が出てくるはずだ。

 まー、しかし、”西へならえ!”今の日本では欧州から被害届が出てこないことには全くもって無理な話だが、世界の低周波音学者達をビックリさせるような画期的な結論を出して欲しいモノだ。まー、そうなると関係者はもちろん自分の首を絞めかねない訳で、無理な話では有ろうが。


 日経(10/02/13)に「環境支援型外債広がる 風力や太陽光発電に活用」として載っていた。
 
 こうした確実な動きがあったので、証券界では"ノルマ"證券と言われ、”日本の株式市場の胴元”である野村証券が、国内では問題の多い、「風力発電事業者のクリーンエナジーファクトリー(CEF)は、2010年秋ごろに東証マザーズ市場へ新規株式公開(IPO)する。主幹事会社には野村証券を選任する予定。」をOKしたのであろう。言うまでもないが、日本の証券市場で野村が幹事証券になればまず失敗はない、と言われている。野村が本当に先見の明があるのか、その野村でさえも言いくるめる力がCFFに有るとすれば、流石に恐るべしCEFである。
 何れにしても、CEFは少なくとも上場するまで風車被害者に負ける訳にはいかない。とにかくIPOの後なら「最大100億円程度の資金を調達」できると言うから、とにもかくにもその後にしてもらいたいはずだ。悪い評判は。

 野村がいくらこのところ不景気でIPOが激減しているとは言え、この時期日本では何とも危うい風力発電事業、しかも悪評紛々のCEFのお先棒を担ぐのか疑問であったが、世界的傾向としてはまだまだ、地球的規模で行われている欧州、就中、イギリス発の似非科学発、”地球温暖化”阻止を国際的詐欺経済を応用した「環境事業」に乗り遅れることは出来ないわけだ。もちろん野村と言うより”日本の株屋”がやっている事自体未だに野村が仕切る博打場と同じであることは、日本の株式市場を少しでも知るものなら周知のことであろうが。

 どうも数学とか物理と言う純粋科学は一般人には理解し得ないため、程度の低い悪質な、しかし、金儲けには賢い経済学者に上手く利用されるようだ。ただ、そうした分野の専門家はなかなか悪用されていることを声を大にして喚かない。と言うよりも彼らはその分野に精通していればいるほど一般人民に易しく伝える術を知らない。で、一般人はそれを上手く利用した賢い金儲け屋にコロリと騙されることになる。


 上記”人体実験”「2.3 低周波音の感覚閾値等に関する被験者実験」を含む「平成21年度 移動発生源等の低周波音に関する検討調査等業務報告書」が環境省のサイトにアップロードされています。

 これについては語る必要もないと思っていたのだが、実は多くの人が語っていたのであった。

(続く)風車問題は誰が責任を取るのか3

新エネルギー全体に対する補助金体制の問題


最後まで読んでくれて有難う

100211,100518


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