「低周波音問題対応の手引書(平成16年)の確認・見直しを目的とした実験の被験者募集」


 09/12現在、「住環境騒音SOS」のHPで「日本騒音制御工学会からのお知らせ」として、「低周波音問題対応の手引書(平成16年)の確認・見直しを目的とした実験の被験者募集」と言う内容が提示されている。

 今回のデータ収集により「参照値」を含む「低周波音問題対応の手引書」を「確認・見直し」をするやもしれないと言うふれである。新たなデータ収集により、現実の被害状況にそぐわない「参照値」が間違いであることを証明する絶好の機会ではないのかと考える。

 しかし、こうしたお知らせが、実験主催者である環境省や日本騒音制御工学会のHPに公的に広報されてはおらず、掲載の一NPO法人から「被験者の集まりが悪い」と言うことを先方の関係者から知らされるまで当方も全く知らない様な程度にひっそりと掲載されるだけと言うのは、実験主催者は一体どう言った考えを持ってこうしたデータ収集を行おうというのであろうか。

 少しネット上を調べれば、既に幾つか低周波音被害者として名乗りを上げている、低周波音被害者団体や風車被害者団体などのHPもあり、そしてマスコミでさえ今やそうした被害者の状況は周知のモノとなっている。にもかかわらず、日本騒音制御工学会や産総研関係者はそうした組織に直接呼びかけるでもなく、あくまで「客待ち」の姿勢を貫いている。

 既にこうした態度から低周波音問題の真実を真摯に究明しようなどと言う態度が微塵も見られないことが明々白々である。”手を挙げる人が居なければ、誰もいない”という様な態度からして、この様な密やかな形でデータを収集すると言うことは、データそのものがその後どのように”料理”され、どのような結果が出されるのか、被験者=被害者達の猜疑心を増す効果しかない。

 それにも増して、こうした密やかな事業形態は、真にこうした事に関心を持った人たちにさえ十分に知れ渡ることはなく、結果としては、”被害者は実は騒ぐほどは居ない”などと言う結果を導き出す可能性が充分ある。詰まるところは、当に環境省の単なるパフォーマンスとして終始してしまう可能性が大である。

 まさに、そのためだけとも思えないが、私が知らせを聞いた12月には、本文中に「申込は11月中に締切」とあり、申込期間は既に切れていた。関係者に問い合わせたところ、「被験者はまだ十分に集まっていない」と言うことで、現在も募集しているようです。

 詳細については下記に「連絡」してみて欲しいと言うことです。


 そして、今回の被験者実験に参加する希望者が少ない理由の最大の理由の1つは、その後、「連絡」して解ったことだが、

(1)実験実施者は、苦情案件に係わるいかなる相談にも応じることはできません。(→仮に騒音被害者が参加しても、その苦情は何ら聞いてもらえない、など。)
(2)参加者本人からの請求であっても個々のデータを公開しない。(→自己採点も出来るモノでもなくセンター試験より程度が悪い。)
(3)実験参加後の体調の変化等に係る損害賠償の請求権を一切放棄する。(→結構疲れると言うより苦しい状態になるようです。)

 と言う、「同意書」へのサインを要求されます。

 実は、これらの(1)(2)のためなのか、これまでの産総研の低周波音被害者宅での騒音測定でも測定結果について公にすることは出来無いと言うことでした。私としては他人様や公共の眼には触れさせ得ないようなデータなのかと思ってきたのですが、恐らくその際にもこうした「契約」が結ばれていたのでしょう。とすればその測定は第三者的客観性を持たずある意味全く意味を持たない測定だった訳です。
 こうした、自分たちだけが真実のデータを握り込むだけの様な”前科”がこれらの組織には有るのです。自分の数字がどれであるのか全く解ら様なデータではその信憑性に大いなる疑問を持たざるを得ない。
 つまり、個々の測定値が解らなくては、主催者は、「意図的、恣意的なことは決してしない」と言っているそうだが、測定結果など勘繰れば、ドのようにでも操ることが出来てしまう可能性があり、それを確認する方法さえ被害者側には無い訳で、これではだれもが大きな不信感を持ち、データ収集に応じないのももっともである。


 この件に関し、その後、田原の風車被害者の大河さんが、環境省との交渉により個人データが出せるような経緯が有りましたが、結局「実験を行う産総研の倫理委員会」で”個人を特定しない様にする”というような規定が有るらしく、これが全てに優先するらしく、その後の経過として、(社)日本騒音制御工学会により以下のようなコメントがだされた。

…、実際には、実験が全て終了した後になりますが、環境省に報告書が提出され、
この報告書にはもちろん被験者のお名前は記載されていません
しかし、実験の日時等は記載されますので、環境省にお問い合わせいただければ、
ご自分のものと思われるデータは抽出できるようになると思います
ご理解をいただきまして、参加して下さいますようお願いいたします

読売新聞の記事「風車の音」健康への影響調査へ…環境省」にある、「住民が不快と感じた低周波音を、実験室内で再現して多くの人に体験してもらい、体調不良と低周波音の関係を再検証する。」とがセットにされ新たな「科学的知見」となるのでしょう。


住環境騒音SOSのHPより

(社)日本騒音制御工学会事務局より、「低周波音問題対応の手引書」(平成16年)の確認・見直しを目的とした実験の被験者募集について、本会に協力依頼がありましたのでその概要説明書を以下に転載します。低周波音の被害を受けている方、あるいは過去に被害を受けた経験のある方が対象です。希望者は11月中に、メールまたはFAXで、連絡先住所・電話番号、氏名、年齢、性別、被害状況、実験可能日等を書いて末尾の連絡先(学会事務局)に申し込んでください。詳細については、電話などで学会事務局の堀江さんに直接お問い合わせください。

◎測定概要説明書

1.目的

 環境省公表の「低周波音問題対応の手引書」(平成16年)の確認・見直しを目的として,低周波音の聞き取りに関する測定データを収集します。

2.方法

 実験室内にてスピーカから提示されるさまざまな低周波音を聞いていただき,それが「聞こえるかどうか」「許容できるかどうか」「気になるかどうか」等の観点から判断していただきます。

 併せて,聴力の確認のために,聴力測定・質問紙調査等を行います。

3.実施場所

 独立行政法人 産業技術総合研究所 つくば中央第6 低周波音実験室

 〒305-8566 茨城県つくば市東 1-1-1 中央第6

4.実施期間

 平成21年12月から平成22年2月

5.所要時間

 1人あたり8時間(1日にまとめても,4時間ずつ2日に分けても結構です。)

6.謝金等

 1時間あたり1,666円(源泉徴収税額込み)。

 遠方(つくば市外)からお越しの方には,交通費・宿泊費相当額を併せてお支払いいたします。

連絡先:〒102-0083 千代田区麹町3-12-6

      (社)日本騒音制御工学会事務局

       担当:堀江 侑史(裕一)

TEL: 03-5213-9797  FAX: 03-5213-9798  

e-mail: office@ince-j.or.jp(事務局)


「風車の音」健康への影響調査へ…環境省

 風力発電施設の風車の回転などで出る「低周波音」と呼ばれる音波が、人間の健康に及ぼす影響を検証するため、環境省は来年度から初の大規模調査に乗り出す。

 クリーンエネルギーとして期待される風力発電だが、近隣住民から体調不良の訴えが増加。人間の耳には聞こえにくい低周波音の影響が疑われるが、裏付けるデータがなく、同省は調査が必要と判断した。

 来年4月から4年計画で、国内のすべての施設1517基を対象にする。調査は、近隣住民への聞き取りなどから、不眠症や耳鳴り、手の震えなど健康被害の実態を把握。体調が悪くなる時間帯と風車の稼働時間との関係や、低周波音の発生レベルなどを継続的に測定する。住宅と施設との距離、気象条件などを考慮して、因果関係を探る。

 住民が不快と感じた低周波音を、実験室内で再現して多くの人に体験してもらい、体調不良と低周波音の関係を再検証する。

 同省は2004年、工場や工事現場から発生する低周波音に関しては、体調に影響を与える可能性の高い周波数の基準を示した。だが、風力発電施設の場合、風の強弱によって低周波音の周波数や強さが常に変化するため、工場の基準は適用できない。

2009年11月29日03時08分  読売新聞)

 最近聞くところでは、このデータ収集に応じた低周波音被害者は結局数名だったようだ。私見としては「低周波音被害は低周波音が聞こえる、聞こえないとは関係なく、聞こえない”音”でも被害はある」と言う事実が多くの被害者の存在により証明されることを期待したのだが、実験主催者にはもちろんであるが、被害者にもそうした考えは全く意図されなかったようで、残念である。


最後まで読んでくれて有難う

091204,100120


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