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随想
           
露天風呂三昧(平成22年6月17日脱稿)

   加齢と共に温泉に魅力を何故か感じ始めた。余生へのソフトランディングも兼ねて、還暦の数年前から荊妻を誘って毎月一回のささやかな温泉旅行を始めた。しかし、近隣の温泉に行き尽くすと目標を喪失した。

   60歳代後半(胃がんと食道がんの寛解後)からは、スポーツ仲間を誘っての年数回の温泉旅行に切り替えた。私にとって温泉郷の旅館やホテルの魅力とは彼らご自慢の会席料理にはなく、無心の境地になれる露天風呂にあった。でも、午前10時のチェックアウトに追われて、快適な朝の露天風呂にのんびりとは入れないとの不満を払拭することは出来なかった。

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はじめに

   昭和時代の末期(1988年)にふるさと創生1億円事業が始まり、愛知県の辺鄙な山奥にも無数の日帰り温泉兼露天風呂が乱造された。並行してスーパー銭湯も乱立。暫くは彼方此方(あちこち)の温泉やスーパー銭湯に1人で出かけたが、これも長続きはしなかった。管理が不十分で不潔感が漂う温泉に、嫌悪感を感じただけではない。
   
   ビールを飲むと帰途、車の運転が出来なくなるからだ。その上、露天風呂は混み合って騒々しく、1人静かに物思いにふけられる深山幽谷とは別世界だった。織田信長に焼き殺された快川(かいせん)和尚のように
『心頭を滅却すれば 火も亦(また)涼し』との心境に達することは、私ごとき輩には無理だった。

   露天風呂とビールとを同時に楽しむには温泉旅館に連泊するか、自宅に露天風呂を造るくらいしか解決策は思いつかなかった。我が家の2階のベランダは28坪あり、露天風呂を設置するのに面積での不足はないが、周囲からは丸見えになるのが玉に瑕。
   
   敷地が狭いためか屋上に露天風呂がある観光ホテル(その典型例は下呂温泉の『ホテルくさかべアルメリア』)にも何度か泊まったが、風情がなく面白さに欠けて敬遠するようになった。自宅の屋上では浴槽の周りに大きな鉢植を並べて囲っても自然の趣が不足し、癒し効果は得難いのではないかと、勝手に予想して頓挫。
   
   1階南面の5畳大のテラスの上ならば、少しは益(ま)しではないか、とある時ふと気付いた。善は急げ!! 余生は短い!!
   
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情報収集


   新聞にはリフォーム業者のチラシが毎日のように同封されている。手当たり次第に問い合わせたが、露天風呂を造った経験はないとの即答。豊田市に隣接する岡崎市には墓石業者が150軒(昭和末期のバブル期頃には300軒もあったのだそうだ!)もある。数軒に問い合わせたが露天風呂の設置実績はないという。友人や知人にも自家用露天風呂の保有者は1人も居なかった。

   今や日本中が温泉ブーム。露天風呂のない観光旅館は捜すのも困難なほどなのに、自家用露天風呂が何故普及しないのかイマイチその理由が判らない。私にとっての露天風呂の本質的な魅力とは、その医学的な効用を針小棒大に吹聴している温泉ではなく、入浴時の開放感にある。水道水で十分なので自宅に温泉の泉源は不要。それどころか本物の温泉だと排水は公共下水道管と結合せざるを得ず、配管費用だけ無駄。

   インターネットで商品としての自家用露天風呂を捜すと、数は少ないものの多少は見つかった。庭に設置する本格派、マンションのベランダ用の簡易型、別荘などの山小屋用。でも、近辺の業者ではなく、注文するのは面倒。

   露天風呂は浴槽と給湯とのセット販売が主。給湯には薪釜も多く、入浴準備が大変だ。子供の頃、生家の五右衛門風呂を沸かすのは子供の仕事。一時間も掛かった。結局、簡易型を自ら考えることに落ち着いた。

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基本構想

@ 定員一人用の浴槽のみを購入。給湯は内風呂用の灯油ボイラーから、給水は庭の散水栓から分岐配管し湯水混合栓で温度は調節。



   *赤いパイプが今回追加した給湯管

A 石鹸も入浴剤も使う予定は全くない。汗が含まれただけの排水はポンプで汲み上げて芝生に撒く。平たい底に残ったポンプでは汲み上げられないバケツ一杯程度の水は、雨水用の配管に流す。

B 屋外に設置しても10年(我が余生の最大期待値)の耐久性は確保。でも、木の香りがセールスポイントになっている木製に耐久性を期待するのは無理と判断。FRP製も屋外では紫外線による劣化は避けられない筈との疑問が残る・・・。
   
C 設置工事は業者が見つからなければ、日曜大工仕事を時々頼んでいる知り合いの80歳くらいの職人(元工務店経営者。長男に店を譲った今は、余生を楽しんでいる年金生活者)に何とか頼み込む予定。ご自分で出来ない仕事は現役時代の仲間やシルバーセンターの知人に頼んでいただけるので大変ありがた〜い存在。

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見積り依頼


   何はともあれ、どのくらいの費用が掛かるのか見当を付けることにした。偶々、昨秋から我が墓作りのために岡崎の墓石業者延べ10社と相談中だった。その中の2軒に概算見積もりを依頼した。


[1]特注品



@ 石製品、その1



   墓石では半ページもの大きな新聞広告を時々出している大手の岡崎墓石センターから見積書を入手した。直系140cm、深さ75cmの内側に半円弧状の腰掛が付いている円筒状の石風呂は、1割引後の価格が81万円だった。CADを使って設計したカラー写真も同封されていた。

『石ころは地球上何処にでもある無尽蔵な資源なのに、どうしてこんなに高いの?』
『原石はエジプト時代のように岩山から切り出すのではなく、ダイナマイトで岩山を爆破して採集しています。石風呂用の原石は墓石用より一回りは大きく、ひび割れのない巨石は少ししか採れず高くなります。これはダイナマイトを使う採石の欠点でもあります・・・。巨石から石風呂への加工賃は安いのですが・・・』


A 石製品、その2

   
   別の墓石業者に電話で問い合わせた。

『石風呂を安価に作るためには、大きな原石からギリシア時代に流行した石棺のように一体型で彫り出すよりも、墓石のように直方体のブロックに加工し、レンガのように組み合わせ、樹脂を隙間に埋めて漏水を防げば十分だと思います。

  今までに石で露天風呂を作ったことはありませんが、山勘でいえば40万円ぐらいは頂かないと・・・』


B 陶器製品

   
   テニスの帰りに1〜2回/月の頻度で仲間と共に出かけていた『げんきの郷(JAの産直市場兼スーパー銭湯。産直市場の売上額は日本で2位の年商20億円)』の露天風呂は盥(たらい)を深くしたような常滑焼製品だった。『とこなめ焼協同組合』から見積書を受け取った。(注。常滑市は愛知県南部にある陶器で有名な町)

   見積書に記載されていた4種類の風呂桶の中で、一番小さな丸型(直径105 cm,深さ58cm)でも割引後の価格は税込み470,400円、梱包運送費は別途28,400円。合計498,800円もする。


[2]既製品

   
    特注品は予想以上に高価だったので発想を変え、内風呂用の量産品が転用できないかと考えた。

   
@ FRP製品

   
   豊田市内の『桶源』の営業マンに相談した。屋号から昔は風呂桶などを販売していた老舗だろうと期待した。

   『INAXの売れ残りのFRP製の浴槽(満水280リットル、給湯200リットル。この容量がこの世界の標準品らしい)があります。定価は133,000円ですが49,800円に致します。でも、給湯ボイラーや灯油タンクは既存の設備を使うとの前提でも、給配管保温工事を含めて358,000円になります』

   一瞬、心が揺らいだ。しかし、私はFRPの耐久性にもともと不安を感じていた。紫外線による変色だけではなく、表面が劣化してひび割れると汚れが浸み込み、清掃が大変になるのではないかと・・・。


A ステンレス製品
 
   
   桶源は代案として満水280リットルのステンレス製も提案した。定価は8万円だが15%引きの68,000円にするそうだ。耐久性には満足だ。でも、イマイチ心が動かなかった。

   トヨタ自動車の保養所のリフォームで四半世紀( 25年)位も前に、大浴場がステンレス製に変わった。清潔感には溢れていたが、鍋の中に入っているように感じられて落ち着かなかった。改築されて綺麗になった愛知県立がんセンターの患者用の風呂も、ステンレス製浴槽だった。当時はステンレス製が流行っていたのだ。入院期間中何度も使用したが、何故かこれもまた落ち着かなかった。

   
B 鋳物琺瑯製品

   
   桶源は更なる代案としてタカラスタンダードの琺瑯鋳物(容量280リットル)製も提案した。定価は157,000円だがこちらも15%引きの133,000円にするそうだ。これだ!と心が弾んだ!!

   かつて自宅のリフォームでタカラスタンダードの鋳物ホーローシステムバスを導入した。爾来8年間、何の支障もなく大変満足していたからだ。

                                                   
[3]価格交渉
  
   
   浴槽の材質が決まれば、後は簡単だ。仕様の決定と価格交渉だけになるからだ。タカラホーロー住宅設備機器の総合カタログを取り寄せた。『バス』の項目の最後に『鋳物ホーロー浴槽直焚タイプ』と『築炉ユニット』が遠慮深げに小さく載せられているのを発見。露天風呂そのものだ。

   築炉ユニットとは薪焚用の耐火煉瓦と釜戸から構成され、資材費だけでも定価は88,000円もする。直焚では浴槽の底が熱くなるのでぴったりサイズの底板(税抜き4,700円)と専用の風呂蓋(税抜き10,500円)も必要になる。

   浴槽は3種類。一番大きな間口120 cm(280リットル)、定価150,000円(税込み157,500円)を選択。内風呂用では保温材料として発泡ウレタンが吹き付けられているが、直焚用では不要となるから、7,000円安くなるのだろうか?
   
   毎週のように新聞のチラシが入っているニッカホームに『浴槽は別ルートで購入します。給湯には内風呂用のボイラーを使います。耐火煉瓦は不要なのでセメントブロックなど安価な材料を使ってください。桶源の工事費は308,200円だが、お宅は幾らになりますか?』。詳細な見積書が届いた。261,000円だった。

   最後にいつもお世話になっている年金生活者のお爺さんにも見積もりを頼んだ。他社の見積書も見せた。返事は半月も待たされた。電話で催促すると苦戦している様子がありあり!遂に見積書が完成した。タカラの浴槽込みで税込み何と250,800円だった!

『どうしてそんなに安くなるのですか?』
『専門業者は現役の職人を使うが、私は左官屋として私自身が働くだけではなくシルバーセンターの素人職人と専門の水道業者にも依頼する予定です。人件費に大差があります』
『二つだけ小さな注文があります。見積もり金額末尾の800円は削除し、浴槽の蓋を無料で付けてください。それで良ければ即座に契約します。尚私は、契約金は一銭も支払いません。工事完了後の検査に合格すれば、現金で即日支払います』
『ご提案通りの条件で差し支えありません』

  桶源とニッカホームの営業マンには経緯を鄭重に報告して、おん礼に変えた。彼らからは再見積もりをしたいとの提案は出なかった。完敗したと納得したのだ。
        
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発注


   工事に期限は付けなかった。シルバーのお爺さんたちは過去の体験から、現役の職人とは異なり、好天で且つ暇なときに仕事をするのが常と体験していた。不意に飛び込む葬式とか、闘病中の奥様の病院への送迎とか、引退した年寄りと雖もそれなりに多忙なのだ。半日で引き上げる場合も少なくない。契約金額が確定しているため、のろのろ作業になってもいらいらすることはない。
   
   私がゴルフやテニスで外出していても、全てが屋外工事なので何の支障もなかった。給湯用の配管材は断熱材で覆われ、簡単に曲げられる樹脂製だった。我が家の外周長は概算50m。ボイラーと露天風呂とは建物を挟んで軸対称の位置にあり、右回りでも左回りでもほぼ等距離。
   
   最短距離の直線に配管する場合は、床下にある厚さ30cmの地中梁3ヶ所に穴を開けざるを得ず作業が大変だと断られた。エアコンの設置では軒下の壁に穴を開けざるを得ず、業界の談合なのか穴1個につき何時も1万円支払わされた。1回しか使えないダイヤモンドカッターが高いのだそうだ。結局、玄関を避けて右回りを選択し配管は地中に埋設した。
   
   浴槽の固定にはブロックとモルタルを使用した。流石は職人。水準器を使って正確に浴槽やブロックを設置した。モルタルの表面には建物と同色になるように調色した塗料を塗った。延べ作業時間は約40時間。総人件費は5〜6万円前後だろうか?

蛇足

   据付工事に先立って浴槽が運ばれてきた。若きドライバーとお爺さんの腕力程度では我が家への搬入はできなかった。急遽クレーン車を呼び寄せた。
   
   我が家から3Km地点にタカラスタンダードの展示場がある。営業マンから技術資料のコピーを貰った。詳細な数値が記載された設計図・材質(ねずみ鋳鉄)・重量などが書き込まれていた。浴槽の重量は109Kgだった。重かった筈だ。木枠で梱包されてはいたが、人力で持ち上げる作業は想定していないような荷姿だった。
   
   技術資料には給湯時に湯温が2度低下すると書かれていた。念のためにと検算した。鋳物の比熱は0.1前後。ガラスは0.2〜0.25なので鋳物琺瑯の平均比熱は0.15と断定。給湯温度と浴槽の温度差を25度と仮定すると
   
   △T=109Kg*0.15*25度/200リットル=2.04度
   
   序にその資料から製造元はタカラではなく、何と広島県の『大和重工』だったと判明した。早速、大和重工のホームページを検索した。
   
   http://www.daiwajuko.co.jp/

大和のホームページから

   ダイワには〈鋳物づくり〉170余年の長い歴史があり、鋳造技術を通して社会に貢献してきました。
   
   現在、当社には産業機械関連機器部門と住宅関連機器部門の2部門があります。産業機械関連機器部門は、評価の高い鋳物技術を軸にあらゆる領域の鋳物をカバーし、機械加工、組み立ての一貫した体制を整えています。
   
   一方、住宅関連機器部門は鋳物ホーローバスの製造を中心に、広く浴の文化を見つめ、豊かな生活提案をし続けています。さらに鋳造技術を生かして、景観製品、建設用鋳鉄機材などにも力を入れています。
 
   これからも蓄積してきましたノウハウをさらに発揮し、商品化の領域を拡充してまいりたいと考えています。

   
   大和のホームページには、五右衛門風呂・羽釜風呂・陶器風呂・磁器風呂・木風呂が紹介されていた。主たる納入先は観光業者だった。鋳物ホーロー浴槽の製造工程も詳細に紹介されていた。私は暗中模索したとは言え、結果的には日本で唯一の露天風呂の総合メーカーに期せずして辿り着いていたのだ。
   
   尚又、大和はゴルフ用のパターで有名なメーカと同一会社とはつゆ知らずのままだった。
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人体実験


   露天風呂を楽しんだ我が最長入浴記録は平成元年、トルコのパムッカレ(綿の宮殿の意)での2時間だ。夕暮れ時、棚田状に広がる浅い池のやや温(ぬる)目の温泉に浸かりながら、眼下に広がる景色(複合世界遺産)を楽しみつつ、越し方行く末に思いを馳せた。私を車で観光案内してくれたトヨタトルコの独身エンジニアは待ちきれず、一足先にホテルに引き上げた。

   第2の記録は荊妻と出かけた平成15年のマチュピチュ(ペルーにあるインカ帝国の遺跡)の真下にある温泉街での1時間だ。こちらも温めの温泉だ。団体旅行での同行者は早々と夕食会場へと引き上げたが、私には然して美味しくもない夕食(格安旅行の常!)など眼中にはなく、のんびりと温泉で過ごした。

   過去何十回も国内旅行で露天風呂に入った。でも、あてがい扶持の露天風呂に短時間入っただけなので、最適温度とか入浴時間がどの程度だと心底から満足できるのかも分からないままだった。

   我が露天風呂は4月15日に完成したが、初体験は好天になった17日だ。4月は天気に恵まれず僅か2回。でも5月は10回。此処までの体験で大体の入浴条件は掴めた。

@ 設定温度

   ボイラーの出湯温度をいろいろ変えながら人体実験に挑戦! その結果、快適な出湯温度は42度だと結論。25mの配管中での温度低下は1度。でも、10分間の給湯中に浴槽を加熱する結果、湯温は更に2度低下して浴槽の湯温は計算通りの39度になった。温めの温度だが、長時間の入浴には最適だった。

   毎回の出湯温度はその日の気温を考慮し、42度を基準にしながら1度刻みで臨機応変に上下に変更している。湯水混合栓(13,800円)は結果論だが不要だった。
   
   1時間後の湯温は37度。これでも36.5度の体温よりは高く、寒さは感じなかった。入浴直後の水温は体を温めるために熱めにし、時間の経過と共に湯温を自然に低下させる方が、一定の温度を維持するよりも、当たり前だが長時間の入浴には向いている。

A 入浴時間

   初回は念願の2時間も入った。1時間後には冷え過ぎたお湯を少し排水し、出湯温度を60度にして加温した。途中で待望の缶ビールを1缶飲んだ。入浴後、予期せぬ嘔吐が突然発生! 典型的な脱水症状を起こしていた。
   
   その後、1.5時間と1時間の入浴時間を繰り返し体験した結果、1時間に落ち着いた。車の運転では1時間などは気にもならない長さなのに、他に何もすることのない露天風呂では、僅か1時間でも大変長く感じられる時間だ。しかし、慣れてくるとリラックスのあまり睡魔に襲われるのか、僅かとは言え10〜15分程度の昼寝も時々発生した。
   
   1時間を超えると、逆にストレスが生まれそうに感じた。福井県の永平寺で座禅を組んで長時間修行している若い僧侶の我慢強さに改めて驚き、本当は100時間の禁欲よりも辛いのではないか、と彼らを尊敬する気持ちがほんの少しだけだが発生した。
   
B 給湯量

   露天風呂用浴槽と我が家の屋内用の浴槽とは外見は一見似ていた。しかし、満水量は同じ280リットルでも、外法(そとのり)寸法は異なっていた。

      露天風呂は長さが20cm短い120cm、深さは10cm深い60cm。薪焚時の伝熱効率が高くなる半球に少し近づけていたのだ。
   
C 発汗量

   入浴1時間での発汗量は1リットルに達していた。入浴中にスポーツドリンクを時々飲んでいたが、消化器からの水分の吸収速度は発汗速度に比べ遥かに少ないと分かった。
   
   全身に広がっている汗腺に比べれば、消化器の表面積は狭いから当然の現象だ。脱水症状の防止には、入浴開始時刻よりも数時間前に大量の水分を飲んで待つのが安全だと判明。

   平成22年7月4日のNHK『アインシュタインの眼』で汗に関する貴重な実験を視聴した。汗に含まれるミネラル成分の多少で、汗は悪い汗と良い汗に分けられるそうだ。汗が発生するとき、汗腺中の汗に含まれるミネラルを血液中に回収する時間が不足すると、血液中の電解質のバランスが崩れ熱中症に罹りやすくなる。

   高温のサウナに長時間入ると熱中症に、低温の岩板浴では罹りにくい理由を例にしながら解説した。

   露天風呂では発汗量よりも汗に含まれるミネラルの量を考慮すべきだったのだ。露天風呂に長時間入る場合は極力温度を下げればよいのだ。我が人体実験では原因解析は出来ないままだったが、湯温を下げて入ることにした方針は正しかったと知り一安心した。

D ビールを飲むタイミング

   入浴中の飲酒体験は2回で止めた。2回目も体調に異変が発生。何とか我慢していたら幸い嘔吐には至らなかった。この体験に懲りてビールは入浴後に飲むことにした。

   ビールの飲み心地には超満足。酔いがじわじわと全身に廻り始めると睡魔が来襲。炬燵に入ったまま1〜2時間の昼寝。その日の夜も入浴時の疲労の影響か快適な睡眠が続く。その上、いつもは平均して一回は発生していた排尿のための夜間の目覚めは全く無い。入浴時の過剰発汗のためか、水分がやや不足しているためのようだ。起床後の最初の尿の色はやや濃く、健康色そのものだ。

E 入浴に伴う疲労度

   入浴中に筋肉運度は全くしていないのに、テニスやゴルフ以上の疲労度を感じた。発汗量がスポーツよりも多く、肉体への負担が格段に高いように感じた。

   浴槽内での発汗では当然のことながら、蒸発熱による体の冷却現象が起きている筈がない。でも、そんな事情にあるとは認識できない我が『自律神経系』は、体温を低下させるべく健気(けなげ)にも必死になって発汗作業を継続していたのだと推定。

   浴槽が深い結果、湯量を多くし肩まで浸かり、頭だけ外気に触れるスタイルにすると下半身に掛かる水圧が高くなり、体が締め付けられ疲労度が高まることにも気付いた。

   上半身が外気に触れる半身浴にすると水圧が低下するだけではなく、そよ風が体を掠(かす)め森林浴に匹敵する快適さが感じられた。

F 体表面の変化

   風呂に入った直後、手で皮膚を撫でると皮脂で覆われていたためか、何となくヌルヌルしていた。自宅やスポーツクラブでの単なる入浴の場合は、垢摩りタオルかタオルに石鹸を付けて体表面をゴシゴシと洗う。その後、シャワーで石鹸を流すと皮膚のヌルヌル感は消滅し、垢を落し去ったとの満足感が味わえる。

   一方、露天風呂では入浴剤も石鹸も私は全く使わない。これらを使えば雨水の排水管に排水できなくなる。この条件の厳守は水道業者から念押しされている。もしも私が条件違反をしたことが豊田市役所に知れたら、業者は事業免許を取り上げられるのだそうだ。
   
   1時間後に体表面を手で触れると、恰も石鹸で洗ったかのようにどの部位の皮膚もかさかさになっていた。多量の発汗と共に皮脂も流れ去るのだろうか? 瞬間湯沸し型の灯油ボイラーは水道に直結されている。従って蛇口のお湯はそのまま飲めるが、入浴後でも浴槽内のお湯の透明度は全く変わらなかった。豊田市役所の担当者が調査に来ても文句が言えない筈と一先ず安心。

G 天候
   
   雨天は当然だが、曇天でも気分の上での快適さはイマイチ。雲量50%以下になった昼間(10〜15時)に入ることにした。

   真冬、どんなに厚着をしても皮膚に接する下着が体温以上にはなる筈はないので、露天風呂の方が暖かい筈だ。豊田市の冬季は日本海側とは異なり快晴頻度が高く、露天風呂向きだ。

   毎週1回、年間50回、死ぬまでに500回入ればスーパー銭湯の入浴料500円に追いつく。灯油代が別途100円掛かるがガソリン代と相殺!!
   
   家庭菜園は我が人件費を只にしてもコスト面では八百屋に勝てないが、癒し効果を加えることにより十分満足している。露天風呂の場合はコスト面で業者に勝つのは短期では無理だが、長生きさえすれば十分勝てそうだ。いわんや満足度では大勝だ!!

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露天風呂満喫



[1] 環境美化

   
   我が露天風呂は幸いなことに我が家の外周からの死角にある。南側の隣家は4mの擁壁下。西側の道路はミニ庭園の1.5m下に位置する我が家庭菜園から、更に2.5mの擁壁下。北側の坂道は建物の影。
   
   東側の道路(県営住宅の私道)は高さ1.2mのブロック塀と貝塚伊吹の垣根越しにある。とは言え、こそ泥対策として貝塚息吹の下部1.5mの枝は切り落とし、道路を歩く人から庭が少しは覗けるようにしていた。

   

   *東側の道路から覗いた露天風呂。ガードレールの支柱の背後にあるブロック塀の真上からほんのちょっとだけ露天風呂の蓋が見える。

   東側には4階建ての県営住宅があり、県営住宅と東側の道路との間には幅40m長さ250mの大駐車場がある。露天風呂に入って東側を見ると、道路を歩く大人は頭だけ、車は天井が見えるだけ。彼らからは我が頭部は見えるが胸部以下は覗けない。県営住宅は貝塚伊吹の上部の枝と葉で隠れていて全く見えない。
   
   しかも、東側の道路の通行人は極端に少ない。昼間の1時間では僅か数人だ。県営住宅の人は殆どが共働きなのか、昼間は無人地帯同然だ。同じ理由から車の出入りも極端に少ない。
   
   問題は露天風呂から見た我がミニ庭園の美観の無さにあった。みすぼらし過ぎるのだ。僅か1時間の入浴時間とは言え、楽しく過ごせるようにと徐々に手を加え始めた。
   

@ 芝の復活


   2年前(平成20年)の6月17日には第5回目のがん治療で入院。退院後は体力不足と無気力感に襲われて芝生の散水をサボったら天罰覿面。芝生の半分が完全に枯れ果てた。表土を削って芝を張るのは一仕事。そこで、ゴルフ場の真似をすべくカナダ芝の種を通販で今春購入して播種。夏冬いつも青さが維持できるそうだ。

   発芽率は悪かったが、剥き出しの土は殆どなくなった。でも、高麗芝とは性質が異なり、麦のように高く成長し始めた。毎週一回の芝刈りは必須と分かった。


A 貝塚伊吹の隙間対策


   私には垣根の隙間対策など関心はなかったのに荊妻が猛反対。アンカラのアナトリア文明博物館で見たヘラクレスの彫刻像や、フィレンツェのアカデミア美術館で見たミケランジェロのダビデ像ほどの肉体美ならばいさ知らず、我が老醜に関心を持つ人がいる筈がないと確信していたからだ。
   
   でも、古希も過ぎるといちいち反論するのも面倒くさくなり、荊妻に少しだけ協力することにした。成長速度の速いつる性植物を植えれば済むことだ。とりあえず、苦瓜・ツルムラサキ・かぼちゃの苗を植えた。しかし、運悪く今春は気温が低かったためか、なかなか成長しない。気長に待つことにした。
   
   本当はつるバラとか葡萄を植えたかったが、消毒が大変らしいので断念。朝顔の種も蒔いた。でも、何故か発芽しなかった。虫に食べられたのだろうか?



  *花ならば何でも良かった。貝塚息吹の樹間から見える赤瓦は南側に位置する隣家の屋根。

   
B 花

   
   視界を美しくするために直ぐにでも準備出来るのは、既に花が咲いている鉢植えを並べることだ。玄関周りに並べていた鉢植えの一部を垣根の前に移動させた。でも、平面状に並べるだけでは芸がない。



   *佐渡ヶ島で買った玉葱大の巨大球根のユリ

   
   我が家の西側道路脇に生えていた木が電話線の邪魔になるらしく、6月に至りNTTが持ち主の許可を取り付けて切り始めた。直径30cm程度に達していた幹を輪切りにしてもらい、鉢植えの台に転用したら、少しは様になった。



      *趣を加えるためにブラジルで購入した松の化石を輪切りにした風鈴を吊るした。相互に当たると金属性の澄んだ音が出る。


[2] 露天風呂の醍醐味


@ 加齢と共に欲しくなった癒しの場


   古代ギリシアのオリンピア競技は男性だけの競技だったとはいえ、不正防止のため一糸纏わぬ全裸で参加していたそうだ。これこそ何の補助具も使わぬ究極の個人間の競技だった。でも、近代オリンピックでは記録主義が蔓延し、陸上競技ではスパイクを履くなど補助具付き競技に変わり、水泳競技では水着の開発競争に脱線している。

   大自然の野生動物は人為的な規則に束縛されることも無く自由に生きている。一方、人類は幸か不幸か種々の規制を已む無く作り、お互いに我慢しながら生きている。度量衡とか交通規則とか時刻表などは規制とは言うものの、その約束があればこそ、大変便利だ。
   
   しかし、人類は過去たった1万年の間に種々の法律や習慣を作りすぎたように感じている。そんな規則は知らなかった、との弁明も許されない習慣も多い。広々とした大洋で泳ぐのにも、何と水着の着用が強要されている。
   
   私はいつの間にか何かに没頭する時には何がしかの規制や約束の場に身を置かないと、落ち着かない癖が残念なことには付いてしまった。読書でも子供の頃はその場所はどこでも良かった。でも、今では服装を正し、机上を整理し外部との接触を絶つ場に身を置かないと集中力が続かなくなった。出版社は遅筆の流行作家をホテルに閉じ込めて書かせるそうだが、十分あり得ることだ!
   
   我が居間には50インチのプラズマテレビ・250GBのHDD録画再生機・DVD&VHSの録画再生機・テレビ視聴用専用椅子・ステレオ・カラオケマイク・パソコンとその周辺機器・電話・5kwの大形エアコン・セントラルヒーティング用の熱交換器や炬燵も揃い、新聞・雑誌・書籍などが溢れている。隣室にはビール・ワイン・ウイスキー・ウオッカ・ブランデー・日本酒・焼酎・スポーツドリンクを初めとしたソフトドリンク類や好物の摘み類も欠かしたことは無い。一見何の不自由も無い知足生活に突入していたはずだった。

   しかし、過ぎたるは尚及ばざるが如しか? 朝風呂の後にたった一缶のビールを飲むだけで、海外旅行の事前勉強のために掻き集めたたった10冊余りの読書すら難しくなった。我が居間では気が散りすぎて、何を始めても長続きしなくなった。毎日10〜20番組録画している世界遺産など海外の取材番組の視聴(再生は時間節約のために10倍速)や昼寝など、どうでも良いことに貴重な時間を使い始めるのだ。

   その結果といえば、忽ちにして一日が過ぎ去り、無念無想の極楽浄土に辿り着くのは不可能だと感じ始めた。でも、何としてでも癒しの場となる極楽浄土に辿り着きたかった。


A 我が究極の極楽浄土





   若山牧水は『幾山河越えさり行かば、寂しさのはてなむ国ぞ今日も旅ゆく』との名句を残した。海外旅行にも飽きてしまった余生短い私は、生きている間にこそこれぞ『極楽浄土』と感じる場所を発見したかった。

   我が国の仏教界では戒名をお金で買えば極楽浄土に行かせて挙げるのだそうだが、余りにも馬鹿馬鹿しすぎて訣別した。その反動でもないが、これぞ極楽浄土と感じる場所とは何かを考え、牧水の猿真似をしながら温泉旅行を重ねた。我が求めていた極楽浄土とは俗世間の瑣末事を遮断し、全ての思考を停止し、眠くなるほどリラックスできる場なのだが・・・。

   試行錯誤の結果、我が極楽浄土の場を遂に発見した。山紫水明・深山幽谷で、のんびりと入れる源泉掛け流しの露天風呂だった。何とたわいない結論か! でも、動体視力が遂に0.1(平成 22年5月21日に受けた高齢者認知機能検査での測定値)に落ちてしまった私には友人や知人の支援抜きには、山奥に1人で出かけるのは残念ながら些か不安になった。

   捨てる神あれば、救う神あり。チルチルミチルが捜し求めた青い鳥と同じように、私の場合も身近なところで極楽浄土を造れたのだ。自宅の猫の額ほどの庭に設置した自家用露天風呂でのんびり過ごせぱよいのだ、とやっと気付いた。

   内風呂も同じ風呂なのに、窓があるとは言え湿度の高い密室の空間。換気扇を回せば騒音が邪魔。そよ風も吹かず開放感がない。同じ露天風呂でも西洋のように水着着用の混浴風呂では伸び伸びとした雰囲気が無い。療養が目的に感じられるだけだ。

   青天白日の元、澄み切ったお湯に何一つ拘束されていない全裸の肉体を沈めると、テレビも見れず本も読めず、浮世の瑣末事から完全に解放された。全てを忘れてぼんやり過ごすひと時ほど幸せを感じる瞬間は無かった。これぞ正しく長い間捜し求めていた我が極楽浄土だった。客観的に見れば野生動物やオリンピアの参加者の猿真似に過ぎないが、私にとっては一種の自然回帰の一瞬だ。

   極楽浄土とはどんな場所か、人それぞれだ。蓼食う虫も好き好き、自己満足の世界にすぎない。他人にとやかく批判される対象ではない。ある人は褌一つを纏って滝に打たれ、ある人は白装束に身を固めて四国八十八箇所の巡礼の旅に出かけ、ある人は過酷な比叡山千日稼業に没頭している。しかし、これら全てに共通しているのは、夫々に相応しい場が用意されなければ、その醍醐味を満喫できない点にある。

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おわりに


   今年前半の我が人生は露天風呂の設置企画⇒情報収集⇒工事⇒初体験で終わったようなものだ。昨秋から検討中の我が墓地建設は今年後半の仕事として先送りした。現役時代とは異なり、納期も無く過程を楽しみながら進めた趣味半分の仕事は、能率とか効率という概念に支配されない自由気ままな別世界だった。

   人が水と親しむと心が癒される根源は、何に由来するのだろうか? 西・北アフリカや西・中央・南アジアなどの乾燥地帯に、その多くが住んでいるイスラーム世界の人々が水に特別の憧れを抱いている、だけではないようだ。

   何処に住んでいても人には、美しい海・湖・ダム湖・池・峡谷・川・湿原・滝・噴水・泉・自家用プール・・・水の音(滝・せせらぎ・鹿威し・水禽窟・かけひ・・・)などへの限りない愛着を持ち続けているようだ。その証拠に、世界中何処でも大きな公園や庭園には美しい池があり、ゴルフ場でも無理やり作った美しい池が欠かせないようだ。

   松尾芭蕉のかの有名な『古池や、蛙飛び込む水の音』だって、澄み切った水の溜まった古池と静寂の世界があってこそ! 『
どぶ池や、蛙飛び込む水の音』では、硫化水素ガスなどの悪臭が連想されて様にならない。
   
   ベルサイユ宮殿では、宮殿よりも噴水庭園のほうが建設にかかった労力(主たる作業は10km離れた水源からのローマの水道橋式導水路の建設)は上で、宮殿建設の25,000人に対し、36,000人も投入されていた、そうだ。

   猫の額ほどの我が庭に僅か25万円で設置した露天風呂を満喫する余生。これぞ正しく我が求め続けた極楽浄土。がん死の恐怖も忘れ無念無想に耽(ふけ)られる一瞬の満足感は、私には何にも換え難い万斤の価値がある。でも、人様々、十人十色! 我が友人・知人に露天風呂の醍醐味を幾ら語っても、追随者は遂に1人も現われなかった。
   
   人類の普遍的な水への傾倒は、かつての羊水の世界への本能的な回帰心理ではないか、というのが検証も出来ない我が仮説だが・・・。

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読後感

先日10日、恩師でもある老師が午後12時過ぎの入浴中に突然の急死で、この世を去り、大切な人を失いました。当日の昼間まで元気そのもののご様子だったので、周囲も喫驚の終日でした。空蝉の世界とはいえ、如何しても避けて通れない生老病死は生きる苦行かもしれません。

そんな中、身近にしかも、自分の庭先に露天風呂を造り、人体実験までして、極楽浄土を見つけられる人は一握りにも満たない、変わった人と見る方が一般的でしょう。が、くすぐったい共感を覚える私もそんな境地を望んでいるのかもしれない。

本来の人間は束縛も規則もない自由な一生命なのに、年ごとに知識やあらゆる経験が生き方を邪魔します。

今回の露天風呂完成までの種種の体験話、面白く読ませていただきました。

@ ふとした機会に出会った元銀行員・法

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大和重工の鋳物琺瑯製の浴槽は、我が家でも38年前の新築時から使用中でして、この証拠には浴槽の排水用ゴム栓のチェーン取り付けブラケットに「Daiwa」の文字が浮き出ています。石松さんがいろいろ吟味された結果、同じメーカを選ばれたことで、自分も正解であったと安心しています。

この浴槽の耐久性は非常に永くて、これからの私達の余命以上であることは間違いないと思います。露天風呂三昧は、一生涯だけでなく子孫の代まで出来ますね。

A トヨタOB、世界的なスポーツマン

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ご無沙汰しておりますが、お元気の由ご同慶の至りです。ホームページも更新の都度、拝見させていただいております。

さて、色々お話したいことがありますが、思いつくまま述べさせていただきます。

@ 温泉の件

豊田市の方は近くの有名な猿投温泉(ラドン主成分)をなぜ利用しないのでしょうか。小生は週1回は通っておりますが三河NOはすくなく、地元の方にめったにお会いすることはありません。

猿投温泉の効能は格別で、飲料(20Lまで、持ち帰り無料)もでき、ゴルフの疲れもすぐとれます。遠くの温泉まで(時間、お金も無駄)わざわざ何故行くのか、人の気が知れません。

私は10年くらい前までに猿投温泉には数回出かけました。でも、朝夕2回入浴して肉体の清潔さを維持する習慣の私には、薄暗い建物の中にある大浴場は余りにも汚く感じて退散しました。まともな露天風呂も無く、景観も無くがっかりしたままです。

私は温泉の体への影響としては皮膚への若干の作用は認めています(アルカリ泉だと皮膚を溶かすとか・・・)が、健康に寄与するなどの効果が高いとは信じていません。温泉を飲料として飲むなど考えたこともありません。無菌であっても有害な物質が溶解しているかも知れず、安全な水道水を飲んでいます。


A 趣味

今年の4月以降、体の調子がよくなり色々な趣味を再開しました。

(1) 短歌は月15首は詠んでおります。最新作として、

◎ 老いし樹の 幹に空洞ありたるに 白き花弁勢い溢る(鶴舞公園の老い桜眺め)
◎ 老梅の  花弁は減り小さけれど 鮮やかに咲く振り絞るごと(梅坪梅林公園にて)
◎ まだまだ人生 これからだ これからだ  

(2) 琴は学生時代熱心に練習したせいか、半年間で元の腕前に戻り(師範クラス)、小生のレベルを聴いて、豊田市の琴の先生から教えることはできませんと言われ、名古屋の先生を捜しております。

(3) 詩吟はようやく本物の先生に出会え、基本から練習中です。(66歳の手習い)

(4) ゴルフは、矢作川の市の練習場で最後の練習をして、ゴルフ道具を売却するつもりでしたが意外や意外、名残を惜しんで軽くスイングしたらフォローの風に乗り、200ヤードの距離杭を軽々越え、真っ直ぐに空高く消えていきました。

夢よもう一度で練習を再開しております。また、機会がありましたらご一緒願います。(医師より、真夏と真冬は控えるようにと言われておりますので、スコアに拘らず健康第一で再開するつもりです)

まだまだお話したいことがありますが、またの機会に譲ります。では、くれぐれもお体に気をつけてください。

B トヨタ後輩・元ゴルフ仲間・法・豊田市出身者(先住民)には珍しい大卒トヨタ社員・定年直後に成人病で倒れ療養中だった方

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家具や電気製品を買う時は市販の既製品を選び、家のどこかに置くだけの至極簡単なことです。しかし、買う目的があって費用対効果や満足度を考えると、事前調査項目は山ほどありひと仕事になります。

ボケ防止にはいろいろあるが、何事もマンネリ化していつまでも真剣に取り組めるものは少ない。買い物は一回勝負、厳密には常に初体験で真剣に取り組まざるを得ない。つまり、恰好のボケ防止になっています。

露天風呂は設置場所選びから仕様の決定・相見積もり・環境美化の諸対策など、既製品の家具に比べて桁違いの大プロジェクト!

露天風呂の追随者が一人も現れないのはこの大仕事を遂行する気力がないからです。完成後の入浴を満喫されていると思いますが、それに劣らず設置過程のご努力が有意義であったこと間違いありません。乾杯!

C トヨタ先輩・工・ゴルフ&テニス&温泉旅行仲間

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露天風呂のHPを見させていただきました。

なかなか、快適そうなお風呂だということが、よくわかりました。

D トヨタ後輩・工・テニス仲間・家庭菜園に凝り100万円の農機具小屋を畑に作った方

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又もや読後感をご請求いただく羽目になりました。勿論即拝読していますが感心するばかりで、即感想をまとめる気になれません。これは後期高齢者になった老いのせいかと自問しています。貴兄のような心身共の若さは失せ、歳は取りたくないと思っています。

本題の感想ですが、貴兄の露天風呂までの経緯よく分かりますが、自分で作ると言う決心にはなりません。ロスの愚息の家にあるプール横のジャグジーにも入りますが、欲しいという気にもなりませんでした。

要するに何でも自分でやると言うこまめな性格ではなく、怠け者の性格が災いしていると自己分析しています。

それで入浴で今自分の日々の楽しみはトヨタのdanran(トヨタ会館地下)にあるサウナに入りその後ドイツの生ビール(レーベンブロイ)を飲んで帰ることです。このビールは美味いです。勿論飲酒運転はしません。

貴兄の露天風呂、唯作るだけでなく技術屋らしい調査分析評価、何時ものことながら感心しています。飽きることなく堪能されることを期待しております。

E トヨタ先輩・工・ゴルフ&温泉旅行仲間

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返事が遅れました悪しからずご容赦!

自宅の庭にての露天風呂良いですね。「我達観したり」の心境ですね。貴兄らしいですね。恒例の梅雨も「良き事哉」の心意気で乗り切りたいものです。益々、日々エンジョイしてください。

F ふとした機会に知り合った方・リハビリ10年⇒元気回復・ゴルフも復活

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露天風呂に関する人体実験は、石松さんらしくてほとほと感心しました。拝読しているうちに、或る記憶が蘇りまして、少し感想を。全て新聞情報ですが・・・

人間の体温では、27度で凍死、45度で高温異常(生存困難)ということで、37〜38℃が生存のために最適とか。

これは、細胞膜や細胞内蛋白質の疎水性分子の活動によるものとか。低温麻痺、麻酔、冬眠はこの活動に共通するものとか。また、35℃台から37℃台付近へ体温が1℃上がると、身体の免疫力は100倍になるとか。

それで浅学で推察しますには、温泉治療の効果は、成分の薬効能では無く、日に何度も温泉に浸かることによって体温上昇を行い、免疫能力の引き上げによるものではないかと。

推察を悪乗りしますと、病気になったときに発熱し体温が上昇するのは、人体が免疫能力を高め病気を克服しようとする自律神経のなせる業かと。

このように考えて行きますと、水道水で十分ですし、ぬるめで1時間も使われる露天風呂三昧の石松さんは凄い健康法を手に入れられたように感じました。

がんに効くかどうか判りませんが、ひょっとしたらとも思えてきました。

G トヨタ&大学後輩・工・技術士の資格を獲得し東奔西走しながら大活躍中

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露天風呂の評価(平成23年1月4日脱稿)

   平成22年4月15日に完成して一年弱の間に50回強入浴。統計学の元祖でもあるガウスが提案した『大数(
いすう)の法則』では、統計データから何がしかの結論を導くには最低50の事例が必要らしい。私はここらで我が露天風呂の総括評価を試みたくなった。

   当初、我が友人知人達は、冬季は寒いから露天風呂は埃を被るのではないかという予想をした。結果的には正反対だった。夏よりも冬こそその醍醐味が味わえた。

   浴槽内の水温を43度にして入浴すると数分で汗が噴出してくる。サウナと同じだ。その時点で浴槽の縁に腰掛けると、冷たいはずの寒風が爽やかな感触で体に当たり、何物にも変えがたい快感を味わえた。夏には体験できない現象だ。フィンランド人が冬サウナに入り温まると、雪が積もっている池や湖に元気に飛び込む心境の謎が解けた。

   入浴当初は43度の水温も徐々に低下し、1時間後には41度程度になる。体も十分温まっているので水温は下がった方が合理的。結局常時適温が続いていたことになる。

   今では睡眠時間を入れて平均すれば100時間(4〜5日)経過するたびに1時間の露天風呂三昧だ。これは我が余生の何と1%に当たる。

   幸い豊田市の冬は快晴の日が多い。真昼間、真っ青な空を見上げながら流れ行く白雲を眺めると、極楽浄土にいるような気がしてくる。最早私には露天風呂のない余生は考えられなくなった。入浴後のビール三昧はおまけのご褒美だ。仲間に会うたびに露天風呂の設置を薦めているが、実施した人は一人もいない。豊田市の平均的な広さの屋敷では、残念ながら周囲からの視線を遮れる適所がないのが障害になっているようだ。



   今まで何人かに我が家での露天風呂体験を勧誘したが、皆辞退。でも遂に4歳になったばかりの孫が、母親(私の娘)の反対(風邪を引くとの心配)を無視して平成23年1月3日に入浴。幼児は正直だ。写真の表情にその満足度が現れている。

                                                       
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