突然のように春暖がやってきた。股引を三枚履き超寒がり屋を自慢していた私は、エアコンで30℃に維持している温室のような居間での冬眠生活から、股引を二枚にして屋外活動へ軸足をやっと移した。でも、体力の限界に挑戦する気は全く起きない。過労死を避けるためには正味肉体労働の上限は毎日二時間。水と金の全てを当てているゴルフやテニスでも、正味運動時間は二時間足らずだ。

　　　今やスポーツクラブが大繁盛。日本人の健康志向意欲は急激に高まり、豊田市内でもスーパー銭湯と並んであちこちにオープン。我が知人たちの多くが長生きをしたいのか通い始めた。バーベルだって最初は体重の半分の重さを持ち挙げるのがやっとだった人でも、２年間も続ければ体重と同じ重さまでは持ち挙げられるようになるのだそうだ。

　　　その効能に満足している友人・知人から、今からでも間に合うぞとの誘いを受けたが、籠の中のモルモットのような不自然な運動は敬遠。病気や怪我などに起因するリハビリならば兎も角、日常生活に何一つ不自由していない現在、限られた余生はもっと有効に使い切りたいとの思いからだ。

四月の中心課題に選んだのが40年以上も、惰性半分で取り組んでいた家庭菜園だ。101ヶ国を目標にしていた海外旅行も昨秋のTunisiaで恙なく結願(けちがん)した今年は、家庭菜園の経験の集大成の年と考えて急に取り組みたくなった。

　　　小型の電動耕運機の使用は止めた。時間は掛るが体力を程々に消耗する肉体労働に変更。発生した軽い疲労を回復すべく、自宅のテラスに設置した露天風呂に漬かって１時間のんびりと過ごした後、ビールを満喫する程度で超満足。他人の評価など一切気にしない自給自足の平凡な仙人生活で十分。

①　春夏野菜への挑戦

　　　何時も驚愕するのは一年中スーパーで売られている36円前後/本のキュウリだ。私は採れ過ぎたキュウリを友人や知人に差し上げることは屡あるが、たとい360円でも家庭菜園で苦労して育てた我が家のキュウリを売りたくはない。

酢味噌片手に家庭菜園に出て、収穫一秒後のキュウリを生噛りできるのは家庭菜園の究極の魅力だ。天皇陛下でも体験不可能な贅沢さだ。しかし専業農家の苦労を聞くと、ただただびっくりするだけだ。郷里のある専業農家は毎日6,000本も収穫するそうだ。

数年前のある時、兄の知人が極端な腰痛に襲われ、キュウリの収穫作業が一時的だができなくなった。キュウリの農協への出荷基準は大変厳しい。長さ・太さ・曲がり具合など。このままではキュウリが大きく育ち過ぎ納品不可能になるだけではない。キュウリの蔓そのものへのダメージもあっという間に大きくなる。

その事情を風の便りに知った実兄は居たたまれず、本人の辞退は無視して代役を引き受け、奥様の作業を手伝った。でも、今度は兄が慣れない仕事で腰痛になり、遂に寝込んでしまったそうだ。

　　　狭い家庭菜園だがそれでも一年中何らかの採れたて野菜を満喫できるようにと、私は工夫しているが老人と老婆の二人暮らしでは食べきれない。

　　　3/3、伊豆半島に河津(かわづ)桜を見に出かけた機会に立ち寄ったSAで一粒約150円、鶏卵のように大きいイチゴを発見。急に食べたくなり９個入りのパックを買った。我が家庭菜園のイチゴはやっと白い小さな花が咲き始めたというのに。イチゴ農家の苦闘を連想しつつ食事の度に１個のイチゴを２つに切断し、老夫婦で分かち合う質素な生活。

　　　今年は心機一転。栽培面積を５畦(うね)から４畦にし、通路を広げ夏野菜の栽培本数を減らし、一本一本を伸び伸びと育てることにした。流行りの不織布で移植後の野菜を覆うなどの保温・促成栽培はせず、栽培期間は短くなっても夏野菜の移植は暖かくなる５月の連休明けを想定。４月はそのための準備だけ。

　　　苦土石灰や化成肥料と完熟牛糞堆肥を撒き、土づくりにも完璧を期したい。今年は地温を温めるためには面倒でも、畦の上は全面的に黒いシートで覆うことにした。シートは雑草の繁殖防止にも役立ちそうだ。

②　芝生

　　　通販でカナダ産の三種混合西洋芝の種を２ポンド(約900g)購入し、高麗芝の上から種蒔きをしたが発芽率が低すぎた。理由は分からない。売れ残りの古い種だったかも。昨年は近くの園芸店で西洋芝の種を１キログラム購入し、同じく高麗芝の上から播種。梅雨入り前の播種には効果があった。でも3/25現在、緑化率は一様ではない。青々とした西洋芝の中に、茶色のままの高麗芝の島があちこちにある。

　　今春園芸店に出かけて１キログラムの種を２袋購入し、ゴルフ場の真似をして高密度な播種に再々挑戦。明日の3/26は雨。今日こそは播種には最適なタイミングだ。梅雨入り前に残りの１袋を播種予定だ。１年後の緑化率100％を夢見つつ・・・。

追伸***高麗芝の島発生の理由が突然わかった。*******************

3/30は朝から雨。居間の炬燵から庭を眺めていたら、スズメが約10羽。無心になって４日前に撒いた芝生の種を食べていた。次回は梅雨の最中、高麗芝が伸びた頃に種蒔きをすることにした。種が芝生の中に落ち込めば見つけ難い筈と期待しつつ・・・。

③　蕨採り

　　　結婚以来46年間、荊妻と共に三河の山々に入り込んでのワラビ採りを年中行事にしていた。一月になると乾燥させていた大型夏野菜(トマト・ナス・ピーマン・いんげんなど)の枝葉や庭木の剪定屑を纏めて燃やした。その後の楽しみは焼き芋造り。翌日冷却後の草木灰をゴミ袋に入れて蕨の灰汁抜き用に保存している。

　　　山の手入れが徐々にされなくなったのか、南面傾斜地も雑木に覆われてワラビが採れなくなってきた。でも、耕作放棄されていた山畠の中にあったワラビの群生地に数年前に遭遇。蕨は土筆とは異なり収穫可能期間が100日間もある。

多くのライバルは黄金週間に山に入るが、私は庭のブルーベリーが満開になる４月中旬と、ライバルもいなくなる５月中旬の２回に亘って出かける。ライバルよりも一足早く、且金曜日に出かけるのがコツだ。土日には早起きしたライバルが採るからだ。

4/2桜は満開。蕨が既に生えているのではないかと予想し、陽気に誘われて何時もの山畠に長靴を履いて出かけた。ライバルが収穫した様子は全くない。一番乗りだ。気分よく収穫できた。

④　タラの芽

　　　蕨採りの間にタラの芽も見つければ収穫するが、量は大変少ない。その対策として庭の一角に家庭菜園向きに改良された棘のないタラの芽の木を植えた。脇芽が沢山採れるだけではない。タラの木は竹のように根が一本直線状に延び続々と新しい木が生えてくる⇒タラの木の並木になる。山菜の食べ方として専門書は天麩羅を推奨しているが、私はサラダとして生で食べる。天麩羅にすると貴重な香りが薄くなるのが嫌なのだ。

　　　専門業者はタラの枝を短く切り、温室に挿し木して人工栽培した長さ数センチの芽をスーパーなどで売っているが勿体ない。柔らかな葉が１０cm位伸びてきたときに葉柄だけを１枚ずつ収穫すれば、一つの芽から葉が二ヶ月間も次々に収穫できる。芽の根元から折り取るような習慣を真似ることなく、自分の好きな方法で収穫できるのも家庭菜園の醍醐味の一つだ。初収穫は3/29だった。

➄　グミ

　　　今まではどの果樹も植えっ放しだった。花が咲いても収穫が少ない場合、対策も調べずにそのままにしていた。でも今やインターネット時代。グミの収穫を多くする対策が簡単に分かった。

花の満開時にホルモン剤の一種『ジベレリン』を散布し、２週間後にもう一回散布するのだそうだ。3/25の陽気に誘われて近くの園芸店で協和発酵製のジベレリンを１瓶870円で購入。今年の初体験が楽しみだ。

⑥　ミニトマト

　　　今まではミニトマトも花は咲いても実がなるのは幹に近い部分だけだった。トマトトーンスプレーを780円で購入した。花房に１回スプレーするだけで実付が良くなるとか。親の意見とナスの花は千に一つも無駄はないとの諺もあるが、脇芽のナスには未熟なものが多い。同じ薬がナスにも効くとか。

インターネットは何と便利なことか。今年の成果が楽しみだ。ミニトマトが花房の付け根から先端までびっしりと鈴生りになった状態で収穫する喜びを味わいたい。

⑦　ベランダの整理

　　　断捨離に没頭した結果、今までは気づかなかった乱雑な世界が視野に入ってきた。ベランダが農業資材などの仮置き場になり、来客の眼に触れない場所とはいえ汚らしくなっていた。昨年来急に懇意になった職人に、鍬・備中・スコップ・レーキ・箒などの農具が吊るせる奥行きの浅いアルミ製品を２万円で作ってもらい、コンクリートの建物の壁面に特殊なネジで固定してもらった。

　　　ブロック・レンガ・蔓物野菜用の支柱・鉢植え・プランター・野菜用の培養土・化成肥料・苦土石灰なども片づけたら、掃除も簡単にできるようになり美しく片付いた。この程度の作業でも体力の衰えた半ぼけ老人には、残念ながら面倒になってきた。

⑧　コンビニの成長は続く

　　　マスコミではコンビニ飽和説がまことしやかに流され始めた。新規参入にbrakeを掛けたい業者の何時もの逆宣伝だ。小売で今や一番儲かっているのはコンビニ業界。新規参入希望者がいなくなる理由がない。

店舗が飽和すると価格やサービス競争が更に激化するが、店舗の1/3が撤退するまでは新規参入は続くと推定。10万店・年間売上総額は衰退に歯止めが掛らないスーパーと百貨店業界の合計値を一気に追い抜き、20兆円突破まで10年間は成長が今後も続くと予想。

　　　昨年のコンビニ業界の話題のトップはおでん競走。その結果、おでんが大変おいしくなった。ゴルフ場の茶店のおでんとは月と鼈(すっぽん)。私は大根の中心部まで出汁が浸透しているか否か、視覚と味覚で評価している。かつてはコンビニとは若者が出入りする店と見做して、恥かしくて立ち寄れなかったのに、今や毎月一回は平気で出かけるようになった。

主たる用件はお小遣いとしての年金下ろしだ。手数料が掛らないだけではなく、駐車場から10秒の距離も魅力だ。今や銀行に行くのは半年に一回、念のためにと通帳に取引結果を記入するだけになった。

　　　でも、未だ私はコンビニの一般商品は買わない。定価販売なので高すぎる。温泉旅行仲間と遠出をする時に、車中でビールを飲みたいため、已む無く立ち寄る程度だ。10万店時代になるとコンビニ向けの食品加工業界も社運を掛けて創意工夫に驀進。安価・安全・美味しい食材を供給し、独居老人だけではなく結婚もしない独身者にも大いなる福音となる筈。その日が待ち遠しい。

　　　結果的にはコンビニの最大の功績は、全国にある家族経営の店を撤退に追い込み、大局的に見れば国全体としての小売りの生産性が向上することに帰結する。

⑨　先進国の低成長は続く

　　　我が解釈では産業革命後発生した先進国の高度成長には５つの要因があったからだ。でも、６個目の要因が未だに現れてはいない。従って暫くは低成長が続くと推定。21世紀の後半まで50年の我慢か。

　　　５つの要因とは順不同だが下記の通りだ。

❶　交流電力の発明とその消費

　　　電力供給産業の勃興と電力を駆使しての産業界の生産性の向上だけではない。人類は夜間も活動するようになり、家庭では家電製品が普及した。九人家族(兄弟姉妹は七人)の我が生家がテレビを昭和34年春に購入したころの消費電力は僅か10kwh/月だったが、今や老人と老婆の二人暮らしなのに、1,400kwh以上にもなるとは！！

❷　エネルギー革命

　　　産業革命後に急増したエネルギー源は、薪炭から石炭へ。更には石油や天然ガスに移行して、地球の温暖化問題を引き起こすほどの消費量になった。

　　　並行して石油化学産業も勃興し、巷には石油化学製品が氾濫。ガソリンや人工繊維など膨大な需要も誕生した。

❸　computerの発明と普及

　　　コンピューターの発明後、僅か半世紀で人類の生活環境は一変。社会全体に張り巡らされたインフラは人類の生活を激変させた。

　　　一般家庭でも、パソコンやIT機器は生活の必需品になった。

❹　物流革命

　　　かつてラクダや小さな帆船で貴重品を運ぶ時代の物流コストは信じ難い程高かった。でも、大型タンカー・鉄鉱石や石炭などの原材料のバラ積み大型船・ジャンボ・自動車・鉄道・高速道路・大型コンテナ船などの導入は物流コストを画期的に下げた。

❺　農業革命

　　　過去50年間に人類が大繁殖したのは性交回数ではなく、化成肥料の大増産・穀物の品種改良をはじめとした農業技術の画期的な進歩だ。でも、そろそろ技術進歩のスピードも落ちて来た。異常気象が突然発生し、大飢饉時代に遭遇する可能性も視野に入り始めた。あな、恐ろしや！！！

⑩　ブラックボックス(フライトレコーダー＋ボイスレコーダー)

　　　マレーシアの航空機が2014年3月8日に行方不明になって25日経過した4/2になっても、未だに機体の破片ひとつ回収できない現実に驚愕。その報道情報の中で、ブラックボックスは二時間経過すると次々に上書きされていると知りびっくり。

　　　その飛行機の最大飛行時間に合わせて、ブラックボックスへの書き込みができるように書き込み時間が何故延ばせないのか、不思議。メモリーが足りないのであればブラックボックスを複数個搭載し、書き込みを自動的に繋ぐなどの工夫を何故しないのか。ブラックボックスが回収されれば、航空機の制御技術の改善には大変役立つだけではない。航空機の価格や乗客の命の価値に比べれば遥かに安上がりな対策に思えるのに・・・。

フライトレコーダー(飛行記録装置)は航空事故原因解析のため、高度、速度、荷重の大きさを示すG、エンジン回転数など飛行に関するデータを運航中常時記録保存しておく装置。最低過去400時間の記録を維持・保存する。

ボイスレコーダー(操縦室音声記録装置)は航空管制官との通信、機内の会話や警報音を常時録音する装置。最低30分間の録音は上書きせずに維持しなければならない。どちらも、空回りや上書きによるデータの消去を避けるため、バッテリー電源の使用を避け、破壊衝撃を受けてから10分間以内に必ず運転を停止させる。

一般にブラックボックスとも呼ばれるが、目立つよう橙色か黄色に塗り、反射テープを張りつけ、水中では位置を知らせる信号を発信し続ける。旅客機には両装置の搭載が義務づけられている。

⑪　宅配夕食

　　　急増して来た一人暮らしの高齢者相手の宅配夕食合戦の陣太鼓が鳴り響いた。ワタミを先頭に連日のように新聞広告やチラシが引きも切らない状況だ。ものは試しと、セブンイレブンの宅配食を一回だけ発注。１ヶ月間の見本写真集からお気に入りを選択。

　　　でも、現物を購入してがっかり。何故か食欲が刺激されない。同居している老婆曰く『当り前よ。私の苦心が少しは分かったのでは！！』。宅配昼・夕食業界の実力は、今はワタミの猿真似程度の幼稚な水準だ。しかし、この業界も今を時めくコンビニ弁当との闘いからは逃れられず、後５年もすれば日本人特有の日々改善の努力が実り、家庭での食習慣を変えるほどの実力が付くのでは？？

　　　私は男寡になっても困らないようにと宅配を一回だけ試みたが、急ぐニーズはない。入学試験のような期限はない。美味しくなるまで購入するのは止め、酒の摘みは専用冷凍庫に保管している食材を食べる生活に舞い戻った。その半分は自画自賛している自作の紅鮭の燻製だ。

今冬は海も荒れ魚が高騰した。３年前に初孫が慶応藤沢中学に合格したときに届けた５キログラム超の天然鯛は9,200円。今年次の孫の田園調布学園合格祝いに送った同じ鯛は何と23,100円。でもやっと価格も落ち着いてきた。鮮度第一主義の私は松坂屋豊田店の18:00からの刺身半額セールの分捕り合戦に挑戦する日常に舞い戻った。

⑫　足腰の強化

3/17から腸腰筋の強化のために室内階段を使って上り下りをゆっくりと毎日10回、約10分間の運動を始めた。在宅日には時間は十分あるのに、たった10分間の確保が何故か精神的に難しかった。生活の一部に入り込めなかったのだ。でも、力学的に考えれば、階段の上下運動には誤魔化しが効かない。立って登ろうが這って登ろうが仕事量は同じだ。人には頼めず頑張るしかない。

暇な生活なのになかなか開始できなかったが、実施時間を遂に見つけた。数年前にケーブルテレビを導入したら、テレビ番組が一挙に増えた。その時から予約検索システムを使って翌日の見たい番組を毎日20番組程度予約するようになった。検索時間は約10分間。今やテレビではニュース以外は予約後自動的に録画されたテレビ番組を、翌日高速で纏めて視聴する習慣に変わった。予約検索はすっかり生活の中に定着していた。

この時間帯を使えばよいとふと気が付いた。テレビ番組の検索が終わったら間・髪(間髪という単語はない)を入れずに、引き続いて室内階段の上下運動を開始することにした。在宅日は昼間・外出日は夜中に番組を検索。引き続いての腸腰筋の強化運動も夜中に実施。やっと生活の中に埋め込むことができた。やれやれ！！！

散歩嫌いの私は、朝・夕の入浴時に各10分間のストレッチによる大腿筋と脹脛の強化。ストレッチの負荷はその時の気分任せ。強くすれば軽い腰痛が発生する。今回導入した階段運動との合計30分間が遂に定着した。一年経過すれば少しは効果が現れる筈と確信しつつ・・・。

⑬　高齢者の脱水対策

　　　高齢者はトイレに行くのが徐々に億劫になり、水分の摂取を控える傾向があるそうだ。その結果、汗で水分を失う筈もない屋内暮らしでも、危険な脱水症になることがあるそうだ。

　　　毎朝、私は砂糖抜きの薄い紅茶を２リットル沸かしている。一度に使うティーパックは二袋。主たる目的は尿酸値を下げるために尿の量を多くするため。胃がん手術前の現役時代には鍋一杯３リットルの薄い紅茶を沸かし、30分掛けて出勤前に全部飲み干していた。30年以上も前からの習慣だ。

　　　胃がんの手術後は一度に飲める量が減少したが、それでも一日合計すれば２リットル。排尿の都度、尿の色を観察している。やや茶色になっていると判断した場合は、直ちに手元のペットボトルに入れて常備している紅茶を飲んでいる。副作用は全くない。当分の間、特別な脱水対策は不要と判断している。

⑭　男の肉体的な魅力

　　　我が郷里に近い福岡市には各町内会が維持管理している絢爛豪華な山車を、下半身は褌だけの若者が担いでスピードを競い合う祇園祭がある。私は祇園祭りを見たことはないが、テレビで見て感動。

「褌」の漢字は「衣」偏に「軍」と書くように、戦闘服に由来する。昔は布が高価であったことから、戦国時代では戦死者の身分は褌の有無で見分けを行っていた。当時は麻が主流であったが、江戸時代に入り木綿に代り、武士の他に一般庶民にも普及するようになった。一部の上流階層は縮緬などを用いていた。 第二次世界大戦までは日本人成人男性の主な下着となっていたが、第二次世界大戦後、洋装化が進んだことや、ブリーフ、トランクス等の新しい下着が出現したことで、急速に廃れた。

褌の由来は南方伝来説と大陸伝来説があるが、定説はない。南方伝来説の根拠は、東南アジア、ポリネシアや南米地区で六尺褌とほぼ同形状のものがあることから言われる説であり、一方、大陸伝来説は、中国大陸に「特鼻褌」（とくびこん、たふさぎ）と呼ばれる、男性の局部が牛の鼻のように見える褌が日本に伝来したとの説がある。日本の祭事に六尺褌が多いのは、南方伝来の六尺褌が根底文化にあり、大陸文化との折衷が始まり、時代を経て簡略化された越中褌が生まれたとの説が一部で唱えられている。

　　　若者の下半身の筋肉が十分に発育している場合には、その自慢の臀部は搗き立ての鏡餅のように皺ひとつなく艶々と輝いて美しい。

　　　ある時、テレビの取材に地域の責任者が答えた。絢爛豪華な山車もさることながら、山車を担いだときには担ぎ手の腰にも力が入り、後姿が凛と輝くのが祭りの見せ所。福岡市のような支店文化中心の転勤サラリーマンのお尻には、張りが乏しくみすぼらしいのだそうだ。

　　　私ははっと気づいた。昨年来、家の細かな改修に何人もの職人と出会うようになった。一流の職人は仕事を通じて臀部が鍛えられるのか、仕事中の後姿はズボンの上から見ても美しい。皿尻の職人に仕事を発注するのが気になり始めた。

　　　温泉やゴルフ場の大浴場の浴槽の周辺には洗い場があり、中高年男子の臀部が丸見え。普通の男は何故こんなに見栄えがしないものかとがっかりする。ぶくぶくと太っただけのお尻・廃用萎縮が進み吊るし柿のように小さくなったお尻・皿尻・垂れ尻。自分自身の貧弱なお尻は本人には見えないのが救い・・・。

　　　全国的に視野を拡大すると我が国には昼間から下半身丸出しの男の祭典は各地にある。一人ずつの裸を幾ら観察してもミケランジェロ作のダビンチ像を見た時のような感動は得られないが、大群となるとお花畑の花のように美しく輝く。

　　　なぜ青年は大群衆の人前にも拘らず裸になりたがるのか、本当の理由は私には分からない。日頃のストレス(悩み)を発散させたいのか、人に見せたいのか・・・。しかし、臀部の美しさに見とれて、女性が求婚している様子はない。

臀部を中心とした腰部が美しく逞しく発育している男なら、性生活の醍醐味がたっぷりと女性にも味わえるのではないかと推定するものの、動物界と異なり人間界では社会的な男の価値(学歴や収入など)も評価対象なのだろうか？ 痩せたソクラテスよりも求婚する価値があるとアドバイスしたいのに・・・。

裸祭とは祭りの参加者（氏子）が、生誕した時と同じ裸体となることで清浄無垢の姿で神との交渉を行う神聖な祭事とされている。裸祭りには禊として厄を落として新たに生まれ変わる神事と、闘争を伴い、その年の五穀豊穣・豊作祈願・大漁祈願を占う神事の二つに大別されている^[1]。

裸祭りは正月の修正会（しゅじょうえ）の直後か川祭、夏越し祭りの折に開催されることが多い。正月の裸祭りは物忌を終えた氏子が新しい生命を得て復活した姿を示すものであり、夏の裸祭りは穢を払う禊を起源に持つと言われる。

全国的に行われ、正月の裸祭りでは岩手県奥州市水沢区の黒石寺蘇民祭、愛知県稲沢市の尾張大国霊神社の儺追（なおい）神事、岡山市西大寺の会陽（えよう）、福岡市東区の笘崎宮の玉取り祭りなどがあり、夏の裸祭りでは東京都品川区荏原神社の天王祭り、京都市賀茂神社の夏越し祭りなどが著名である^[2]、常陸大宮市の祇園祭は毎年2日間開催され、1日目は男児が子供神輿を、2日目は成人男性が大人神輿を担いでいる。

⑮　ボールペン

　　　ボールペンの特許がイギリスで認められたのは私が生まれた年の1938年だった。

• 1884年にアメリカ人のジョン・ラウドが着想しているが、インク漏れを防止できず実用にならなかった。
• ユダヤ系ハンガリー人のジャーナリストのビーロー・ラースロー（László Bíró）が世界初の近代的ボールペンを考案し、1938年にイギリスで特許を取得^[9]。1941年にドイツを逃れてアルゼンチンに移住すると同国で会社を設立し1943年に同国での特許を取得してBiromeというブランド名で販売^[10]。イギリス空軍がこのペンのライセンス品（Biro）を採用し、高い高度を飛行中の使用に際してボールペンは万年筆よりも液漏れしにくいことが知られることとなった^[10]。

今や銀行・ゴルフ場などのサインはボールペンが使われる時勢となった。かつては数枚一緒に重ねて文字を書く場合にはBCC(ブラック・カーボン・コピー)を使っていたが、筆圧の高いボールペン時代になってBCC用紙は消滅。

現役時代に私が職場で愛用していた筆記具はボールペンかsharpペンシルだった。定年退職後の私はボールペンを毎日使うほどのニーズがなくなった。ボールペンは長い間使わないとinkの出が悪くなり使い難い。

この冬、ふとした機会にその対策を思いついた。電気炬燵の脚に円筒形の空き瓶を括り付け、ボールペン立てとした。大成功。突然使い始めてもすらすらとinkが出てくるのは過去の不快感の真逆、一種の快感だ。

⑯　寝室のペアガラス化

　　　我が寝室は三階の南西の角部屋。真夏の南からの太陽光線は庇に遮られるが、西日はサッシのガラス窓を直撃し室内はサウナ化。急激に安くなった真空ガラスの取り付けを近くの職人に84,000円で発注。

　　　3/30、僅か一時間で六枚のガラスの取り換えは完了。三月の夜間はサッシから冷気が流れ込むような寒さを感じ、エアコンの暖房能力に不満があったが、昨夜は暖かく眠れた。真夏に想定通りの効果か確認できたら、二階の南西の角部屋にも導入する予定だ。

⑰　カーテンボックス　　

　　　3/31、居間のカーテンとレールを撤去し、カーテンボックスを取り付けた。40年前に苦労して取り付けたカーテンレールだったが、カーテンを吊るしているだけで見栄えがしなかった。

　　　職人は『カーテンボックス内のレールとカーテンはセットにして、専門店に依頼されたい』という。カーテンボックスの真上にあるエアコンの吹き出し口を塞がないようにと、取り付けには大変苦労していた。我が居間の美化作業で残るのは、分厚い段通で半分だけ保護されていた周辺の畳を同じ場所で180度回転させて表替え同様の美しさに戻す作業だけになった。

⑱　薬の仕訳箱

　　　半ぼけ老人の悩みの一つは薬の飲み忘れとその真逆の飲み過ぎ。私は尿酸値の維持管理に二種類(ウリンメット⇒酸性に傾いた尿や血液を正常に調整。ベンズマロン⇒血中の尿酸を下げる)とコレステロールの管理(リバロ⇒血液中のコレステロールを下げる)に一種類、合計三種類の薬を毎朝一度に飲んでいる。

　　　大手の薬チェーン店に出かけ、日割りの袋に薬を入れる便利グッズを探したが発見できず。百均に出かけたら、布きれに一ヵ月分の袋が縫い付けてあるグッズを発見。でも、袋に剛性がなく使い勝手が不満だった。

　　　豊田市最大のホームセンターのテナント(薬屋)で遂に念願の薬の仕訳箱を発見。プラスティックスの蓋付き箱の中が格子状の小箱で7*8に仕切られていた。一行目は曜日の欄。残りの行は一日に朝・昼・夕の食事の前後と就寝前の七回分。私には七週間分の薬の準備ができた。たった一つでも悩みが解消されると何と嬉しくなることか！！