初めの低周波音被害者へ


 先ずは「あなたの騒音被害が所謂低周波音被害なのかどうかを確かめてもらう」ためと、「もしそうであったらその次にどうすべきか」のために、サイト内のあちこちに書き散らかしてあることどもをかいつまんでみました。

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1.低周波音被害の発生源と発症

 低周波音発生源としては、

@大昔から自然界に存在する火山、地震、山崩れなどに伴う地鳴り、津波の場合等自然の大きな変動に伴い発せられる現象で、それらは強大ですが一過性のモノで、火山などは近づかなければ良いわけで、その他は継続時間は短時間で、継続的ではないので低周波音被害者を生み出すようなことは有りません。さらには、

A近代的な発生源として鉄道(特に新幹線)、道路、飛行機などの交通機関、それにそれらの音を増幅する橋梁、高架橋下・近辺、トンネルから出る際の爆音に含まれるなどし、そして、

B比較的最近では終夜稼働の工場機器(モーター類)や冷凍庫、冷蔵庫、エアコンの室外機の騒音、クレーンやバックホーなどの建設用重機、多くのディーゼルエンジンによる稼働時・アイドリング時などほとんどの騒音が含まれます。そして、

C特に最近増えてきているのがBの機器を業界が騒音規制をクリアするために意図的に”低周波化”した(業界ではこれを”静音化or低騒音化”と言う機器からの騒音。これに関しては、中には意図的に気にしなければ、殆ど気にならなくなったモノもある。例えば、家庭用の冷蔵庫、洗濯機などは代表である。
 が、エネルギー量の大きいモノ=単純に言えば重機(バックフォー)などの”静音化”は低周波音被害にとっては一段と苦しい結果をもたらしているが、そうでない人には本当に低騒音となっているのだろうか。特に低騒音型の削岩機などの駆動部はそれを駆動するコンプレッサーの超低周波音は脳みそを揺るがすような音がする。先日経験したのだが、電柱を埋め込む掘削機は猛烈な超低周波音が響き渡り、私にとっては、地震か、山崩れかと一体何が起こったかというような超低周波音の轟音がし、全く低騒音では無いが、恐らく、普通に聞こえる音の部分の音は物理的(測量してみると)には減っているのであろう。既に低周波振動被害者となってしまった我が身としては、こうした場合、流石に昨今は作業が終わるまで素直に自宅から避難する様にしている。低騒音と思える普通の人はそんなに長い時間では無いから低周波音被害に遭うことはないはずだから恐れる必要はなかろう。

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そして、最近特に増えてきて、問題となっているのは、エコキュート、エネファームなどのいわゆるエコ機器からの低周波音、超低周波音騒音である。これらは実にタチが悪いことに、現実的な被害がその機器が向いている直ぐお隣だけくらいにしか及ばないので、被害者は個々として出現し、近隣がこぞって被害の声を上げることができない点である。そして、問題なのは、これらの機器は、”商品”として売り出されているだけに、当然ながら騒音規制など法的にはクリアしており、現実的には取り締まることが出来ないと言う事である。
 これらは、業界が言うように、単純に室外機の設置方法だけで解決できるモノでなく、設置場所を隣家と距離が相当取れる道路側に向けるなどし、とにかく隣家とは相当な距離(何十m)を取るべきである。はっきり言えば都会のせせこまし住宅地や、普通クラスの団地など狭い敷地(敷地4,50坪程度)の戸建て住宅地など、そもそもにおいて閑静を旨とする住宅街などには設置すべきではない代物である

 本来なら、業界内に於いてこうしたことはマニュアル化すべきであるが、売り上げ至上の業界とエコと言う国策の前に規制されることはない。しかし、放置しておけば、次々に被害問題が起こり、何れ多くの裁判が起こり、商品イメージを大きく下げるだけでなく、”欠陥商品の放置”と言う大きなツケが業界とそれを推奨している国に回って来るであろう。

E更には、風力発電機の風車からの騒音(および振動音)
がある。これは専門家からは騒音が問題であり低周波音被害ではなく、有るなら超低周波音問題であるという意見もある一方、超低周波音は聞こえないからそれによる被害はない等する一方、国は、一般の”低周波音発生機器”と同じく「製品と低周波による健康被害との因果関係はわかりません。調査中」と言い続けている。それを良いことに、業界は問題を放置したままorより巧妙に製品の"普及"に懸命だ。
 が、エコキュートに続き、エネファームについても消費者庁が2015年11月27日、「運転音や振動と症状との関連を調査することを決めた」という動きに何らかの期待を持つしか無い。こうした中でも敢えてこれらの機器を設置しようとする人はこういったことを知らないか、隣人に危害を加え、何時騒音加害者として被告にされるか承知の上で設置すると言って良いであろう。

 だが、原因(科学的知見と国や業界は言う)はどうであれ、するべきは、明らかに存在する「低周波音被害者」、国は"苦情者"と呼ぶが、を現実の低周波音地獄から救うことである。論理的には、それはいとも簡単なことで、そんな問題はなかった=そうした機器がなかった以前の状態に戻すことだ。即ち、風車で言えば、風車さえ無くせば問題は全て解決するのだ。それができない当局としては、「検討中、調査中」と宛のない方策を示し、問題解決の引き延ばしと先送りをしながら、一方では被害者を前に「被害はない」と、被害そのものの存在を根本から否定するという将に現実の被害を根本的に否定すると言う、全く非科学的な机上の空論的科学論を開陳し問題解決の先送りを延々としている。
 どうして、こういった非論理的な人間そのものを無視したような無茶苦茶な論理がでてくるのかと思っていたが、実はこの「問題を無いモノとして根本から否定するという方法」は他の場面でも行政は使っていることが解ったがそれは別に譲る。私が解ったくらいだから、結構頻繁に使っているのであろう。

 問題になる騒音は、近代産業開始以来の人工物回転物(モーター)から継続的に長時間発せられる”低音”です。これには所謂これまでの「普通の騒音」も含まれていますが、そうした場合にはこれまでは比較的「大きな騒音」となり、それらは法的にも規制されていますので、所謂、「騒音問題」として現行の法律内で”善処”が可能な場合があります。と言うことで、最終的に役にたつ、立たないは別にして、騒音問題に関しては一度は行政に”相談する”ことをお薦めします。


 昨今問題となっている低周波音問題は、これまでの、所謂”騒音問題を改善するため”に、騒音全体の中の、人間に聞こえ易い範囲の音の部分(=騒音の比較的高音部分)を人工的に減少させ(これを静音化という=簡単な方法はモーターの回転数を少なくする=ゆっくり回転させる)、”静かにさせた場合の”騒音”です。しかし、これが結果として、逆に、騒音の「人間には聞こえにくいとされる低音部分を相対的に際立たせることとなり、それが”静かな低周波音”となりました。それが長期間継続的に鳴り続いている場合に低周波音被害を生み出しやすくなります。私見はサイト内「音と脳」に書いてありますが、今のところは所謂専門家達によってもこの被害の機序は説明されていないどころか、そうした試論さえありません。それは当たり前で、特に国は調査中と延々と言い続け、あたかも「そうした被害は無い」としていると同じで、むしろ敢えて、被害の有無に関して触れなければ、”証明”は必要無いわけです。一方、その意を酌んでか、「被害は無い」と言う論文は多く出ています。しかし、実際には多くの被害者が声を上げているのですから、それをどう説明するか考えた挙げ句が、「聞こえない音(小さい音の低周波音や風車騒音の様な超低周波音)は健康に影響を与えない。単なる気のせいだから、気にしないように」と言うのが今のところの国の公式見解と言えましょうか。

 と言うことで、昼間たまたまの通りすがりやチョイと滞在したような「人間の誰の耳にも明らかに煩いと思えるような音では、まずは所謂低周波音被害は生じません」。但し、風車に関しては明らかなる「シュッ、シュッ、…」と言う音が聞こえますが、遠くまで聞こえませんのでこれで低周波音被害者になることはありません。問題は、圧迫感を感じる音と言より空気の壁が襲うような音圧です。一度、「低周波音被害者」になってしまうとその場に到着しただけで、それらの音圧を感じ取ることができ、その場を即座に立ち去りたくなりますorそこで気付かなくても翌日くらいには目眩などの何らかの影響が出ます。そうならない人は低周波音に強いというか、鈍感と言うことでしょう。


 低周波音被害の発症可能性のある人と言うのは、その音の大小とは殆ど関係なく、感じられる程度でも、長期にわたって(どの程度と一概には言えません)、継続的にor規則的に発せられ続ける音源の近辺に”居住する”人、です。近の例では、本人としては感じていなくても低周波音症候群の不調を呈していた人の寝室の近くに実はエコキュートが有ったと言う例が有ったようです。

 また、これまでのところ私が知る範囲では、低周波音被害者は一家に一人というような場合が多いのですが、それは現在ではアレルギー体質と同じように個体差、個性と言うべきでしょう。実は何らかの共通要因があるのかも知れませんが、被害者間の情報交換でも今のところ解りません。一方、被害者と同居人で低周波音被害を発症しない人は、後年に至り、その騒音の振動数に共鳴しやすい内蔵諸器官(心臓などの循環器系が多い)に影響が現れる場合が多く、その場合は、心筋梗塞、脳梗塞が多いようです。

 なお、低周波音被害者になると発症原因以外の低周波音でも敏感に感じるようになり、果てはあらゆる騒音に対しても敏感に反応し、辛い思いをするようになり、時には、精神障害とは全く無関係でありながら、放置しておくと、多くの場合、様々な症状から鬱症状を生じ、結果として、事件、自殺にもつながることさえあります。これらの”騒音事件”の幾つかは断続的で有っても継続的な騒音(例えば、ピアノ練習、犬の鳴き声、布団たたき、…)が原因でしょうが、低周波音も関係しているのではないかと私は考えています。


2.低周波音被害チェック

 下記は、拙サイト中の(超)低周波音問題基礎の基礎に引用してある汐見文隆医師の著作から、あなたの騒音被害が、「普通の騒音被害であるか、低周波音による被害か」を取りあえずチェックするためのモノ(一部改変)です。

@先ずあなたが気にしている騒音、振動が普通の騒音によるモノか、低周波音によるモノかどうかを以下の表でチェックしてみましょう。
  特に、「戸や窓の開閉」、「耳栓」によるチェックは容易ですし、客観的にチェックできます。
  そして、騒音源のチェックですが、自宅内の騒音源により”ヤラレル”様なことは基本的に有りませんが、確認のため自宅のブレーカーを切って音が止むかどうか一応確認してください。

普通騒音被害と低周波音被害との鑑別表
騒音 低周波音
騒音源 明らかに煩い騒音源が近くにある ”一聴”静かだが唸るような音を出しており、夜になり辺りが静かになると特に気になる
感覚 聞こえる 感じる、わかる
被害の表現 やかましい(うるさい) 苦しい(うるさい)
被害の実際 聴力障害(不定愁訴?) 不定愁訴(不快感)
被害の状況 戸外できつい 室内できつい
戸や窓 閉めたら楽 開けたら楽
テレビなど 楽になるとは限らぬ つけたら楽
振動 伴わない きついと伴う
個人差 少ない 著しい
普通騒音計 測定できる 測定できない
防音対策 耳栓 有効 無効(憎悪?)
遮音壁 有効 かえって憎悪
閉め切る 有効 かえって憎悪
防音室化 有効 かえって憎悪の恐れ
難易さ 対策は容易 対策は極めて困難
経過 慣れてくることもある 鋭敏になっていく
法的規制基準 ある ない
 参考 汐見文隆 著 「道路公害と低周波音」より(P.50)

A続いて、次のような身体的被害が出ているかどうかチェックしてみましょう。
ただし、被害の感じ方は騒音源の状況、低周波音に曝されている期間の長短、本人の特性により相当異なります。

低周波音健康被害(低周波音症候群)チェック
状況 1 近くに騒音源と思われるモノがある
2 被害を訴えるのが家族の中であなた一人か、皆ではない*
3 行政、騒音源側は取り合ってくれない*
心理的影響 4 低周波音、振動感が知覚されてよく眠れない
5 気分のイライラ感
6 騒音源などに対する攻撃的思い*
7 音、振動が止んでも続いているような感じ*
生理的影響 8 胸の圧迫感・息苦しい・呼吸困難
9 食欲不振・吐き気
10 ふらつき・立ちくらみ
11 脈拍が速くなる・血圧の上昇*
12 頭痛・頭に帽子をかぶったような感じ
13 耳鳴り・耳の圧迫感・痛み・ふさがり感
14 目がクシャクシャする
15 目、鼻などからの出血*
16 肩の痛み・凝り
17 のどがはしかい
18 全身の圧迫感
19 手のしびれ
20 足が痛い・だるい
汐見文隆 著 「低周波公害のはなし」を元に被害者の声を参考に管理人が一部追加(追加項目は*印)

3.結果

 そして、あなたの騒音被害が、上記のような低周波音被害でなく、所謂普通の騒音被害の様であれば、行政の、公害課とか、環境課のような窓口に訴えてください。騒音規制法等の法的措置により行政によりそれなりの措置がとられるでしょう。

 しかし、もし、あなたが気になる、或いは既に苦しくて耐えられない音による苦痛が、上記の低周波音被害である可能性があると思えば、全く身も蓋もない話ですが現在の所、お手軽な技術的軽減方法、あるいは、医療的治療方法等は全く有りません。強いて言えば、睡眠剤で眠られる様にすることです。

 また、行政の、公害課とか、環境課に訴えても、@相手が個人である場合「民民の問題で介入できない」、A仮に企業で有る場合まずは否定し、どちらも、なかなか測定にまで至らないのですが、仮に測定に至っても「測定の結果「参照値」に届いていないでの問題ない」と言うことになり、先ず間違いなく行政の支援等は受けることは出来ません。


 最近、エコキュート、エネファームでは、被害者により裁判が起こされる上、消費者庁が「エコキュートには問題有り」、エネファームでは調査を開始し始めています。しかしながら、現今の規制法、そして、それに基づく行政の措置が全く役にたたないことをしっかり確認し、窓口を罵倒するために、下記の@を合法的に試行する「怒り」というエネルギーを生み出すために、面倒ですが、行政の窓口を是非とも訪れてください。

 その際には是非とも先ずはこちらに目を通しておいて損はないはずです。環境省「低周波音問題に関するQ&A

 と言うことで、あなたがその被害から逃れるには、現在取り得る、有効な方法は、

 @その騒音源の機器を撤去する
(言うまでもありませんが、被害を撒き散らしている方は幾ら他人を苦しめても、何ら罪に問われることは有りません。もし、騒音源をあなたが自力で撤去しようとしたりすると、器物破損とかの何らかの罪に問われますので気をつけましょう)

 Aもう一つは、あなたがそこを立ち去る
 (持ち家ではなかなかこうはいきませんが、賃貸ならあれこれ考えず引っ越すのが一番です。)

 そして、現在、@を法的に訴えている方の紹介です。高崎エコキュート被害訴訟(=和解に至りました。おめでとう)

 また、あらたにこちらではエネファーム被害で提訴に至りました。

 なお、こちらNPO法人STOP!低周波音被害には現在進行形の実際のエコ機器を初めとする低周波音被害に関しての被害状況について、「被害者の声」など種々の情報が提供されていますので、是非ともご覧ください。


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