環境省「低周波音問題に関するQ&A」への被害者的コメント

初めての低周波音被害者=”苦情者”が行政に相談する前に、「このくらいは知っておこう」


地震や津波の被害はそれはそれでもちろん大変だが、後はとにかく全力でそれなりの時間を掛けて復興させるしかしかたない。しかし、原発の被害は何はともあれ眼にも見えない放射能の程度が明確に認識できず、明らかにされ終息するまでは一向に復興どころか復旧も始められないであろう。国は震災直後、民心を安定させるためであろうが、”「直ちに影響は無い」から、騒ぐな、軽挙妄動すなるなと言うのが”正確な情報”としていたが、その後、当時”知らぬが仏”のような想定外の被害がドンドン出てきたのだから、どう考えても”お国”の情報を「鵜呑み」にするのは非常にヤバイ。この調子でいけば、忘れた頃にキット隠されたもっと大きな何かの被害がまだ出てくるんじゃ無かろうかとの杞憂が無くならない。

 先月(2011/06)環境省のHP「低周波音問題に関するQ&Aなるものが載った事に気付いた。内容的には以下のようでこれまでの被害者を含む関係者にとっては格別の目新しさはなく、何を今更の感ではあるが、当サイトとしては、しばしばああだこうだと、拙サイトのあちこちに散らばっている”いちゃもん”にまとめてお答えいただいているような気もするので、中々に結構なサイトだと思っている。

 ともあれ自治体の低周波音”苦情者”対応の担当者にまずは目を通して欲しい気がする。
もちろん行政の担当者は環境省言うところの"低周波音問題の専門家"なのであるから、既にこんな初歩的な事柄は十二分に知っているはずなのだが、環境省の書き方を見ると「お前等!もうチョット俺たち(=環境省)の言ったことを読めよ!」と言うような感じになっているような気がするのだが…。

と言うのは、わざわざこうしたサイトが今頃になって作られることを考えると、現実として、「低周波音被害について何も知らない新しい被害者」は日々生まれるであろうし、そうした被害者がまず辿り着く行政は、これまた”次々に単なる担当部署として専門家となる新人”に次々と変わっているわけで、本当の専門家はほとんど居ず、現実として、被害者は、なかなか

@自分が異様に思う気分が、低周波音が原因であると言うことが解らなかったり、
A騒音源が特定できなかったり
Bよしんば、それができても一体全体どうしたら良いのか解らなかったりで
Cどうしても耐えられなくなるまで我慢してしまったりして、
  やっとの思いで
D自治体へ被害を訴えるまでに時間が掛かる。

 その挙げ句に辿り着く自治体の窓口担当者も、頻繁にある苦情ではない様で、職員も基本的には数年を経ずして持ち場を替わってしまう場合も少なくなく、環境省言うところの"低周波音問題の専門家"など育っているはずも無く、「はい、待ってました。それはですね、ペラペラ…」なんて訳には行くはずもないのが、環境省”公認”の低周波音問題に関する専門家の現状であろう。


と言うことで、低周波音問題に関しては、自治体窓口では担当者も被害者も“初体験“と言う場合が、特に小さな自治体はもちろん、担当者が頻繁に替わるようなやや大きめの自治体でも、少なくないと思われる。ところが、実際は、低周波問題の被害者は自治体に辿り着く頃にはもう既に大抵十分に苛立っているいるのが普通なのだが、一方担当者は”新人素人”職員である場合も少なくない。で、詰まるところは、自治体窓口は低周波音”苦情者”が何を言っているのか解らないため、”クレーマー”扱いし、「民民問題には介入しません」とか「低周波音用の測定器がない」等と言って、「門前払い」を喰わせる場合が少なくないと言うのが未だに多くの自治体での現状と言えよう。

ということで、被害者的には、環境省が幾らそれらしいマニュアルなんか作っても、実際の現場に於いては何ら役にたっていないと言う感は強い。一方、環境省としては何時まで経っても低周波音問題について何もしていないわけではない事をアピールし、同時に自治体には、“まー、せめて、このくらいは他人(県や国)に聞かずとも自分達で何とかしろよ。で、一々こっちに相談するなよ”というアピールなのかも知れない、と思うわけであるが、実際に環境省に聞いたらどういったアドバイスがあるのだろう。まさか”門前払いをしろ”などとは決して言っていないだろう等と思いながら…。

こうした状況は(国言うところの)苦情者=被害者の気持ちを一層苛立たせ、詰まるところ被害者の中には環境省まで詰め寄り、環境省から自治体への“上意下達”的に何かしらしてくれるような場合も無くはないと聞くが、基本的には何もないであろう。しかし何かしてくれるかも知れないと言うような当てのない事を被害者に強いるとは、何と面倒なと思うが、実は被害者が環境省にでも直談判する方法が、問題解決とか処理に必ずしも直結するわけではないが、問題を一歩でも進める可能性のある現実的には“有効最速”の方法のようだ。

と言う事が多すぎると言うわけでもあるまいが、環境省的には自治体の担当職員は歴とした“低周波音問題の専門家”と言う認識のはずで、そのために「平成16年度に作成した「低周波音問題対応の手引書」を普及し低周波音問題を解決するための知見を広めるために、平成16年度〜20年度の5年間で19ヶ所、延べ人数1844名の受講があった」と言う様な講習会を環境省は”専門家”を講師として開いている訳であり、例え、出席しない自治体の担当職員でも“低周波音問題処理に関する「基礎」の”き“はここにまとめて載せたから、ある程度は現場で処理しろよ”というような内容だ。

とは言え、こうしたファイルをアップしなくてはならないと言うことは、自治体レベルの低周波音問題処理は環境省的には思わしくない状況なのかもしれない。それは

 @自治体の担当者は他に忙しいことがいっぱいあって低周波音問題にかまけている訳にはいかない、という点もあろうが、
 Aこの手引書自体が現実的に現場に於いては役立たない、

 と言うような場合もあるわけだ。

もちろん、当然ながら問題解決に於いて必死なのは被害者であり、少なくとも「問題解決への意欲」は自治体職員を遙かに上回り、自治体窓口へ赴くまでには職員より“知識武装”しているかも知れないのである。もちろんこうした現実の状況は低周波音被害者にとっては極めて酷では有るが、単に自治体に“お縋り”していてもそれは先ず間違いなく先に進むことはないと言うことである。

 例えば、エコキュート低周波被害について-高崎市の回答等を見るに付けても、“門前払い”になる可能性が大で有る、と言うことで、まずはこの程度は“学習”しておけば、一応、“門前払い“になることは少ないであろうし、”参照値の足きり(環境省 低周波音問題対応の手引き書における参照値の取扱について)“にあってもタダめげることはなく、問題の結末を自治体任せで有耶無耶にさせるのではなく、環境省まで被害者は個人の力で上げいけるようになるのではなかろうか、などという、全くもって私勝手な環境省寄りの妄想的な見方をしてみた。


Q1 低周波音問題への環境省の対応はどのようになっていますか?

Q2 手引書はなぜ作成されたのですか?

Q3 手引書には何が書いてあるのですか?

Q4 『参照値』とはどのようなものですか?

Q5 『参照値』以下では、低周波音が原因ではないのですか?

Q6 『参照値』に科学的な根拠はありますか?

Q7 感覚閾値と『参照値』は違うものですか?

Q8 『参照値』はいわゆる基準値ではないのですか?

Q9 『参照値』は風車(風力発電)には適用できないのですか?

Q10 風力発電から、低周波音が出て健康や生活環境に影響があると聞きましたが本当ですか?

Q11 風車に関する騒音や低周波音に適用できる基準はありますか?

Q1 低周波音問Q2 手環境省の対応はどのようになっていますか?   

Q1 低周波音問題への環境省の対応はどのようになっていますか?

A 環境省では、低周波音問題の対応のため、平成16年に「低周波音問題対応の手引書」を、平成14年及び平成20年に「低周波音防止対策事例集」、「低周波音対応事例集」を取りまとめ、公表しました。
この内容に基づき、研修等を行って、低周波音や騒音等の苦情処理を行っている地方公共団体等に対応をお願いしております。
 また、一般の方向けの解説書として、「よく分かる低周波音」も作成しているので、ご覧ください。
なお、環境省では、音として通常聞こえる空気振動のうち、周波数20Hz〜100Hzの低い周波数の音と、音としては通常聞こえない20Hz以下の空気振動を、まとめて「低周波音」と呼んでいます(20Hz以下の空気振動を指す場合は、「超低周波音」と呼んでいます)。

(URL)
低周波音問題対応の手引書
低周波音防止対策事例集
低周波音対応事例集
よく分かる低周波音


 一般の方向けの解説書である「よく分かる低周波音」へのコメント

Q2 手引書はなぜ作成されたのですか?

A 平成5年度頃から低周波音の苦情が増加の傾向にあり平成12年に「低周波音の測定方法に関するマニュアル」を作成しましたが、それ以降、さらに低周波音の苦情は急激に増加しました。なかでも暗騒音(問題となる騒音以外の騒音)が小さい(音圧レベルが低い)、静かな地域の家屋内における、小さい低周波音に関する苦情が多く見られました。しかしこのような低周波音について測定方法は示されたものの、苦情にどのように対処していくかが明確ではありませんでした。これを改善するため、平成16年に「低周波音問題対応の手引書」が作成されました。


 一般の方向けの私の記憶ではこのころ環境省は「暗騒音(問題となる騒音以外の騒音)が小さい(音圧レベルが低い)、静かな地域の家屋内における、小さい低周波音に関する苦情が多く見られました。」とあるが、こうした状況は全く無視していたような記憶があり、かりに「小さな低周波音」を問題としていればそもそも”轟音”レベルに匹敵するような「参照値」のような絶対的な数値は出てこなかったはずで、どうも後付のような気がする。

Q3 手引書には何が書いてあるのですか?

A 手引書には、[1]苦情申し立て内容の把握、[2]現場の確認、[3]低周波音の測定、[4測定された低周波音の評価の方法、[5]対策の検討、[6]対策効果の確認という一連の筋道における、具体的な方法や配慮事項、技術的な解説が盛り込まれています。事例集と併せて用いることで、低周波音問題の解決を図ることが期待されています。 特に、低周波音の評価の方法としては、発生源側で測定される低周波音と苦情者側で測定される低周波音の対応関係を調べることが特に重要であることが述べられ、対応関係を調べる方法が示されています。これと併せて、手引書では『評価指針』が示され、それまでの手法では対応の難しかった小さな(音圧レベルの低い)低周波音に関する苦情に対応するために、『参照値』が提案されました。


 「手引書」はそもそも低周波音問題を担当する行政の窓口・担当者の為に書かれたモノではあるが、「苦情申し立て者(=騒音苦情・被害者)」のあなたとしても、行政としてはこのくらいはしてくれそうだと言うことであり、「苦情申し立て者」としては行政の窓口に出かける前に”敵の”「一連の筋道」くらいは頭に入れておくことが最低限必要であろう。

 (1)被害者の[1]苦情申し立て内容の把握は一応何処の行政も「ひとまず苦情を聞くだけは聞いてくれる」と言うことである。多分[2]現場の確認くらいまでは、現場に来る、来ないは別として聞いてくれるであろう。

行政に申したてる」場合に、あなたの騒音問題をなまじっかに、殊更に低周波音問題として訴えると、“行政にとって最悪の場合”は[3]低周波音の測定と言う事になり、面倒なので、待ってましたとばかりに「低周波音用の測定器がない」とか「借りられない」とか「技術者が居ない」とか言い逃れるかも知れない。しかし、絶体にそんなことはさせてはいけない、少なくとも県レベルでは低周波音専用の測定器は借りられるはずで、下部自治体が「お願い」すれば測定も可能なはずです。

 つまりは、単にそうしたことが面倒とか、県に御世話になりたくないと言うような自治体の怠慢と下らない面子のために測定できないわけで、“[2]現場の確認”迄も至らず、終わらせられてしまうことがまだまだ少なくなく、これを低周波音問題の自治体による門前払いと呼びます。

 (2)幸い測定器が有り測定に漕ぎ着け、“[3]低周波音の測定“に至っても、相手が企業とかであれば、まだ”良い”が、エコキュート、エネファームなどの家庭用機器であると@”行政の民民問題不介入“とかA自治体職員の夜間業務の”忌避“とかで、相手側(騒音源側)での騒音源直近での測定が難しく、「低周波音の評価の方法としては、発生源側で測定される低周波音と苦情者側で測定される低周波音の対応関係を調べることが特に重要」という点が全く満たされない場合が少なくない。

 (3)やむを得ず、[4]測定された低周波音の評価の方法において、低周波音の「聞こえ」の対応関係は被害者の聴覚による単にon-off(被害者に聞こえるかどうか測定者が聞く)が測られる事になるのだろうが、実際上環境がある程度で静かであるか、ある程度騒音源が大きくないと明確にon-offに対応することは難しいでしょう。実際的にその程度の音が低周波音問題となるのであり、初めてそこに来た人でも解るようであればそれは所謂騒音の可能性が強いでしょう。

 因みに私はエネファームの超低周波音を被害者のお宅内でその振動も”騒音”も感じとることが無かったのですが、その晩から3晩ほど、眠りが非常に浅くなりました。
これが超低周波音の影響かどうか一度の体験では解りませんのでまたの機会を得たいと思っています。


 そして、結局最終的にはその測定値を次に出てくる「参照値」に照らすことになるのだが、あなたの被害現場に響き渡る低周波音は先ず間違いなく“「参照値」以下で問題無しになる”でしょう。これの最たる場合が風車騒音である。これを“「参照値」による低周波音問題の足きりと言い、なかなか[5][6]まで行かないのが現状だ。


 あなたの現場の測定値を「参照値」に照らせば、先ず間違いなく騒音源の低周波音の音圧は全く問題無いことになるでしょう。(と言うのは「参照値」は元々現場での騒音値が問題になる様な数値には設定されていないからです。もし、越えればそれは間違いなく問題です。)自治体の担当者はそこで、“でしょう。測ってもしょうがないと最初から言ったでしょう”、何ては言わないまでも似たような内容を告げるでしょう。

 しかし、ここで諦めては折角このページを読んでくださったかいがありません。ここからが始まりです

 “低周波音問題に関し、如何に「参照値」は現実の被害の究明には全く役立たず、被害の否定にのみ役立つ数値であることを、あなたが認識すると同時に行政に確認させる(彼らはそれを最初から知っているので面倒を厭うのでしょうが、その面倒をさせる)ことが是非とも必要です。そして、自治体職員にこれを記録として残させ、即ち、例えば、「環境省の推奨する参照値に照らして、あなたの騒音現場の低周波音は全く問題有りません」と言うようなお”墨付き”(=文書)を是非とも必ず出させましょう。多分なかなか出さないでしょうから密かに最後のやり取りを録音でもしましょう。そして、そうした現場が有ったことを行政から環境省に伝えるように言っておきましょう。

 こうした”意味のない虚しい測定結果”が全国的に積み上げられることにより、低周波音問題解決に際し、「参照値」による被害の足きりは窓口段階の事務処理的には非常に便利であるが、低周波音問題の真の解決には全く無能と言う事を自明の理として周知させていきましょう。実はこうした行政の手間を省く「窓口処理手口」は多くの行政で見られる。

 かなり好意的に解釈すれば、そもそも環境省がこうしたファイルを出さねばならないのは、これまで被害者の自治体への被害の細々ではあるが延々とした訴えがあり、自治体窓口はその処理に困り、お国に”どう処理するの?”とお伺いしていたのでしょう。残念なことに環境省は下々の被害の現実を必ずしも十分に把握できて居るとは思えません。もちろん環境省の要請に対して自治体が十分に対応しているとも思えません。それは環境省的に言えば、自治体の直接窓口が怠慢であるか無能であるかなのでしょうが、それは諸般の事情により仕方ないことなのでしょう。それを無理矢理上意下達的に「自治体担当」を動かせるには、直に環境省へメール、電話する様な形で、被害者の直接の声を、もっともっと多く、もっともっと声を大にして「自治体担当窓口を責めろ」と言うことだと私は理解しています。

 と言うのは、“被害の現実がない”などと嘯いている地方は、もちろん対応の苦労とか、面倒さを理解しない環境省に処理と言うより問題そのものを“上げて”いない可能性が大なのです。それはひいては環境省的には“被害の現実にのない事案に対処しようがない”と言うエクスキューズを得ることであり、それは当然ながら予算も付かないと言うことで、具体的に言えば、環境省としても日本騒音制御工学会に“何かのお仕事”を発注することもできない、と言うことでしょう。どんな仕事でも内よりは増しで、その中から思わぬ新事実が見えてくることも有るからである。

Q4 『参照値』とはどのようなものですか?

A 建具類のがたつきや室内での不快感などについて苦情申し立てがあった場合に、低周波音によるものかどうかを判断する目安となる値です。
 手引書では、低周波音の測定を行い、まず、1)発生源側の測定結果と苦情者宅の測定結果の対応関係の有無を確認します。対応関係がなければ、推定された発生源以外が原因である可能性があります。2)対応関係が認められた場合には、苦情者宅の測定結果を『参照値』などと照らし合わせて、苦情の原因が低周波音である可能性について検討します。

1)は、具体的には、以下のように行います。

1.     [1]原因が疑われる低周波音の発生源の施設・機器等を稼働・停止させたときに、苦情者の苦情の状況に変化があるか

2.     [2]発生源と苦情者宅での測定結果を比較して、音圧レベルの変化や周波数特性に対応関係があるかどうか

 『参照値』とは、発生源の稼働状況と苦情内容に対応関係がある場合に用いるものです。具体的には、測定された「ある周波数の低周波音が、その値以上であれば、その周波数の低周波音が苦情の原因である可能性が高い」と判断するための、「その値」であって、周波数毎に定めています(1/3オクターブバンド中心周波数毎及びG特性音圧レベル)。

 なお、一般の生活環境中にも低周波音は存在していますが、あまり気にはなりませんし、影響も現れません。低周波音について、どの程度の大きさの音圧レベルが発生しているのかが重要なのです。


低周波音について、どの程度の大きさの音圧レベルが発生しているのかが重要なのです。」当にここが重要なのですが、しかしながら、残念なことに、「参照値」は実験室で得られた“気になる音の大きさ”の音圧レベル数値を示しているに過ぎません。即ち、その値は都会の喧噪の中でも、全く静かな住宅地に於いても、また、夜も、昼も同じ数値であり、環境の相違による数値の相違が有りません。

しかし、それは“何かを単純に科学的に示すには仕方のない”ことなのでしょう。そして、単純に科学的に示すには“例外を切り捨てる”ことも仕方のないことでしょう。しかし、現実に低周波音を問題にしている人たち(=被害者)の測定値がこの「参照値」に余りにも当てはまらないとすれば、それは@実は切り捨てられた“例外的な人たち”を対象とすべきであったのではないでしょうか。低周波音の感知力は個人差が大きい事はそれこそ、自明の理で有ると事はこれらを作成した人たちでさえ知っているのです。例外の方が多いような規則は規則としての役目を果たしません。見方を変えればこの方法自体が間違っているのかも知れません。

人間が音を気にする、気にしないは時間的、環境的、そして、もちろん個人的な体調的によりも異なるであろうことは誰もが経験上することでしょう。もちろん何時如何なる場合にも騒音が気にならないような人もいるでしょうが、そうした音に「異常に鈍感な人」は、多分実験に於いて切り捨てられたもう一方の例外のはずですが。

普通に言えば、仕事中の工場内(見学者ではありません。そこで働いている人には恐らく騒音はあまり気にならないでしょう。)とか、飛行機内とか、地下鉄内とかではまず間違いなく騒音と共に相当に大きな低周波音が響いていているはずですが、それで低周波音被害者になった人はほとんどいません(コックピットの操縦士が低周波音被害に遭ったという研究VAD)。それは他の多くの周波数の騒音に紛れ、特定の周波数の騒音が顕著に表れることはなく、そして何よりも人間の活動が活発になりテンションが上がっているからです。これが所謂と言うより低周波音の専門家の言う、「一般の生活環境中にも低周波音は存在していますが、あまり気にはなりませんし、影響も現れません」と言う低周波音なのです。静かな住宅街で普通に暮らしている場合にはそもそも騒音が有りません。

これと、眠りに入ろうとする時や深夜の他の音が全く聞こえないような住環境では、TVのボリュームでさえ下げます。出来ればタイマーをセットしておきます。そうすれば真夜中にTVの音の目覚めスイッチを切るようなこともありません。
 でも、この時もし小さいながらも継続する音が聞こえてしまったら、その音は例え小さな音でも気になります。さらに、その音が継続的に低く「ウーン」とか響いたらそれが低周波音です。例えそれが小さな”蚊の鳴くような”音であろうと、そうした状態が続くとますます気になります。それが蚊ならマズ間違いなく殺そうと頑張るでしょう。蚊は殺せば音はしません。しかし、低周波音騒音源は撤去するまで続きます。この2つを「音圧が小さい」と言うことで”科学的”に混同させるのが"専門家"の手です。例えば、「風車も扇風機も低周波音を出している」と。
 
 そして、もう一つ低周波音被害者を苦しめるのは混乱させるのは、これに冒されると、例えどんなに小さな音でも、その音は紛れることはなく、むしろ”音質選択的”にその継続的な機械音などを人間の耳は探していってしまうのです。この場合には最早、「低周波音について、どの程度の大きさの音圧レベルが発生しているのかが重要」なのではありません。被害現場での低周波音的聴力だけが鋭敏化するのです。これを低周波音に対する”ダンボ化現象”と私は名付けています。

こうした状況から、この問題の専門家達は低周波音被害への対策として、@例え聞こえても気にするなA聞こえてもそれは聞こえないはずの音だから人の体に影響はないなどと、苦しい日々の中から末期的に訴えてきた被害者を“精神論”で説得しようなどとします。

Q5 『参照値』以下では、低周波音が原因ではないのですか?

A 測定値がどの周波数でも『参照値』以下であれば、多くの場合、低周波音は原因ではないと考えられるので、100Hz以上の(低周波ではない)騒音や、地盤の振動など他の原因について慎重に検討するよう手引書で示しています。問題となる周波数や原因が違っていれば、十分な対策の効果が得られないからです。ただし、感受性等に個人差があることもあり、『参照値』以下であっても低周波音が原因である場合も否定できません。この場合は、詳しく調査をするよう、「手引書」では勧めています。
 なお、発生源側との対応がない場合には、苦情者自身の問題(耳鳴り等)の可能性も考えられます。耳鳴りなどの苦情者自身の問題の可能性については、苦情者の申し出を注意深く聞きながら、苦情の内容を医学的・総合的に判断することが必要であり、最終的には専門家の判断が必要であるとしています。


 殆どの“低周波音苦情者“において、聴覚の異常などが医学的に判断されることはありません。ただし、それらしい騒音源が見つからないような場合は、医学的疾患の可能性もありますので、医学的疾患の可能性を潰すためにも聴覚検査を受けてみて下さい。因みに聴覚の異常は大体に於いて「聞こえない、聞こえにくい場合」であり、聞こえすぎる場合は異常では無いからです。敢えて言えば、低周波音と言う日常生活に於いては聞こえなくてもいい音が聞こえるのです。で、結局、医師や低周波音の専門家は”耳鳴り”等などというこじつけ的な話にすり替えますが、それは彼らにとってはそれくらいしか音に関する耳の疾患として思いつかないからです。

 しかし、低周波音は外部からの音、耳鳴りは内部からの音であり、聞こえ方が全く違います。さらに低周波音被害と耳鳴りが決定的に異なる点は、耳鳴りは音源のon-offとは全く関係し得ない点です。こうした話を一見科学的な話で混同させるようなことを平気で言う、環境省が言うところの、尚かつ低周波音の影響の有無を最終的な判断をさせようという専門家とは一体全体どう言った方々なのでしょうか。やはり、
@例え聞こえても気にするなA聞こえてもそれは聞こえないはずの音だから人の体に影響はないから気にするな、などと仰ってみえる先生方なのでしょうか。

Q6 『参照値』に科学的な根拠はありますか?

A 『参照値』は平成15年に独立行政法人産業総合研究所において実施した聴感実験データから、一般被験者の90%の人が寝室で許容できるレベルとして設定したものです。この聴感実験では、低周波音を発生させた実験室に被験者を部屋に入れて、被験者の反応を調査することで行いました。なお、被験者は、実験室の中で、耳だけでなく全身が低周波音に浴しており、いわゆる骨導音の影響も実験の中で自然に含まれ、総合的に把握されていると考えられます。


 「参照値」が「一般被験者の90%の人が寝室で許容できるレベル」と言う10%の例外を作らざる得ない実験値であることが低周波音被害者始め、汐見先生方からも当初から問題となりました。即ち、この被害を訴えているのは既に一般人=騒音に健康である人=低周波音が気にならない人ではなく、気になる人たちですから、既に被験者の抽出段階から問題で、上記のように被害者は既に恐らく殆ど音の大きさに拘わらず“寝室で許容できない”10%の中に含まれるはずだからです。そうした、最も該当する人を除いて問題の有る無しを論ずることは、謂わば「癌患者を除いてガンの話をするようなモノ」で全く意味がありません。ただし、実験に於いては一般人と”苦情者”の間には「有為な差異が認められなかった」そうですが、であれば、「低周波音が何ともない人と死ぬほど苦しい人との差異はどこから生じているのでしょう。」それが解明できなければこの実験から創られた「参照値」は聴覚的には意味は有るかもしれないが、病理的には無意味なのです。
もちろん、”低周波音専門家"は「低周波音から受ける影響は問題ではない。仮にあってもそれは病気ではない」としていますから、低周波音被害者と土俵が違いますからお話になりません。

Q7 感覚閾値と『参照値』は違うものですか?

A 感覚閾値とは、なんらかのかたちで低周波音を感じることのできる最小の音圧レベルです。一方、『参照値』には、1)建具類のがたつきなどの「物的苦情の『参照値』」と2)圧迫感、振動感、不快感などの「心身に係る苦情の『参照値』」の2種類があります。「物的苦情の『参照値』」については、建具等ががたつき始める最小の音圧レベルを実験等によって求めたものです。「心身に係る苦情の『参照値』」については、長時間継続する低周波音を受けた場合に、大部分の人があまり気にならないで許容できる最大音圧レベルです。このように、「心身に係る苦情の『参照値』」と「感覚閾値」とでは定義が異なります。大小関係で言うと、実際には、「心身に係る苦情の『参照値』」は「感覚閾値」より少し大きな値となっています。

Q8 『参照値』はいわゆる基準値ではないのですか?

A いわゆる基準値は、「この値以下に保つことが望ましい目標(すなわち目標値)」や「超えてはならない値(規制値)」ととらえられますが、『参照値』はこのようなどちらの意味での基準値ではありません。上で説明してきたように、苦情申し立てがあった場合に、低周波音によるものかどうかを判断するための目安です。
 手引書にも、『「環境アセスメントの環境保全目標値」、「作業環境のガイドライン」として作成したものではない」』と明記しています。
 「『参照値』以下であるからよい」「『参照値』を超えているから改善が必要」と単純に判断するのではなく、実際の影響に注目して判断することが重要です。

<参考> 低周波音問題対応の手引書における参照値の取扱について(都道府県等宛通知 平成20年4月) [PDF 75KB]


 “『「環境アセスメントの環境保全目標値」、「作業環境のガイドライン」として作成したものではない」』と明記しています。”にもかかわらず低周波音被害苦情者の自治体窓口での足きりや風車建設のための環境アセスに際して引用され、それに対して事ある毎に環境省は“引用するな”と注意喚起を促さないのでしょうか。

 昨今のアセスメントではこの事に言及しています(120821)

Q9 『参照値』は風車(風力発電)には適用できないのですか?

A 『参照値』は、ある程度の時間連続して低周波音を発生する固定された音源からの音圧レベル変動の小さい低周波音を対象として設定したものです。【風車からの騒音・低周波音は、風速によってローターの回転や出力が変わるため音圧レベルや周波数特性が変化する、風向によって音が拡散する方向が変化するという特徴があります】。このため、『参照値』を風車の低周波音に適用することはできません。

<参考> 低周波音問題対応の手引書における参照値の取扱について(都道府県等宛通知 平成20年4月) [PDF 75KB]


 この項は当に風車建設のための環境アセスに際して「参照値」が引用され、全然役にたたないことが立証されて逃げたのですが、その後風車騒音に対してどう取り繕うとするのでしょうか。その答えが次です。

Q10 風力発電から、低周波音が出て健康や生活環境に影響があると聞きましたが本当ですか?

A10 風力発電の建設が進むにつれ、風力発電の騒音等についての苦情は増えています。風力発電からは、羽根(ローター)の風切り音や発電機等からの機械音などの音が発生します。また、低周波音も出ている場合もあります。一般的に音は、音源から距離が離れれば小さくなる(減衰)ので、風車があるからといって直ちに影響があるとは限りません。一方、風車からどのような音や低周波音がどのくらいの大きさで住宅等に届いているのか、どのくらい距離が離れれば十分減衰するのか、地形や風が減衰に及ぼす影響はどうか、風が吹くことによって発生する音(葉ずれ、波音、電線の鳴りなど)が大きいときに風車の騒音等はどのように感じるのか、人への影響など、必ずしもまだよく分かっていないことがあります。このため、環境省では、平成22年度より、風力発電施設から発生する騒音・低周波音の実態把握、周辺住民を対象とした社会反応調査、被験者実験による聴感反応調査等を進めています。


 当に今流行の言葉で言えば、風車騒音は「参照値の想定外」だったのでしょう。恐らく、「人への影響など、必ずしもまだよく分かっていない」と言う状況がこれまでの低周波音被害について30年間続いているわけですから、今回の調査により、風車からの低周波音の影響だけがこの数年間に「必ずよくわかった」と言うようなことには決してなり得ないでしょう。何故ならそうなってしまうとそれまで関係者が黙殺し続けてきた責任を誰に問えばいいかと言うことになるからです。まー、国家的欺瞞ですから、現実には誰も責任を問われるような事はないのでしょうが。

Q11 風車に関する騒音や低周波音に適用できる基準はありますか?

A11 環境省では、上で述べた調査をもとに、基準の必要性も含めて、適切な対応について検討を行うこととしています。


被害者側の現状から結論すると、環境省が言うようなことはあくまで建前であり、こうしたことは自治体窓口的には非常に手間暇が掛かり面倒、出来ないので、低周波音問題は“「参照値」による足きり”により“被害者の門前払い”、をしていると言うことです。従って、被害者側が低周波音問題に対処するには自治体の全く不十分な対応を、環境省に直に訴え“上意下達”(と言うのは今となっては行政的には建前としては「死語」となっている様ですが)、が、まだまだ有効のようで、特に当該自治体が“田舎行政”的であれば国からの直接の連絡は恐れ多い事のようで、まだまだ有効のようです。ただし、所詮、しがらみに絡み尽くされた“田舎行政”の現実的対処に多くを望むこと自体がそもそも困難であるが、県から低周波音測定器くらいは借りてきてこさせて、測定させるくらいの意気込みで自治体に対処させるべく、まずは、環境省への電話代を惜しまずにアタックしてみてください。


最後まで読んでくれて有難う

110709,121005


HOME