「風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会報告書(平成23年6月)」について へのコメント1
低周波音部分抜粋コメント
相も変わらず夏になると「今年の夏は昨年より暑い」と言っているが、毎年体が暑さに弱くなっているのだろうと勝手に思っているのだが、今年(2012)の夏は暑い。だが、久しぶりにオリンピックに熱中し、エアコンに籠もり、日々観戦していたので何とか凌いだのだが、終わった後の夏の暑さが一段と厳しい。
それでも、7月一杯は”猫庭”(猫の額ほどの狭い庭で、時々は地域の猫が通り抜けるし、本当にたまには庭から”脱獄”した近所の飼い犬も通りすぎるのだが)の草むしりをしていたのだが、これが良くなかった。すっかり腰をやられオリンピック開催中接骨医院に通う羽目となった。御陰で101 120709 騒音・低周波音・振動の紛争解決ガイドブック のコメントを書き上げることが出来たので良しとしたいのだが、実はこの座りっぱなしでパソコンに向かい続けると言うのが一段と腰にはよろしくないようで、何事も適度が良いのだろうが、これがなかなか難しい。
などと言っている内に朝晩は何となく過ごしやすくなり、眠りの質が良くなっているようで、体が甘えて一層疲れがどっと出る様だ。
さて、低周波音問題的には、「風力発電施設の設置を環境影響評価法の対象事業として追加することを検討すべき」とする答申を受けて開催された「風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会」において行った結果の取りまとめが平成23年6月環境省総合環境政策局により風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会報告書[PDF 488KB] として出された。
風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会報告書(資料編)[PDF 3,621KB] 風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会報告書(案)に対する意見募集(パブリックコメント)の結果について[PDF 243KB] などからはどう言った資料から報告書が出来ているのかかが解って興味深い。
報告書を見る限り、やっとの事ながら、お国も下々の被害の現状認識が進んだようだが、でもやはり、原発が難しいと言う状況では、“風力発電は進めたい”と言う姿勢は変わらないようである。(※太字部分、斜線部分、下線は筆者による。)
以下書き出し抜粋。
「風力発電は、出力が不安定といった課題が指摘されているものの、再生可能エネルギーの中では相対的に発電コストが低い(海上となればそうでもなかろうが)こともあり、導入が期待されている。
その一方で、風力発電設備の導入に伴う周辺環境への影響が国内外で顕在化している。風力発電設備からの騒音・低周波音については、騒音についての環境基準を満たしている場所においても、健康被害の苦情等が発生している事例がある。
これらの環境影響を踏まえ、風力発電事業は、一部の地方公共団体において環境影響評価条例(以下「条例」という。)による環境影響評価が義務付けられている。一方、補助事業についてNEDO が作成した「風力発電のための環境影響評価マニュアル」(初版:2003年7月、第2版:2006 年2月。以下「NEDO マニュアル」という。)による自主的な環境影響評価が実施されてきている。
このような中、環境影響評価法(平成9年法律第81 号。以下「法」という。)の施行から10年が経過し、中央環境審議会においては環境影響評価制度の整理・検討を行い、今後の環境影響評価の在り方について答申をとりまとめた(2010年2月22日)。同答申において、風力発電施設の設置に当たっては、騒音、バードストライク等の被害も報告されている他、条例以外による環境影響評価を実施した案件のうち約4分の1が住民の意見聴取手続を行っていないこと等から、「風力発電施設の設置を法の対象事業として追加することを検討すべき」とされた。これは、風力発電事業を行うに当たり、早い段階で事業の実施に伴う環境影響を把握することや、地域住民等の意見を聴いてその理解を得ることが、円滑な事業の実施に資するものであるという考えに基づいている。
本報告書は、同答申を受けて開催された「風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会」において、これまで9回にわたる検討を行った結果を取りまとめたものである。
「風力発電施設の設置を法の対象事業としていなかった」と言うことは、これまで国から完全に法的に野放し(罰則を伴う法規制がない)であり、事業者が“やりたい放題”であったことを認めたわけだ。
つまりこれまでのこうした法的状況では多くの事業者は「当社としては、事業者責任として何かあれば対応させていただきます」として風車を建ててきたのだが、その「事業者責任」というのが、マルット口先ばかりで、当てにならなかったことは、上記のデータの「条例以外による環境影響評価等の項目選定の状況」からも明らかになっているように低周波音の環境への影響を考慮している案件は28%に過ぎない。即ち、3/4弱は風車建設に際し低周波音の影響の可能性を無視していると言うことである。もちろん近くにまるっきり住宅が無い場合、即ち、「住宅に近接する場合」でなければ山中の動植物には申し訳ないが問題無いのだが、国土の狭い日本では、風車建設適地近傍に住宅がまるっきり無い場合がどれだけあったのだろう。さらにここで言う、「近接」と言うのが一体どのくらいの距離を指すのかまるっきり曖昧であり、それがこれまでの風車騒音被害を現出していることは、これまでの被害の実情から知られるところだ。
だが、風車騒音被害により被害者が、「仕方なく引っ越した」と言うような話しは聞こえてくるが、その「費用が全面的に事業者により負担された」と言うような話は寡聞にして表だっては聞こえてこない。
で、当サイトの例によりこの報告書の低周波音部分に関してだけ触れてみたい。
3.風力発電事業による環境影響の状況
<騒音・低周波音>
騒音・低周波音については、風力発電設備の近隣を中心に地域住民が健康被害の苦情等を訴える問題が生じている。2010年4月1日時点で稼働中の風力発電所を対象として、環境省水・大気環境局大気生活環境室が騒音・低周波音の苦情等についてのアンケート調査を実施したところ、回答があった389か所の風力発電所のうち、騒音・低周波音に関する苦情が寄せられたか、要望書が提出されたことがあるものは64か所(調査時点で苦情等が継続中のものが25か所、終結したものが39か所)であった。1(風力発電に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会(第3回:騒音・低周波音)(P.5)日本風力発電協会(JWPA)
この「終結」と言うのは、何らかの対策が施され、それで解決したとすれば、これからも問題はないのだろうが、表に出せないような終結の仕方だったのだろうか。
と、思ったのだが、上記内の「日本風力発電協会」の資料に依れば(P.6)以下のような具体的対策が取られたようだ。
風力発電施設に係る騒音・低周波音の苦情への対応 JWPA会員の施設における具体的対策内容 |
|
調査時点で苦情等が終結したものが27箇所 | 27/39=69 |
事後説明の実施:27箇所 ⇒14箇所は、事後説明を実施することにより終結 | 14/27=52 |
風車改良・修理:3箇所 | |
風車運転制限 :3箇所 | |
住宅改良 :9箇所 | |
調査時点で苦情等が継続中のものが19箇所 | 19/25=76 |
データ測定中、説明中、計画中:19箇所 | |
風車改良中、計画中 :5箇所 | |
風車運転制限 :3箇所 | |
住宅改良実施、計画中 :5箇所 |
協会に依れば、半数は「事後説明を実施することにより終結」と言うことだが、これはそもそも被害が生じているわけではない。問題は「調査時点で苦情等が継続中のものが19箇所」である。しかもこれら全てに於いて「データ測定中」であると言うことは当然為されたであろう「事前の測定」に不備があったのか、単にイチャモンを付けられた以上仕方ないから言い訳の為に測定しているのであろう。前者なら大問題であろうが、恐らくそのようなことはなく、後者であろうが、とすればそうそう簡単に問題が「終結」するとは思えないのだが。
そして、やはり問題なのはこうした苦情が出ている箇所は恐らく少数であろうが(環境省の集計では25箇所)、その場合の絶対数も問題であるが、そもそもその近辺に何軒の家があり、一定の距離内での”苦情”発生率である。もし仮に数百メートル以内にたくさんの家があるにも係わらず、苦情を出しているのはその一軒だけとすれば確かに「少数」と言って良いが、他には家が無いとすれば”被害率は100%”と言うことになる。それが統計で言うところの数字であるはずだ。
そもそも、上記「アンケート調査」によれば、風力発電施設が設置されている場所の(6)周辺の主な土地利用状況によれば(日本風力発電協会(JWPA)の方では触れていないが、環境省の添付資料で触れている)、
風力発電施設が設置されている場所の周辺の主な土地利用状況は図−6のとおりです。森林23%、農地18%、採草・放牧地13%、原野13%、公共用地12%、工場用地10%、住宅地2%、事務所・店舗用地1%、その他9%でした。
土地利用別の苦情等の発生状況は図−7のとおりです。周辺の主な土地利用が森林、農地、住宅地の施設で苦情等の発生割合が高く、採草・放牧地、原野、公共用地、工場用地、事務所・店舗用地の施設では発生割合が低くなっています。
人間が住んでいそうな、「住宅地2%、事務所・店舗用地1%」で合わせても3%であり、そもそも、人間が住んでいそうな地域には風車は本来ほとんど出来て居ないにも関わらず「森林、農地、住宅地の施設で苦情等の発生割合が高く」とある。これは、これまでの状況から想像するに、「森林、農地」の苦情割合が高いのは、人は滅多にいないが、”偶々居住”する人間の存在と、住宅地は現在被害を叫んでいる人たちが居る住居地では「苦情等の発生割合が高く」なっているわけであろう。もちろん全体の統計的には極めて少数で切り捨ててしまって良いくらいであろうが。
「採草・放牧地、原野、公共用地、工場用地、事務所・店舗用地の施設では発生割合が低くなっています」とあるが、そんなことは当たり前で、牛や馬や羊や山羊は苦情の言いようが無かろうから、「採草・放牧地」では苦情は発生しようもあるまい。更に、「公共用地、工場用地、事務所・店舗用地の施設」には風車騒音問題が発生しやすい夜間に「苦情を発生する」人間自体がそもそも存在しないのであるから当然ながら苦情が発生しようがないのである。
人間が存在する場所での苦情発生率を調査しないことには全く意味がないのである。こんな無駄な調査にダラダラと金と手間を掛けるとは、お国はやはり風車問題について何もする気がないのであろう。
更に、騒音苦情の一例に、「2,000kW の風力発電設備1〜11 基が一列に配置された風力発電所を仮定し、発電所からの距離と騒音レベルの関係を従来の予測方法で試算したところ、夜間の騒音環境基準(A・B類型で45dB)を満たすような距離は、概ね300〜600mであった。一方、先に挙げたアンケート調査や環境省総合環境政策局環境影響評価課・環境影響審査室が実施したヒアリング調査等によると、このような風力発電所から1km 以上離れた場所に居住している住民からも、眠れなくなった等の苦情が寄せられている事例があった。」と言うが、これなど由良の状況に近いではなかろうか。
<風力発電事業についての規模要件の水準の設定に当たっての考え方や留意点>
(騒音・低周波音の影響の観点)
1基(例えば定格出力1,500kW 程度)からでも現に健康被害の訴え等が生じており、問題とはなりうるが、例えば家屋の遮音効果によっても状況が異なるため、必ずしも日本全国でそうした規模のものを法対象とすることが適切とは言えないとの意見があった。ただしその際、法以外の枠組みによる環境影響評価との適切な役割分担が必要である。
これらを踏まえ、風力発電事業に関する法対象の規模要件の水準は、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある規模として1万kWとすることが適当である。ただし、再生可能エネルギーの導入推進の観点から2万kW以上とすべきとの意見もあった。また、騒音・低周波音やバードストライク等の影響が現に生じていること等の理由から、5,000kW又はそれ以下とすべきとの意見もあった。
興味深い例の一つとして、上記後段下線部分(筆者記入)は「ただし」とか「また」「も」などと実に歯切れの悪い文章になっているのが気になるのだが、それは風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会報告書(案)に対する意見募集(パブリックコメント)の結果について[PDF 243KB] の中の元になっている部分(下表:太字パーセント部分は筆者)を見るとそうしなければならない苦労のほどが解るのだが、素直にこの集計を読めば、
法対象の規模要件は 全ての風力発電事業とすべき |
4 | 4% | 50.5% | 御指摘を踏まえ、「騒音・低周波音やバードストライク等の影響が現に生じていること等の理由から、5,000kW又はそれ以下とすべきとの意見もあった」旨を追記します。 |
法対象の規模要件は500kWとすべき | 5 | 5% | ||
法対象の規模要件は600kWとすべき | 1 | 1% | ||
法対象の規模要件は、400kW×2基・500kW×1基とすべき | 2 | 2% | ||
法対象の規模要件は1,000kWとすべき。 特別地域など配慮を要する場合は総出力500kWとすべき |
18 | 17% | ||
法対象の規模要件は2,000kWとすべき | 1 | 1% | ||
法対象の規模要件は5,000kWとすべき | 24 | 22% | ||
法対象の規模要件は1万kWとすべき | 21 | 19% | 49.5% | 御意見は、本報告書案に概ね盛り込まれているものと理解しております。 |
法対象の規模要件は2万kWとすべき | 3 | 3% | ||
法対象の規模要件は3万kWとすべき | 16 | 15% | ||
法対象の規模要件は5万kWとすべき | 14 | 13% | ||
109 | 100% |
「御指摘を踏まえ」と言うならば、「風力発電事業に関する法対象の規模要件の水準は、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある規模として1万→5,000kWとすることが適当である。ただし、再生可能エネルギーの導入推進の観点から2万kW以上とすべきとの意見もあった。また、騒音・低周波音やバードストライク等の影響が現に生じていること等の理由から、5,000kW又はそれ以下とすべきとの意見もあった。」
と校正すべきであろう。即ち、「風力発電事業に関する法対象の規模要件の水準は、騒音・低周波音やバードストライク等の影響が現に生じていること等の理由から5,000kWとすることが適当である。ただし、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるが、再生可能エネルギーの導入推進の観点から2万kW以上とすべきとの意見もあった。」
と、主客逆転すべきで、この方が「御指摘」を踏まえていると考える。ただし、これでは「再生可能エネルギーの導入推進の観点」が全く出ていないことになろうことは素人でも解る。
意見に占める割合を見れば解るように、1,000kW以下は結構数字が細かい。これは実際に被害を受けている人たちの具体的な「御指摘」なのではなかろうか。
一方、1万kW以上は意見が比較的集中しているのは、原発の公聴会ではないが、ここらに政府・業界の本音が有るのであろう。どうせなら後4件ほど「法対象の規模要件は1万kWとすべき」を集めておけば、個別順位でも1位になれて作文も楽だったのではなかろうか等と思うのだが、それでは、そもそもこの検討会は風力発電事業推進を如何に合法的にするかが主眼である事がバレバレすぎて、折角1万kW以上を合計で負けにした意味が無くなるのかも知れない。
「規模要件の水準は、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある規模として1万kW とすることが適当」とすれば、10,000kW÷1,500kW=6.6…と言うことで、概ね1.5M6基以下、2Mなら5基のサイトでは「評価外」と言うことになり、「2万kW以上」なら2Mで10基となり、それ以下で行くかどうか事業者的にはなかなかに悩ましいところなのだろうか。
そもそも規模が大きければ大体に於いて広大な空き地が必要であり、近くに人間が居住する可能性自体が小さく、問題などは起こりにくいはずだが、流石狭い日本”敷地”一杯に風車を建ててしまうので、”隣近所”に猛烈な迷惑を掛けてしまい、5000kW以上の規模になると俄然苦情の発生率が高くなる(39〜63%)ことになるのであろう。どうしてこうした他人の迷惑を考えない物が放置されているのか不思議でならない。
まー、多分ここで”譲った結果”かも知れないが、環境省と経産省は「手続を簡単にし、事業者の調査を省き、手続にかかる時間を3〜5年を1/2にできる」とこの文章を読めば解るらしいが、私には解らない。ただ、これまでもそれなりにチェックしてきて今の状態なのだから、それが厳しいはずのアセスに変わったところで、現実の手続的にはお手軽になるのだから、むしろ今まで以上に”事業者の良心”任せになるとしか思えないのだが…。
7.調査、予測及び評価手法等の基本的考え方について
法対象事業における調査、予測及び評価手法等については、評価項目の選定と同様に、基本的事項を踏まえて事業の種類ごとに制定される主務省令に基づき選定することとされている。風力発電事業の環境影響評価における調査、予測及び評価手法等の基本的考え風力発電の環境影響評価に関するガイド(2010 年、フランスエコロジー・エネルギー・持続可能開発・海洋省)等。
7−1.騒音・低周波音
風力発電の騒音・低周波音については、地上より高い位置に広がりを持った音源がある、風が強く風によって生じる音(木々の風切り音、葉ずれ、波の砕ける音、電線の鳴り等風が強く風によって生じる音(木々の風切り音、葉ずれ、波の砕ける音、電線の鳴り等)が大きいときにも評価する必要がある、通常は静穏な地域に風力発電が建設されることも多い等の特性がある。また、山稜部に建設されることも多く、このような状況での騒音・低周波音の発生・伝搬状況の把握は十分ではない。さらには、視覚(ローターの回転、シャドーフリッカー等)と聴覚の相乗作用等による心理的な影響の可能性も指摘されている。
これらのことから、必ずしも従来の調査、予測及び評価の手法が必ずしも適用できない場合があるという認識が広まっており、現在、国内外で調査・研究が進められている段階であり、また、これらの進展にあわせて、環境影響評価のためのガイドライン等の改訂を行っている国等もあるところである。
以下には、本検討会で出されたポイントを記しているが、具体的な調査、予測及び評価の方法については、このような調査・研究の進展や諸外国の動向を見定めつつ、成果を活用して定める必要があり、また、最新の知見の進展を随時取り込んでいく必要がある。
<調査手法>
自主的な環境影響評価における騒音・低周波音の調査日数は、連続する2日間としているケースが79.5%であった。一方、諸外国の風力発電に関するガイドラインでは、統計解析や現況騒音(風によって生じる音を含む)の適切な把握に必要な期間(数日〜2週間)の調査を行うことを定めたものがみられた。
風力発電の立地適地では、風況により現況騒音(低周波音を含む。以下同様)が大きく変化する特性を踏まえ、騒音・低周波音の調査地点については、風力発電設備に最も近い住宅等に加え、現況騒音からの増加分が大きくなることが懸念される住宅等を、方法書段階において選定することが適当である。
また、騒音・低周波音の現地調査の調査期間は、季節ごとに風況が違うこと等を考慮して、風況及び現況騒音を適切に把握できる時期、期間及び時間帯を設定すべきである。なお、風速が大きいときの現況騒音の把握が困難である場合、風速が小さいときの現況騒音を把握し、それからの増加分を評価することは、安全側の評価を行う観点からも有用である。
また、A特性の騒音レベルでは低周波音や風力発電設備に特有の卓越した純音成分に風力発電設備からの騒音が発生していない状況における騒音レベル。
例えば、山等の地形により卓越風から遮蔽されているような住宅においては、風に伴う自然の音が小さく、風力発電設備からの騒音によって、設置前の現況騒音からの増分が大きくなる可能性が考えられる。可聴音を評価するための周波数補正特性であり、騒音レベルの測定において広く用いられているもの。
適切な評価が困難であるため、C特性音圧レベルや1/3 オクターブバンドごとの音圧レベルも測定することが適当である。
さらに、既に供用されているか又は今後供用されることが確実な風力発電所に隣接する場所で新たな発電所を設置する場合は、複数の風力発電所からの複合された影響を適切に把握するため、これらの発電所が様々な稼働状態にある騒音・低周波音及びその場合の住民等への影響を把握することや、現況騒音として、既存の風力発電所がすべて停止している状態で測定するか、あるいはこれらの風力発電所が設置される前の測定結果を入手することを可能な限り検討すべきである。
そうです。仮に変化が有ったとしても、個人レベルでは、その後風車を全面的に止めさせて測定する等と言うことは出来るはずもなく、更には、「風力発電所が設置される前の測定結果を入手すること」など、騒音に限らず、自然環境に至っては、誰も予想しておらず、これが事業者にとっては好都合だが、そもそも予想しておらず、挙げ句に予想してもそんな調査など経費的に出来るはずもなく、結果として“されるがママ“と言うことになり、設置前後の変化の証拠を突きつけることなど到底出来ることではない。本来なら事前の環境アセスで設置以前の騒音状況だけで無く、全ての自然環境を測定させておくべきなのだが。
こうした「(環境の)前後の変化」を知るには言うまでもなく、先ずは以前の状態が記録的に残されていなければ「変化を知る」ことor化学や国がお得意の「科学的な因果関係の証明」など出来るはずもなく、これは単に風車被害に限ったことではなく、原発事故の今後の健康への影響の証明などに於いて、「直ちに影響はない」として途中の経過記録が残されなかったとすれば、仮に「有為の変化」が有っても、そもそもが、「以前」の記録が無いのであるから、“以前からそうだった、加齢によるモノ、別の原因、…”などとされ、因果関係が証明されることはまずなく、何年か後に非常に大きな問題となるのであろう。
<予測・評価手法>
条例に基づく風力発電事業の環境影響評価32及び自主的な環境影響評価において、予測に用いる音源のパワーレベルは定格出力時又は風速8m/sの場合が大半を占めていた。諸外国の風力発電に関するガイドラインでは、風速6〜10m/sの条件下で予測することや、カットイン風速から定格出力となるまでの風速(整数値)(この状態がかなり苦しいという被害者の声もある。)ごとに予測することを定めたものがみられた。
騒音・低周波音の予測は、各予測・評価地点において騒音・低周波音による環境影響が最大となると考えられる風況下について行われるべきである。また、騒音・低周波音の伝搬は地形や風況によって影響を受けると考えられていることから、地形・風況による影響についても考慮することが必要である。
NEDO ガイドブックでは、供用開始後の騒音レベルが環境基準を満足しているか、現況騒音をどの程度押し上げるか等の観点からの評価を行うこととされている。自主的な環境影響評価において、環境基準と比較したものは1万kW 以上で79.4%、1万kW 未満で52.7%であった。また、現況騒音からの増加分で評価していたものは1万kW 以上・未満ともに概ね30%であった。
騒音の評価手法については、環境基準値以下であるにもかかわらず苦情等が発生しうることから、静穏な地域に設置する場合には、風力発電設備の設置により現況騒音からどの程度騒音が増加するかについても調査・予測を行い、その結果を住民等に示し、評価すべきである。また、定格出力別、距離別の苦情発生割合等を参考に評価することも一つの方法であると考えられる。
また、アンケート調査結果によると、住居からの距離が遠くなるほど、また、定格出力が小さくなるほど苦情等が少なくなっていることから、騒音・低周波音の評価手法についてほぼ平坦な周波数特性で補正された音圧レベルであり、比較的大きな可聴音の知覚特性に基づいている。
これは実験室等でのヘッドホーンの聞き取りなどの調査は謂わば、“比較的小さな可聴音の知覚特性”と思われる感覚閾値によって評価するのは間違いであると言うことを言っているのではないか。そうした点では以下の「参照値」こそ将に“比較的小さな可聴音の知覚特性”と思われる感覚閾値によって評価しているのである。
なお、低周波音の評価に「参照値」を用いた事例も見られるが、「参照値」は、固定発生源から発生する低周波音についての苦情の申し立てが発生した際に、低周波音によるものかを判断するための目安として示したものであって、対策目標値、環境影響評価の環境保全目標値等として策定したものではない。また、風力発電設備に適用できるかは明らかになっていないことに注意する必要がある。
環境省は「低周波音の評価(=お墨付き)に「参照値」を用いるな」と結構しつこく言っているのだが、依然、風車などの環境評価書の低周波音部分で未だに“「参照値」より小さいから大丈夫”等と言っている事業者が少なくない、と言うことを環境省自身が認識しているようだ。
で、事業者も最近ではどうもズバリ「参照値」とは言わず、「体に影響を及ぼす音圧レベル(これが「参照値」のこと)と比較すれば非常に小さな値で、平均の人の感覚では感じとること(これも「参照値」のこと)ができない音です。」などと“言い換え“をしている事業者は、その他の点が例え全て真実であっとしても、少なくとも低周波音問題に関しては「環境省の言うことを聞いてない」のである。
環境省は事業者の“事後対応を推奨”しており、即ち、「当社としては、何かあれば、事業者責任として、対応させて頂きます」と言うことしかない。だが、最終的には「低周波音問題について、住環境への影響」については小手先の対処(例えば、二重サッシの設置など)がなされはするが、それでもダメな時は、「医学的な検証もされておらず、因果関係がはっきりしてない」として“ケツまくり”で済まされることになり問題の根本的な解決はなされることないのがこれまでの「事業者責任」で有るようなのだが。ここでの、事業者の言い分の具体例はこちらを参照。
と言うことで、環境評価書の信用度レベルとして、@「低周波音部分」について触れていないモノは最悪、A触れていても「参照値」と言う言葉を持ち出してOKとしている事業者はその後に於いても、文章の読解力がないか、平気で法律を無視するB「参照値」と言う言葉は持ち出さなくても上記のような「参照値」と同内容的な説明をして“大丈夫”と言っているモノは他の説明についても、科学的認識に於いて、「注意する必要がある」と言うことである。
<環境保全措置・事後調査>
諸外国の風力発電に関するガイドラインにおいて、現況騒音と稼働時の騒音レベルについてモニタリングを行い、環境保全措置の効果を検証すること及び可能な場合は風力発電設備が全て停止している状態と運転時の騒音を測定して比較することを定めたものがみられた。
風力発電設備からの騒音・低周波音の発生・伝搬や、これに対する人の聴覚反応等については、現時点で知見が十分に得られているとはいえず、事業開始後の状況に応じて対策をとることが重要であるため、必要に応じて、騒音・低周波音の発生状況、住宅等での受音状況、住民等への影響等について、事後調査の実施により状況を把握し、その結果に応じた適切な対策を検討すべきである。なお、低周波音の事後調査については、屋内では共鳴により局所的に音圧レベルが異なり、特に壁面や床面等で音圧レベルが上昇することがあることも考慮する必要がある。
このほか、NEDOガイドブックにおける「1基のみの場合、通常250m程度離せば生活への影響はなくなる」との記述については、騒音・低周波音に対する苦情等の実際の発生状況と整合がとれていない場合もあるという意見があった。
この点に限らず、イケイケ、ドンドンで多くの風車被害者を創り出してきた「NEDO風力発電導入ガイドブック」と「1/3補助金政策」がクリーン・エネルギーであるはずの風力発電を極めてダーティーなモノとしたのは間違いなかろう。
特に、「NEDO風力発電導入ガイドブック」2008年版においても依然として、低周波音問題に触れることなく、相も変わらず、「風車が1基のみの場合、通常250m程度離せば生活への影響はなくなるとされている。これは住宅街の夜間の環境基準(45dB)によっており、身近なものとしてはパソコンの冷却ファンが45dB、静かなオフィス内の音は50dB 程度と言われている。」等と音の論理的にはそれで良いのかも知れないが、現実的にこうした本来“まとも”であるべき文書に於いて、静謐である夜間の自宅の騒音と昼間の仕事場の騒音とか規模が全く異なるPCの冷却ファンの騒音を比べるなど“状況、規模の相違による影響の相違”を全く考えない、単に論理を弄ぶ様な非科学的、非論理的な言説は単なる論理としての似非科学より実害を伴うだけにタチの悪い“科学理論詐欺”、いや、被害者の存在を考えれば、むしろ犯罪と言うべきであろう。
そうした理屈が国レベルで明示され、それが風力発電施設等の建設に関する一般住民への説明会などで「風車は静かです」などと平気で利用されるのである。そして、実際に出来てみて、実際にどんなモノであるか、直ぐに解り、影響を受けるのは、現実としては、風車周辺のごく少数の人たちだけで、多くの人たちは実際の風車がどれほどの大きさかも知らない。
しかし、その正体が解ってくれば、だれでも風力発電はダーティーである、いや、詐欺かも知れない、いや、凶器を合法的に設置する犯罪と思わざるを得ないはずだ。
因みに、超静音PCの騒音レベルは25〜30dB、扇風機は40〜55dBだそうだから、扇風機が一晩中回っていても気にならない人は、250m向こうで超大型扇風機が回っていると考えれば、騒音的には問題無いのかもしれない。
等とお気楽なことが言えるのは私が風車の近くに住んでいないからであって、被害当事者であったらこんな甘っちょろいことは言っておられまい。
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