数年前にIP電話に変えたら電話代金は安くなったが、音質はNTTの固定電話よりも悪く、聴覚も衰えてきた古希直前の老人には話者の特定はやや困難になってきた。でも最初の一言で、愚息を名乗る偽電話だと瞬時に分かった。
愚息からの電話は年間僅かに数回。『今晩、出張先で買ったお土産を届ける』などの単なる連絡電話だ。子供達3人は夫々携帯電話を持ってはいるが、私は過去10年間彼らの携帯に電話を掛けたことはない。緊急性のある要件が発生しなかったのも一因だが、単純な連絡は全て電子メールで済ませているからだ。電子メールは電話とは異なり何かをしている筈の相手の邪魔をしないから、連絡手段としてはベストだと思っている。
私は過去数十年間、在職中も現在も電話での第一声は全て同じ形式『石松でございます』で通した。電話を掛けてきた人が誰か分からないし、上司・先輩・同僚・後輩・知人・友人・家族・無関係者・間違い電話など何人からであれ、失礼のない万人向けの電話の受け方と確信しているからだ。
でも、この事務的で冷たく感じるらしい応対は、例えば荊妻の知人からの電話だった場合、大変不評のようだ。皆一瞬戸惑うらしく、次の言葉が滑らかには出てこないようだ。しかし、私にはこの形式を変えるつもりは、今後とも全くない。
愚息からの電話の場合では我が応対の後、『健一ですけど・・・』と必ず自己を名乗った後で用件に入るのが常。親子ではあっても敬語(丁寧語)は欠かさない。IP電話での音質でも、愚息か他人かはこの最初の一言で、今回は判別できた。
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