@ 宇宙からの光
晴れた昼間、太陽の光は我が家にも到着するが、夜間には地球が邪魔して到着しない。当たり前のことだ。でも、星の光は昼夜を問わず燦々と我が家だけでは無く、この地球上のどの位置にも無差別に降り注ぐ。
この現象の原因は光源の数にある。光源は数千億個(一個の銀河内の星の数)*数千億個(宇宙全体の銀河の数)もあるそうだ。この地球はそれら無数の光源に取り囲まれているから、何処の場所にも星の光が降り注ぐのは、これまた当たり前だ。
光源となる星が無数にあっても、我が家の直ぐ近く(宇宙的な感覚では)にある太陽光は強すぎるので、昼間は星が消滅したかのように感じるが、皆既日食が発生すればその瞬間、満天の星が突然輝き出したかのように感じるのも理の当然だ。
A 音
近くで雷が落ちると音源の方向が分かる。音源から離れすぎれば聞こえないだけだ。銀座4丁目の交差点に立てば、東西南北何れの方角からも意味不明な騒音が聞こえる。これまた音源が交差点の周囲に無数にあるからだ。ハワイの島にあらゆる方角から波が押し寄せるのと同じ現象だ。
人間の耳では区別できなくても、特定の周波数の音だけを取り出せるフィルターを使えば、音源の位置を特定できる場合もある。音源の周波数を絞れば絞るほど、東西南北から聞こえてきた騒音の一様性が崩れるから当たり前だ。
B 電波
我が家には地球上の放送局からの電波だけではなく、広大な宇宙からも無数の電波が飛び込んでくる。これらの電波は互いに干渉しているものもあれば、干渉していないものもある。それらの電波の中から特定の周波数の電波を選び出せる共振回路を使って、テレビやラジオの選局をしている。
玄界灘に面した福岡県に育った私は昭和20年代、近隣諸国からの強い電波がラジオに入り込み、一種の妨害電波の役を果たし、NHKが聞き取り難くなっていたのを思い出す。無数の電波が飛び交っている時、特別強い電波があれば弱い電波が恰も消滅したかのように感じるのも当然だ。
C 海や水溜りに発生している波
ゴルフ場には何故か障害物となる人工の池を造るのが流行っている。我がゴルフボールが池に落下すると、落下地点で発生した波が周囲へ広がり、最終的には池を取り囲む岸辺まで到着し、やがては消滅する。
原因は種々様々だが、海でも無数の波が常時発生しては周囲に広がり消滅している。波の発生原因は、台風・地震・海底火山・海流・貿易風・単なる風・船の航行・魚の運動・月の運行など無数にある。これらの波は位相が揃えば互いに干渉するが、殆どは互いに干渉することもなく、海上を勝手な方向(あらゆる方向)に移動し減衰する。しかし、それでも残った波は最終的には海岸まで辿り着いては消滅している。海水が移動しているのではなく、波が移動しているだけだ。
飛行機から周囲に何もない海上を眺めると、小さな波の山や谷が生々流転しているように見えるだけだ。長い波が洗濯板のように整然と揃って移動をしているようには全く感じられない。しかし、遠浅の長い海岸近くでは、湾曲した海岸線の形に恰も合わせたかのごとく並行した長い波が位相を揃えて洗濯板のように整然と並び、海岸に打ち寄せている。でも、海面に垂直な断崖絶壁が迫る深い海岸や、大型船が接岸できる深い海の岸壁では、洗濯板のように並んで打ち寄せる波は存在しない。
超大型台風が日本に接近すれば一時的に南からの波が大きくなり、その他の波は存在しているにも拘らず、一見消滅したかのように感じるのは、上記の類似現象と同じだ。
我が恩師で縄文杉の樹齢は7,200年と推定された故真鍋大覚先生は、海洋波は色んな周波数と強度の波から構成されており、その波高の確率分布曲線は Rayleigh(レイレイ)分布に近いと講義された。この分布は正規分布とは異なる特殊な曲線だ。注目すべきは風もない穏やかな天候でも、波高の高い波が岸壁まで稀に到着する現象だ。
岸壁の岩に陣取っていた太公望が高波に襲われて遭難する事故が発生するのも、Rayleigh分布で説明される。
インターネットから
レイレイ分布(Rayleigh distribution)とはデータのバラツキの分布を数学的に表す「確率モデル」の一つで、その分布は下記の数式(省略)の形で与えられ、統計解析や自然現象の予測・推測等に利用される。
レイレイ分布で表現される自然現象の例としては、風速の出現分布や海洋における波高の分布などがある。
私が大学を卒業した後も海洋波の研究は進み、その後話題になった『Freak Wave』についても解明されつつある。銚子沖などで大型貨物船の遭難事故が多発するのは Freak
Wave が原因とも言われている。Freak Wave は海流が衝突する場所で海面波と重なって発生するらしい。
インターネットから。
流体力学の一分野として水面波の研究はその最も古典に属する.海洋波浪の現代的研究がランダム過程の統計と非線形力学という異なる2本の柱の上に立って新しい科学的発展を開始してからちょうど半世紀が過ぎようとしている.
本稿では近年海洋流体力学での興味深い話題となっている <Freak Wave>と呼ばれる特異現象の研究の概要について述べる.Freak Wave は実海面で周辺の波から際立って,突然生起する孤立的な異常波浪である.この現象を解き明かすことは海洋流体力学における非線形ランダム問題の融合発展の可能性に対するひとつの試金石と言える.
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