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随想
           
航空機の燃費(平成20年5月19日脱稿)

   ローマクラブは1972年に『成長の限界』というレポートで、石油はあと15年で枯渇すると発表した。石油は海洋プランクトンの死骸が変成した化石燃料であり、資源量に限界があると主張した。

   一方、米国のハーマン・カーンらは『成長の限界』は、開発途上国の経済成長を阻害し、いつまでも低開発のままにしておくことを主張していると批判した。そして石油は科学技術の発展で補えると主張した。

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はじめに

インターネットより

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   ローマクラブ(Club of Rome)は、オリベッティ社の副社長で石油王としても知られるアウレリオ・ベッチェイ(Aurelio Peccei)博士が、資源・人口・軍備拡張・経済・環境破壊などの全地球的な問題に対処するために設立した民間のシンクタンクで、世界各国の科学者・経済人・教育者・各種分野の学識経験者など100人からなる。

      1968年4月にまず立ち上げのための会合をローマで開いたことからこの名称になった。組織の正式発足は1970年3月。

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    ローマクラブの主張の一部を恰も裏付けるかのように、1973年10月16日に突然発生したオイルショックから既に35年。BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国の頭文字+複数の意のs)の成長と共に原油だけではなく、石炭・天然ガス・鉄鉱石・希少金属・食料等、必要不可欠な資源の価格が高騰し始めた。
   
   このような資源の高騰を阻止するための新資源&省エネ・省資源技術の開発は、ハーマン・カーンらに指摘されるまでもなく、今や全人類に課せられた21世紀最大の課題になりそうだ。

   省エネ技術の開発は性能重視の軍用機の流れを受けていた旅客機の世界にも遂に押し寄せてきた。省エネ車の開発で世界に雄飛した日本の自動車産業に続き、我が祖国の航空機産業も三菱重工業が中核となるMRJ(Mitsubishi Regional Jet)の事業化を嚆矢として、世界に雄飛できるのであろうか?

   私は下記のように48年前の昭和35年にはトヨタ自動車を就職先に選んだが、半世紀後の今だったら、航空工学を齧った者の一人として三菱重工業に就職し、このMRJ事業の末席に参画し、微力ながらもエンジニアとして取り組むことに生き甲斐を見つけたに違いない。MRJ事業の成功を確信しているからだ。

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  『ホームページ ⇒ 随想 ⇒ 同窓会 ⇒ 九大教養部クラス会』からのコピー
   
   大学3年と4年の夏休みでは工場実習が必須だった。当時は3年の時の実習先が就職先になる可能性が高かった。航空工学科の成績上位者は新三菱重工業に就職する伝統があったので、あれこれ考えることも無く、新三菱重工業名古屋航空機製作所で4週間『構造用接着剤の性能評価実験』をした。謝礼千円では交通費の一部は自弁となり不満大!そのときの私の相談相手、いわば職場先輩は西岡喬さん(後に三菱重工業社長⇒会長になられた方)だった。

   『西岡さん、実習ではお世話になりました。しかし、私はトヨタ自動車工業に就職します。私は飛行機に特別の関心があるわけではありません。今後30〜40年間の勤務先としては、高い成長力が見込まれる産業に就職したいのです。航空関連では日本航空などの航空運輸業は伸びると思いますが、航空機製造業には夢が持てません』『私もそう思います。遠慮は要りませんよ』と、両手(もろて)を挙げて励ましてくれた西岡さんに、今でも感謝している。

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   折も折り平成19年秋のある日、トヨタ後輩&テニス仲間(航空原動機)から興味深い質問を受けた。

 
     『旅客機が離陸後、高度と速度が一定の巡航状態になった時の航空ガソリンの消費量は、積載重量が変わっても同じでしょうか?』

   私は条件反射のように『航空機の飛行時の抵抗は機体表面での空気との粘性摩擦抵抗と機体周りの空気の圧力分布差から発生する抗力の和である。搭乗人員数・積載荷物・搭載燃料の重量が変化しても、航空機の翼断面も機体形状も変わらないので飛行抵抗は同じ。したがって燃費は一定になる。
   
   しかし、当然のことながら離陸から巡航高度に上昇する間は、水平移動だけではなく位置のエネルギーを蓄積する分だけ余分にエネルギーを消費するので、離陸重量が重いときの方が燃料消費量は多くなる』と即答した。しかし、このとき私は迂闊にも燃費と密接な関係にある本質的な要因を見落としていたのだ。

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燃費は変わる

[1]友人達も不覚

   平成19年12月16日に我が食道がんの寛解を祝ってトヨタ同期の親友達が、箱根の東にある強羅温泉に招待してくれた。

   そのとき、愛知県在住の4名(航空・航空原動機・精密・私)は一緒に車で出かけた。車中で同行者にテニス仲間の質問を浴びせると共に、我が即答も紹介した。3人とも当然の事ながら、空気力学は学生時代に学んではいた。

   口々に『燃費一定とはおかしいのではないか、でも反論はできない』と発言。私も運動力学的には人工衛星のように等速運動ではあっても、時間と共に燃料を消費し飛行重量は軽くなるので、直感的には燃費は良くなるのでは、と思ったものの的確な理由を思いつかなかった、と発言。

   飛行を継続するにつれて必要な揚力が変化し、翼の迎角が変わると抵抗が変わることを、誰もがすっかり見落としていたのだ。

   大学を卒業して半世紀近くも経過すると、昔学んだまま活用する機会もなかった知識・情報・応用能力はすっかり錆付き役立たなくなるという、典型的な体験をする羽目に落っこちていた。

[2]機長は語る

   論より証拠とばかりに、我が高校同期生で元JALのジャンボ(ボーイング747)の機長に、メールで質問したら、即座に下記の回答を得た。

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   航空機の燃料消費率は重量および飛行高度により変わります。
   
   一定高度を一定速度で飛行する場合、重量が重い場合はそれに釣り合った揚力が必要なため、迎角を大きくしなければならず、必然的に抵抗が大きくなって一定速度を維持するためには推力を増加させなければなりません。
   
   当然燃料消費率は大きくなります。その重量・速度に適応する最適飛行高度を選択するのは、PILOT の重要な仕事です。  
   
   現在は搭載されたコンピューターが最適高度を計算してくれるので、その高度を管制官に要求し、飛行経路のスペースが空いていたら承認されて高度を変更します。
   
   昔は航空機関士が燃料消費量を計算し、航空士がその重量に合った飛行高度を計算し、操縦士が管制官に高度変更を請求していたのですが、現在では重量計算から最適高度の算出までコンピューターが計算してくれるので、機関士と航空士は不要になりました。
   
   私は以前は機関士だったのですが、不要になる前に操縦士への移行を会社が勧めてくれ、アメリカの飛行学校に行ってアメリカの操縦士のライセンスを取り、日本で書き換えをやってもらい、副操縦士となりました。その後経験を積んで機長に昇格しました。
   
   当時の航空士は一旦機関士へ移行し、その後操縦士になった人も多数います。現在就航中のジャンボは今後次々に新機種へと更新されるので、現在の機関士は最終的には職を失うことになります。
   
   現在は機長と副操縦士のPILOT のみの運航が主体です。

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[3]蛇足

   詳細な議論を省略すれば、巡航状態の重力(左辺)と揚力(右辺)との関係は下記した最初の方程式で表される。抗力も同じ形の方程式で表される。

   W=(1/2)*Cl*ρ*v*v*s
     D=(1/2)*Cd*ρ*v*v*s
  
   W:機体総重量
      D:抗力(空気抵抗)
      Cl:揚力係数  
   Cd:抗力係数 
   ρ:空気密度     
   v:飛行速度
   s:翼面積
   *:積

   巡航状態では飛行速度も翼面積も空気密度も一定。燃料を消費しつつ飛行すれば重量は刻々と減少する。そのときに揚力の方程式が成立するためには揚力係数が小さくならなければならない。

   揚力係数は、翼の迎角が大きくなれば大きくなる(正比例関係ではないが、その関係は風洞実験から求められる)。一方、揚力係数に対応した抗力係数も迎角が大きくなれば大きくなる。

   結局、重量が軽減されれば所要揚力が減少するので迎角を小さくすることになる。迎角を小さくすれば、自動的に抗力も小さくなり、抗力に推力を合わせるための燃料消費が減少することになるのであった。

   一定の速度で平坦路を走行している自動車も積載しているガソリンを消費するにつれて車重が減少し、タイヤと路面との間に作用するクーロンの摩擦抵抗が減少し、燃費がよくなる。そのときの車重と燃料消費量との関係は、航空機の燃料消費率の変化と似ているのだ。

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おわりに

   今回のような単純な問題ではあっても、日頃縁のない世界に生きていると如何に頭が錆付いていたかと、思い知らされただけではなかった。ジャンボは新幹線と同じように完全に自動操縦化され、パイロットは離着陸時にのみ万一の障害物との衝突等を避けるための監視役として搭乗しているだけ、とばかり誤解していた。

   航空ガソリンが安価であった頃でも、省エネ操縦がパイロットの重要な任務になっていたとはつゆ知らず、のママだった。

   それどころか、一昨年来の海外旅行では各航空会社は付加燃料代と称して、追加代金すら徴収するようになって些か腹立たしい思いもしていた。それだけ運行費に占める燃料費の比率が高くなっていたのだ。

   原油が1バレル百ドルを超えてしまった現在、省エネ航空機の開発競争はいよいよ本格化してきた。我が祖国のMRJは、機体の軽量化とエンジンの高効率化をセールスポイントにするだけではなく、世界に冠たる日本の工業力の信用をベースにすれば、既存のブラジルやカナダの競合機、安さを売り物にして新規に登場予定の中・ロのライバル機との闘いでも、十分な市場競争力を発揮するものと確信しながら・・・。

機長の追伸

   私は勘違いを怖れて、JALの元機長に査読をお願いしたら、即座に下記の返信を頂いた。感謝!

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   原稿拝読しました。小生に関する文面に誤りはありません。

   航空力学の基本的計算式はその通りです。実際の運航においては飛行高度、外気温度、風向、風力が燃料消費に影響します。
   
   予想気圧配置、風向風力図などを飛行前に読み取り、航路、高度の選定を地上で選定し、FMS(Flight Management System) に入力するのも PILOT の重要な仕事です。上空に上がって、予想と実際の空気の違いを確認し、FMS に修正値を入力すれば、新しい理想の高度をFMS が教えてくれます。
   
   日本が位置する中緯度圏は季節によって風向風力が大きく変化するので、PILOT は自宅で天気図を見て、今日のフライトの概略を予想するのが習性になっています。
   
   三菱重工のMRJ はYS-11 に続く日本の期待の航空機であり、現役を離れた小生も楽しみにしている新鋭機です。
   
   このクラス、70〜90人乗りのリージョナル・ジェットは現在カナダのボンバルディア、ブラジルのエンブラエルがあり、今後ロシア、中国なども開発するようですが、日本人らしい肌理(きめ)細かな機体を作れば競争力はあると思います。 
   
   ジャンボなどに較べてリージョナル・ジェットはキャビンも狭く、それだけに荷物棚などの設計が快適性に影響を与えます。操縦室の装備も、今後の航空界の進展に対応する装備を備えておかねば、対応できないでしょう。MRJ も上記2社の機体を参考にして、より優れた機体の設計をされるといいでしょう。

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蛇足

   質問好きの我がテニス仲間からは更に次の質問も浴びせられているが、私には未だにこの謎が解けないままだ。賢人各位、ご回答願えれば望外の喜びです。

   世界中何処でも、海や大きな湖の岸辺では波が必ず沖合いから岸に向って常時押し寄せるのは何故ですか?

   私は今までに78ヶ国を廻り、太平洋・大西洋・インド洋だけではなく地中海・黒海・カスピ海などの岸辺に立った時、常に波が沖合いから押し寄せてきたのを目撃しました。波が風だけが原因で発生しているのならば、閉曲線からなる内陸湖であるカスピ海の全ての湖岸に波が沖合いから常時押し寄せるはずがないので、何か別の理由があるのではないかと・・・。

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読後感

ご無沙汰しております。2月中旬から何故か我が家のADSL回線はメールの返信が出来なくなり、止むを得ない件のみ会社から返信していました。今日タイ電話公社へ行って見て貰ったら、PCのセッテイングを変更して返信可能になりました。

私のカンピュータでは重量が変わっても燃費が変わらないのはおかしい、と思いました(トヨタ在職中色々テストしていましたので)が、石松流解説を読むとそんな事も有るのかな、と一瞬納得。私も少しは流体力学を勉強したのですが、記憶は全く無し。後段の説明で納得しました。

MRJはトヨタも応援したようですが、良い機体を作ってうまく商売に乗せて欲しいと願っています。商業的に成功しないと意味が無いので。


@ トヨタ後輩・工・タイに家も買い活躍中・バルト三国に一緒に出かけた方

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いつもお世話になります。

Mitsubishi Regional Jetについては、海外にユーザー(航空会社)を見つける必要があると思いますが、どこの国が有望でしょうか?アラブ諸国、東南アジア、オーストラリア、北欧でしょうか?

注。石松の予測。超大型機はハブ空港間の小頻度大量輸送。中型機は乗り換え不要な二点間の中頻度輸送(既に航続距離2万Km機は開発済み⇒今後の国際線の本命)。RJは短距離二点間の多頻度輸送⇒市電の航空版⇒国内線の本命。小型空港の多い島嶼国家のインドネシア・フィリピン・日本Etc・・・、高速道路や高速鉄道の少ない発展途上国)

燃費に及ぼす要因については、よく理解できました。さらにひとり当たり、何リットル/Km と予測でき、自動車や他の乗り物と比較できるともっと興味が持てたと感じました。

Mitsubishi Regional Jetの燃費の目標値をご提案いただくことを期待致しております。

A トヨタ後輩・工・元仕事仲間・テニス仲間

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ラジコンHelicopterの分解・組立てと、リモコン操縦を日課の5イベントの内の一つにしているのでMRJには多少興味があります。

日本の科学技術の総力を挙げて,世界に冠たる航空機産業基盤を構築していって欲しいものと願っています。

石松先輩の航空工学力やコンサル会社TECのTOTAL TPS(設計開発段階〜製造まで)の技術支援力がMRJのモノ造りに影響を与える事を願って!

B トヨタ後輩・工・今春胃の全摘手術・リハビリ中

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平成23年1月3日受信

初めてメールを差し上げます。私は、長年航空宇宙に関する国立の研究所(現JAXA)に勤務して定年を迎えた者です。たまたま、石松様のホームページの中で航空機の燃費について書かれているのを拝見 して、感じることがありましたのでメールをさせていただきます。

1.日本は技術立国でありながら、現在飛行機を製造していない。

YS-11の製造を止めてから現在まで軍用機を除いて航空機を製造していないのはどうしてなのかいつも疑問に思っています。
(戦勝国アメリカの圧力です。我が母校の航空工学科も潰されました。学科としての復活は昭和31年です)。航空機の製造は付加価値が多いのに輸出産業の大きな柱になるチャンスを逃がしていたのではないかと思っています。羽田空港などに行って、AB社(Airbus 社、Boeing社)の外国機が占有している現状を何か寂しい思いがしています。

現在三菱リージョナルジジェットMRJが本格的に始動し、2012年に初飛行、2013年に量産開始と聞いています。ようやく本格的な製造を開始しようとしていて、この成功を祈っているものです。

2.航空機の燃費について。

(1)空力効率について

航空機の燃費は、航空機の抵抗のみだけではなく、空力効率に依存しています。巡航時の空力効率は

           空力効率=巡航マッハ数(対気速度)*揚力/抗力

で表わされています。燃費を減らすのには空力効率を上げる必要があり、そのためには(a)巡航マッハ数を増やす、(b)揚力を増やす、(c)抗力を減らすことが重要です。

(a)巡航マッハ数を増やすといっても、巡航マッハ数は、現在の高亜音速機ではマッハ数0.83位で音速に近づけるにしたがって翼面上に衝撃波が発生し、このような状態になると急激に抵抗(衝撃波抵抗)が増え、揚力が急激に落ちるので巡航速度は自ずから限度があります。巡航マッハ数が増え急激に抵抗が増えるときのマッハ数を抵抗発散マッハ数といいますが、抵抗発散マッハ数を上げるために、現在次のような努力が行われています。

巡航マッハ数を上げても翼面上に衝撃波が出来るのを少なくする。音速付近で飛んでも衝撃が発生しない翼型が発見され(Shock free airfoil)有望視されていましたが、これは理論上の話で実際の航空機に応用することはとても出来ないと考えます。この巡航マッハ数を上げる努力は続けられていて、翼型の改良によってBoeing747などよりは新型のBoeing787などの方が巡航マッハ数は確実に増えていると思います。

(b)巡航時の揚力を増やすためには次のような努力が行われています。揚力は、翼面上の負圧(大気の静圧よりも低い圧力)を翼面の広範囲に渡って維持し(実は翼面上の負圧部分で揚力を発生させていて、翼の下面の圧力はほとんど大気の静圧に等しく揚力に寄与していない)、揚力を稼ぐ方法ばどいろいろ考えられています。

(c)抗力を減らす努力は次のようなものが考えられています。空力効率の式の中で揚力/抗力は揚坑比と言われ、巡航マッハ数が増えても抗力が増えない翼型、すなわち翼面上に衝撃波の発生を出来るだけ抑えながら抵抗発散マッハ数を大きくすることに努力が払われています。

翼の周りの流れを詳細に見ると、翼面との摩擦抵抗は翼面上の流れが層流であるか乱流であるかによって大きく変わります。大雑把に言って抵抗値は1:3位あります。翼の前面では層流でこれが翼面上の途中で遷移し乱流になりますが、遷移を遅らせ出来るだけ翼面上の流れを層流に保ち(層流翼型)抵抗を減らす翼形状が考えられています。

しかし層流状態は乱流よりも流れが剥離しやすくなるという問題が発生するだけではなく、衝撃波と境界層の干渉によって剥離を起こす問題もありなかなか複雑です。最近の航空機は翼面上に小さなフェンスが取り付けられているのを見ますが、これは翼端では層流剥離を起こさせないように突起物を立てて層流から乱流に強制遷移させているものです。

また、抵抗の発生は翼端渦の発生によって抵抗が生じます。これは、翼面上に揚力を発生させることによって翼上面と翼下面の圧力差によって、翼下面から上面に流れが発生して生じるものですが、この抵抗 を抑えるために最近の航空機ではウィングレットを取り付けているのを見かけます。これも翼端渦による抵抗の発生を抑える効果の決め手にはなっていないようです(聞きかじりです)。

余談ですが、自然界の鳥の羽の流れはどうなっているのでしょうか。航空機においても抵抗を減らすため鳥の羽を真似て、翼面上に溝を付けて境界層を制御し抵抗を減らす試みがなされています。しかしこれも実用になるのは現在のところ難しいようです。また、鳥の羽は羽の端に切り羽を持っていて、これが翼端渦を抑え抵抗を少なくしてい ることなど、自然界の飛ぶための仕組みには驚かされます。

以上、ご参考になるものと思い、過去に経験したことをとりとめなく書きました。その他、航空機の燃費については空力的な改良のみだけでなく、エンジンの燃費・効率の改良も大きく寄与していること も聞きますが、そちらの方は専門外なので割愛させていただきます。
                                      
ご参考になれば幸いです。

石松の注。貴重な情報とご意見を賜り感謝。

でも、私は燃費問題以外にも航空機には不満があります。機内騒音と振動です。10時間も連続搭乗するとどのクラスの椅子に座っても疲労困憊します。ディーゼルエンジンが搭載されていたかつての大型客船と同じです。

昨年(平成22年)11月に体験した地中海・エーゲ海クルーズ(ロイヤル・カリビアン・インターナショナル社)のブリリアンス・オブ・ザ・シーズ(15階建て・90,090トン・2002年7月就航)はGE製ガスタービンで発電し、モータでスクリューを回すタイプでした。振動騒音は客室では全く感じられず、海上を走るホテルそのものでした。

今をときめくプリウスは燃費では突出していますが、車内騒音は11年も使っている我が愛車プログレの足元にも及びません。質量則に支配される車外からの透過音を軽量化を優先したため防止できないからです。東レなどが炭素繊維を使えば車は6割も軽量化でき、燃費が向上すると喧伝していますが、価格問題を無視しても透過音は防止できず、私には買う気が起きません。

航空機の燃費は鳥や昆虫などの模倣や不断の改善活動で今後も徐々に向上するとは確信していますが、超難問の騒音・振動問題の解決の見通しはなく、今後の最大の課題だと信じています。

C 全く存じない方・ホームページに載せて3年近く経っているのに、読んでいただいたことに感激!


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明けましておめでとうございます。

ご無沙汰していますが、お元気のようでなによりです。当方も、身体のあちこちにトラブルは抱えていますが、日々なんとか生活しています。 私が思うに身体にとって一番肝心なのは消化器官が健全であること、そのために胃や大腸の検査は定期的に行っています。次回は3月に日赤医療センターで入院検査をやる予定です。

添付のメール文書
(上記Cの読後感)を拝読し、久し振りに航空機関連記事を読んで、過去を振り返りました。

航空機の飛行中の抵抗については、PILOT は速度と燃料消費との関連で肌に感じます。最後に乗っていた B747-400 では、国際線機にはウイングレットが付いていますが、国内線機には付いていません。

国内線機の場合、駐機するスポットの関係で、翼幅の制限があったためです。実際に飛んでみると、国際戦機のほうが性能はよかったですね。特に着陸時などの大迎角の場合、沈下速度が違います。ウイングレットが最も効果を発揮する場面です。巡航中は速度は M.84 で、それほどの違いはありません。(数字的にはわずかな差はありますが)。

今後の日本の航空機産業は、エアバスA380 などの超大型機ではなく、中型機の需要に応えるように進んでゆくでしょう。三菱のMRJ はいい試金石です。成功を祈っています。

エンジンの騒音問題は、材料の高密度化と設計・試作経験で対応していくことになるでしょう。機体への取付位置も大きな判断材料です。機体後部へ直接取り付けるのと、翼下部にぶら下げるのと選択肢は2つですが、エンジンの信頼性が高くなると翼下面方式が主流になると思います。

胴体後部に直接付けるほうが、胴体中心線からのズレが小さいので、離陸時のエンジントラブルによるyawing は小さいのですが、振動による胴体内部への共振は大きくなります。双発の場合、両方のエンジンの回転数にズレがあると、ある周波数での共振振動が生じます。一般の旅客にはわからないでしょうが、専門家には感じるでしょう。

静岡のFDA が採用する機種を選定するとき、カナダのボンバルディアとブラジルのエンブラエル両機に乗り、色々な相違点を指摘し、結果として推奨したエンブラエルをFDAは選択しました。三菱のMRJ も両者の比較検討は行ったと思います。

話が長くなりました。 このあたりで失礼します。お元気でお過ごしください。

D 高校同期・元ジャンボ機長

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小生は残念ながら「航空機の燃費」は全く理解できないのですが、CとDの読後感を拝読してなるほどと思いました。

昨年11月、日経の私の履歴書「西岡喬(三菱重工業元社長)」のなかで、「MRJ」に強い期待感をもって記述されていた意味を理解できたことです。

いずれも石松大先輩の生き方について行こうとは無理ですので、そのなかからつまみ食いをさせていただき、少しでもエネルギーをいただこうと思っています。ことしもよろしくお願いします。

小生昨年大恩師(佐野至様)の訃報あり、その恩師の教えを踏まえて今年から少し生き方を変えようと思っています。小・中学校の子供たちとの接点が持てるボランティアですが・・・・・。

本日1月10日(月)、日経朝刊「寺子屋で先生の養成を」のテーマで、テルモ和知会長の記事を興味深く読みました。なお、恩師故佐野至先生の新聞記事添付しています。拝読いただければ幸いです。ことしもよろしくお願いします。

E 大学後輩・経・元銀行員

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