一階にある我が専用のパソコンルームの天井裏で鼠が走り回る音がし始めた。夜には二階の寝室の天井裏でも鼠が走り始めた。何匹進入したのかは解らなかった。
あるとき、食堂の床を鼠が走り去るのを荊妻が目撃した。鼠は部屋のコーナー沿いに移動するとの俗説を信じて、荊妻が昔使ったネズミ捕り器に鼠の好物を入れて、鼠の通り道になりそうな場所に設置した。何度も餌を取り替えたが一ヶ月近く努力しても成果は上がらなかった。
あるとき、我が書斎のオープン書棚に並べていた家庭菜園用の種を鼠に食べられていたことに気付いた。また別の日には台所や納戸に放置していたピーナ等の食材を齧られていることにも気付いた。
鼠が食べそうな食料は総て冷蔵庫や食品保管庫に収納した。我が酒の摘みの乾物類は総てスティール製の書類収納用ロッカーに入れ鍵も掛けて完璧を期した。食料が調達できなければ、鼠は退散する筈と予想したのだ。
米は大型のタッパーに入れて蓋をぴったり嵌めていた。蓋の勘合部は全周に亘って盛り上がりがあった。あるとき、その勘合部の盛り上がり部分の殆どを鼠が齧った。蓋には細長いスリットが出来、タッパーの機密性は失われた。
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