定年間際なのに、職場関係者による特別な配慮に支えられて、平成10年の春には『トルコ・パキスタン・ベトナム』、夏には『ロンドン経由・南ア・ブラジル・アルゼンチン・パラグァイ・ロス経由帰国』と言う文字通り世界一周の海外出張に恵まれた。その結果、日本航空と全日空の累積搭乗距離(マイレッジ・サービス)が急増し、夫々2万マイルを突破。しかし、平成12年元旦になると3年前の搭乗距離は失効し、日本航空分は2万マイル未満となり、利用価値は激減してしまう。
夫婦で出かけた最後の海外旅行は平成9年春の中国(西安・蘇州・無錫・南京・上海)だった。海外旅行にもすっかり慣れてしまった妻は友人との旅の方が楽しいらしく、私より一足先にイタリア・香港マカオ・韓国などに出掛けてしまった。私はそれらの国にはゴルフ友達を無理やり誘って、出かける羽目になるのが通例になり始めた。例えば今春(平成12年4月7日出発)、妻に数年遅れて『イタリア18都市13日コース』にゴルフ友達と4人で出かける予定だ。
2万マイルで貰える往復無料航空券は、飛行時間数時間圏内のアジア路線に限定されており、2人とも初めての場所となるとその選択肢は限られてしまう。その中から選んだのが今回のグアムだった。両社とも昨年末は特別キャンペーン期間中でハワイも含まれていたが、私には海外初出張(米国)の帰途に立ち寄り済みだった。揉め事回避策として妻には言わずもがな、ハワイにも行けるとは明かさずに、候補地を相談。
無料切符を満喫するには、パック旅行が季節的に高くなる頃が、内容は同じでも割安感が味わえて愉快だ。そこでクリスマス・シーズンを選んだ。マイレッジ・サービスに割り当てられている座席数は意外に少ないらしい。2ヶ月前に申し込んだにも拘らず、共に20番目位のキャンセル待ち扱いにされた。だが幸いにも、2週間後には夫々予約が取れた。パック旅行取扱の大手旅行社がコンピュータの2千年問題から予期せぬ集客難に襲われ、相次いでキャンセルしたのだろうか?
日本航空の場合は名古屋空港から昼間の発着。全日空は関西空港からの不便な深夜発着。妻は勤務の制約(毎年変わるが、当時は小学校の講師)からやむなく全日空を選択したので、私は日本航空となり、グアムのホテルで落ち合うことにした。妻の独り旅は数年前の米国・ウィスコンシン州(長女のホームスティ先)行き以来、今回で2回目。『グアム空港への深夜の出迎えは不要』と言う等、海外旅行での我が負担もどんどん軽くなってきた。
航空券は無料でも、ホテル代・食費・現地交通費・現地観光ツアー代は当然の事ながら別途必要となり、激安パックと比較すれば然したる価値もないのだが年初来の株価の回復も手伝って、僅かばかり増加した金融資産からお小遣いを捻出し、海外出張の付録と考えて気楽に出かけた。題して『61歳の回春旅行』。
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