騒音・低周波音・振動の紛争解決ガイドブック

村頭 秀人 著

1.紛争解決ガイドブック

 表題の本に目を通した。正確には一部を何度も読んだ。amazonの内容(「BOOK」データベースより)では、「公害紛争の中で最も多い騒音に加え、低周波音・振動についても、多数の紛争の解決に当たってきた弁護士が最新の知識に基づき詳細に解説。「音とは何か」という基本的解説から始まり、関係法令・条例・文献・裁判例などを精査し、様々な角度から紛争解決のための方途を指し示した、弁護士、公害苦情処理担当者、建築施工関係者、被害者等に必携の一冊。」と言うことである。

 恐らく低周波音に限らず騒音・振動に関したような著作は、これまで理工学関係者の著作は散見するモノの、文系に依るモノは少なく、増して弁護士により法的側面から見た著作は恐らく初めてではなかろうか。しかも、風車騒音問題などで渦中にある低周波音問題の核心である「低周波音の身体的影響」に関し一章を割き、国を主体とする主流派の見解とそれに対立する汐見文隆氏の見解を比較検討している「4章 低周波音 4.2 低周波音の身体的影響」については、著者がいみじくも述べているように、「両者(真っ向から対立する環境省という国家機関の見解と汐見文隆氏)の見解を同じ土俵にのせて比較し、整理したということだけでも、意義があると考えている」というのは誠にごもっともで、少なくとも私がこれまで見た騒音・振動問題に関する類書においては記憶がない。

 汐見説は主流派からは語るに値しないとでも思っているのか、触ると面倒とでも思っているのか、あるいは説を論駁し得ない故にか、とにかく明らかに意図的と思えるほど、これまでまとまった反論はなされず、文字通りこの問題に於いて黙殺され続けてきた部分である。この状態は、関係者が大人と言うだけで、今時の流行では”無視と言うイジメ”と全く同じ構図である。その点から見ても著者の試みは特筆に値しよう。他の章の内容については個々人による見解の相違などは余り生じないような理工学的数値的なモノや人の言うことなど聞きそうもない法律的内容であると考えるので今般はコメントを遠慮する。

2.私の立場

これまで拙サイトでは、一低周波音被害者or被害経験者の立場として、基本に於いて、極めて単純で「低周波音被害の苦しみから何も救ってくれない主流派は×、現実的に私を低周波音被害の苦しみから救ってくれた汐見説は」と言う立場に有ることを了解して読んでいただいて結構である。村頭氏はどう言った立場なのかは格別の予断は持たない。
 
 拙サイトの成立経緯からして、当該図書の「第4章 低周波音 4.2 低周波音の身体的影響」についてのみ、私なりに検証してみたい。そして、この「低周波音の身体的影響」と言う点こそ、低周波音問題と言うより低周波音被害の有無そのものに繋がる、この被害問題の肝心要(かなめ)であることは今更述べるまでもないであろう。


3.「第4章 低周波音 4.2 低周波音の身体的影響」の構成

この章のラインナップは以下のようである。私もこれらの点に付いては事ある毎に考え、喚き散らしてきた経緯があるが、書き散らかしてきただけで、こうした明確な形で敢えて比較対照、検討、整理した記憶がないので、この際著作の順に乗っからせてもらい、自分の考えを改めて検証してみたい。

なお、著作内容の詳細については格別触れていないので、各自原著にあたっていただきたい。なお、下記項目の頭の4桁数字は私が記述する都合で振ったモノで原著にはない。

 4.2.1 主流派の見解(環境省の手引書)
4211
低周波音が人に感知されなければ身体的影響は生じない
4212
低周波音の感覚閾値の国際規格
4213
参照値
4214
体感調査
4215
低周波音被害と訴えと耳鳴りの関係
 
 4.2.2 主流派の見解への汐見氏による批判
4221
汐見文隆氏
4222
汐見氏の著作
4223
汐見説は感覚閾値や参照値を全面的に否定する
4224
汐見説は「低周波音による身体的影響は本人が低周波音を感知している場合に限って生ずる」という主流派の見解についてどう考えているか
4225
汐見説は感覚閾値や参照値が人の感覚を正確に示していると考えているか
4226
左脳受容説
4227
汐見説は個人差の問題についてどう考えているか

 4.2.3 汐見説による批判を踏まえて、主流派の見解の検討
4231
「低周波音による身体的影響は本人が低周波音を感知している場合に限って生ずる」という見解は正当か
4232
汐見説はストレス説についてどう考えているか
4233
「感覚閾値や参照値は、人の感覚を正確に示しておらず、誤っている」と考えるべきか
4234
「低周波音に対する鋭敏度には個人差があるのだから、本人の感覚を基準にすべきであり、感覚閾値や参照値を基準にすべきではない」と考えるべきか

4.2.4
 主流派の見解への対案
4241
低周波音の測定値と感覚閾値や参照値との比較ではなく、体感調査によって決めるべきである
4242
汐見説への根本的な疑問
4243
耳鳴り説についての汐見氏の見解
4244
体感調査についての汐見氏の見解
4245
汐見氏のその他の主張について

4.2.5
 まとめ


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