対象会社の問題点 監査法人こそ…
日本風力開発株式会社はどうなるのだろうB
我が家のアジサイが終わり、剪定を済ませ、しばらくしてカサブランカが咲き始めた頃の2010/07/15「日本風力開発」は外部調査委員会調査報告書受領ならびに過年度決算の訂正および平成22年3月期決算短信の訂正に関するお知らせをIRにアップした。
43ページに及ぶ長文の上に、グダグダ長たらしい文章で、読む気がしないが、それは回りくどい何とも解りにくく、如何にも関係者が「読みたくない」と言う気分にさせる代物である。と言うことで、一応本当に目を通しただけだなのだが…。
そもそもが、会社の意向に沿った無理無理ムードに満ちた文書である訳で、でなければ素直に、「前監査法人」の言うとおりにしていれば良いのであって、それが「したくない」のか、「できない」のかそれなりの理由が有ったわけだ。つまりは、「前監査人の指摘」を何とか逃れるための手間暇であるには違いなかろう。
従って、結論は、読むまでもなく、文頭の以下の点に尽きるのであろう。それに依れば、十全に会社側の思うようにならなかった訳だ。
”調査報告書では当社過年度決算について、「過年度の決算処理が現行の会計基準を逸脱するものであるとはいえない」等、との評価を受けておりますが、一部の処理につきましてはより保守的な会計処理により「過年度修正を行うことも、一つの判断としてはあり得る。」との指摘も受けております。当該調査結果を受け、当社の一時会計監査人であるやよい監査法人と協議の上、本日開催の当社取締役会にて熟慮した結果、当該会計処理について過年度決算の訂正を行うこととしましたので、下記のとおり、お知らせいたします。あわせて進行中の一時会計監査人による平成22年3月期決算の会計監査において、平成22年5月14日に発表いたしました当社決算短信の一部決算処理に修正を要するとの指摘を受けました。当社として検討の結果、同決算短信の修正を行うことと致しましたので、下記のとおり、お知らせいたします。”
この”作文”自体が何ともそもそもの無理無理さを醸しているのだが、この文を素直に解釈すれば、「今般の会計処理は法律違反であるとは言えない、が、どうも今回の問題の本質である過年度決算の修正はどうもしなければならないようで、仕方ないのでします。」と言うことであろう。
そもそもが、”表に出るはずのない「覚書」” に係わる過年度決算の訂正をしたくないというのが事の発端なのだろうが、その金額を+したのか、−したのか、そして修正では、+するのか、−するのか、今一、解りにくい”作文”であるが、それこそが、今般の事態の発端だと思うのだが、ならば、その訂正内容が、「日本」と「やよい」では具体的には、どこがどう違うのか、きっと良く読めば解るのであろうが、私程度の知識とチョット見では解らない。まー、それは”言わぬ、聞かぬが花”よと言うことなのだろう。だが、それは少なくとも会社存続に根本的に係わるような違いが有るのであろう。
少なくともそうでなくては、「株主、 投資家の皆様をはじめとする関係者の皆様には、
多大なるご迷惑とご心配をおかけ」し、その”程度”は大株主である社長の持ち株が処分売りにされる程の株の暴落を招いてまで、『「覚書」
等は法的効果が無いとの結論を覆し、 且つ合理的な根拠を欠くまま、任意で過年度売上の一部を修正することはできないとの結論に至り』と言う意志を貫き通した今回の社長=会社の為した仕儀の意味が全くなってしまう。その費用たるや、今後の会社の信用、評判という財務諸表には直ちには数字としては直接現れな部分は別にしても、現時点でも社長の持ち株だけでも損切られた分、そして今の株価での評価損分を考えれば、会社=社長にとっては、”この調査書”を出させることに費やされた費用は社長個人としても何億円単位になるわけだが、それでも「しなくてはならない」値打ちが有ると言うことだろう。
しかしながら、「やよい」は、もちろんバカではない。「調査報告書」の最後にしっかりと以下のような「付記」をしている。
2 対象会社の問題点
旧調査委員会においては,G氏・C氏覚書や公社覚書等の各文書について、本件取引に係る風力発電機100基分及びNAS蓄電池合計67MW分の手数料売上に法的影響を与えるような法的効力を有するものかどうかについてのみ検討してきたが、当委員会においては、上記法的効力の有無だけでなく、本件取引の実態及び当該実態が対象会社の会計処理に与える影響等について検討を行ったものであり、調査の過程において散見された対象会社の問題点に付き、念のため付言しておく。
すなわち、旧調査委員会及び当委員会の調査の過程において、覚書等の各文書の作成に関与した対象会社従業員個人等が、少なくとも個人的な文書の社外流出や規定外手続等に関与していると認められる事例が散見された。
上記各調査結果によれば、本件取引に係る対象会社の会計処理が現行の会計基準を逸脱するものではないと結論づけられ、かつ上記の覚書等の各文書が当該結論を左右するものでないと解されることに照らすと、これらの各文書の作成に関与した従業員個人等に直ちに何らかの法的責任が生ずるものかどうかについては、なお慎重に検討する必要がある。しかしながら、そのような個人的な文書の社外流出や規定外手続等の事態を生じさせたことについては、対象会社の内部管理体制を点検、精査の上、早急な改善を必要とするものと考えられる。
この部分こそ、今回の「調査書」の”キモ”で、政治家が演説で言うところの”…と言っておきたい”としばしば念を押す所に当たるところで、”私どもはチャンとこの問題の問題点を指摘しておいたよ。だから後でもしこれらに関して後で何か問題が起きても、それは、既に解決すべきであると私は忠告しておいた訳で、後でグチャグチャなっても、私どもの先見性が賞賛されることはあっても、万が一にも、グチャグチャ非難されるような筋合いは全くなく、もうこれ以上の責任は一切無いよ」と言う事だと考える。
その@は、会社の内部に於いて「現行の会計基準を逸脱するものであるとはいえないが、より保守的な会計処理からすれば、問題がある事例が”散見”される、即ち、非常にしばしば通常的に、即ち、”法的に有効でない「覚書」により、取引が頻繁にと言って悪ければ、通常的に、非常に有耶無耶と言って悪ければ流動的に、フレキシブルに”行われている」と言うことでは無かろうか。
それは特殊な業務形態から現実的には仕方ないことで、即ち、政府の風力発電施設等の建設に係わる手順の内、政府交付金交付の条件に、「1)交付決定年月日を待たずに、無断で設置工事を実施した(事前着工)した場合は、理由の如何に関わらず、交付決定年月日より前の工事着工は認められません。」などと言う、国の杓子定規な”我が許可なくば一切工事は認めない”等と言う当初だけの建前で、後は知ったこっちゃ事じゃないという前世紀的なお役所的”お触れ”を通そうする事に本来は相当の原因があると考えるのだが、一方では、現状は、このくらいのことをしないことには、何をしでかすか解らない輩であるのが、風力発電業者であると言うことかもしれない。
しかし、それにしても、事業者的には、サイト候補地に、”白羽の矢を立てる”までから完成までの時間的経過の中で費やされた時とカネを考えると、国の”極めて非現実的な手順”も当然ながら責められるべきであり、そうした”国の手順を回避”する為に生み出された極めて不明確で曖昧な状態である”「覚書」取引”だけを責めるわけにはいかないのではなかろうか。
従って、「これらの各文書の作成に関与した従業員個人等に直ちに何らかの法的責任が生ずるものかどうかについては、なお慎重に検討する必要がある。」などと言う、会社始まって以来の未曾有の事態を招いたはずの「各文書の作成に関与した従業員個人等」の「法的責任」を追求することが出来ないのであろう。
そもそも、こうした事態が生じる根本問題の一つは、風力発電施設等の建設に際し、建設時に補助金を交付するという点であり、これを既に大方が提示しているように「建設稼働後の発電量に対する交付する」と言う様な方法を含む方法などの見直しで解決する面も少なくない。今回の問題はそう言った方向に向かうべきではないか。
もちろん、では当初の膨大な建設資金はどうするかと言うことになるが、それは政府からの超低金利or無利子の貸し付けとすればいい。そうすれば、「くれる金」でなく、返さなければならないカネであり、事業者も少なくとも今よりは”リーズナブルな建設費”で建設するようになるし、返済金に充てる売電に励むはずである。そうすれば、折角建てた風車を止駐めておくことはなく、少なくとも「造れば良いんです。補助金がもらえますから」と言う状況はなくなるはずで、さらには風車被害者の苦情により稼働停止を続けなければならないような場所には風車は造らなくなるのではなかろうか。
このページをアップして翌日、2010/07/23日本風力開発の第11回定時株主総会継続会開催のご案内のアップがあった。これまた、71ページと長くて、全然見る気がしないが、最終ページでやよい監査法人は、
当監査法人は、監査の結果として意見表明のための合理的な基礎を得たと判断している。
当監査法人は、上記の計算書類及びその附属明細書が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、当該計算書類及びその附属明細書に係る期間の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示しているものと認める。
として、会社が出す会計と言っても、委員会と擦り合わせた、と言っても監査と擦り合わせた報告書に「認める」として”お墨付き”を出した。これで、今後、会計に問題が有れば、「やよい」が責任を持つことになるのだろうが、潰れないとまでは保証してくれるわけではないとは思うのだが。
それにしても、「我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、当該計算書類及びその附属明細書に係る期間の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示している」とするならば、新日本監査法人が”問題有り”としたことが”やよい”では「問題無い」となったわけで、これ即ち、「我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」にはダブルスタンダードなどとは言わないが、日本国の会計「基準」には解釈による相違、or、相当に幅があると言うことになるわけだ。いわゆる「認識の相違」と言うことになるのであろうが、それがどこかで争われるような事態が無いとは言えないのではなかろうか。
まー、これで、株主総会が「シャンシャン」と行くのかどうか楽しみである。
それにしても株式市場では15万円まで行くと騒がれていたが、P67.で「7.1株当たり情報に関する注記 (1) 1株当たり純資産額148,100円31銭」とあり、良いとこ見ているんだなーと思うところしきりである。
最後まで読んでくれて有難う
100722,100724