環境省の風車騒音被害調査始まる

風力発電施設建設は今や未必の故意?


 平成27年1月16日、長崎県の風車に関した国の意見が、「宇久島風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について」としてネットに出ていた。熟々思えば、私が宇久島風力発電事業についてグダグダ言っていたのは既に5年前と思ったのだが、「手続」を見ると平成25年で、ほんの最近のことになり、別の案件?、それとも出し直し? と思ってみたが、いずれにしても、宇久島にそんなにいくつも大規模な風力発電事業が有ろうとは思えない。やはりそのままの話が続いていたのですね。

 この条件での設置の可否は私には解らない。ダメとは言っていないのだから結局は良いのだろう。

 環境省は、16日、長崎県で実施予定の「宇久島風力発電事業」(グリーンパワー株式会社、風力開発株式会社)に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、長崎県佐世保市宇久町(宇久島、寺島)において、総出力100,000kWの風力発電設備を設置するものである。
 環境大臣意見では、近隣住民の生活環境、動植物及び主要な眺望点からの景観に対する影響が強く懸念される風力発電設備及び取付道路について、配置の変更又は設置の取りやめを求めるとともに、その上で騒音等の影響を回避・低減するため低騒音型の風力発電設備の採用や稼働時間の調整等の適切な環境保全措置を講ずることを求めている。 

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1.環境省の風車被害調査始まる

平成21年6月16日第171回国会環境委員会における岡崎委員の質問に対し政府参考人である環境省水・大気環境局長白石順一君は以下のように答弁している。

政府参考人(白石順一君)
 環境省におきましては、移動発生源等の低周波音に関する検討会というのを設けていただきまして、それによって、今年の三月でございますけれども、諸外国における風力発電施設から発生する騒音、低周波音に係る基準等の状況を調査したものを取りあえずの暫定版という形で公表をさせていただいております。

 まだまだ速報的な形で取りまとめたものでございますので、もう少し掘り下げた情報の収集あるいは調査というものを引き続き行いたいと考えております。

 いろいろな調査の手法というものがございます。まずは諸外国の状況ということでございますけれども、その上で、必要に応じてそれにまた追加する国内のいろいろな調査、聞き取り等も行わなければならないというふうに考えております。


 ということであったが、政府答弁の、「まずは諸外国の状況ということでございますけれども」は09/03/12、環境省サイトに「外国における風力発電施設から発生する騒音・低周波音に係る基準等の状況について(暫定版)」として資料発表された。

「その上で、必要に応じてそれにまた追加する国内のいろいろな調査、聞き取り等も行わなければならないというふうに考えております。」ということの、国内被害者の順番がやっと来たようで、愛知県では、「環境省の地方委託業務は、風力発電施設から発生する騒音等の実態を把握するために、苦情の対象となっている風力発電施設周辺において実測調査を行うものです。…。1.本調査は、環境省が行う実態調査を主目的とするもので、調査内容は環境省が示すものに準拠するため、個別の苦情申し立て内容に対応するものではありません。…。」ということだ。

この調査は「どういった規模」で行われるのかと言う点に関して、愛知県の職員は7/27の段階では知らないと言う。ただ自分たちは環境省に言われたから、言われたことを言われたようにするまでと言った感じで、どういった立場で自分たちが測定に当たるのかと言うようなことは埒外の事のようだが、本当にそうなのか、“被測定者”にはそう答えておけと言うことなのかは不明だ。少なくとも、愛知県は既に久美原の大河宅を2度にわたり測定しているはずなのだが一体全体それは何だったのか。

 測定方法に格別の違いは無いはずであるから、それほど違った結果が出てくるはずはないはずなのだが、どうもこれまでの愛知県の測定では、被害者宅の室内のみの測定で、同時に室外における測定がなされていなかったことが決定的な瑕疵となっているようだ。
環境省的にあくまで騒音の絶対値を問題にするのだから、まー、室外など問題はないはずなのであるが、音のように感覚的なモノの本質に帰ると、あくまで相対的なモノであるはずだ。

 即ち、言うまでもないが、都会の喧噪の中での60dBはもう、殆ど問題にはならない音である。しかし、自然の音しかしないような地域(まー、普通の田舎)では異様な継続的な機械的音(まー、例えば、風車の回転音など)は轟音以外の何ものでもない。その”轟音感覚”は「聞こえないから、何ら健康被害をもたらさない」と"専門家"により勝手に断定されている低周波音においても、如何に鈍感、無感の人にも何らかの感覚を呼び起こすのでは無かろうか。

「お勝手口」さんによれば、少なくとも、「愛知県で、苦情の対象となっている風力発電施設は、M&D社の細谷と久美原の風力発電所の、たった2基だけだそうです」ということであるから、愛知県では測定するのはこの2箇所という事であろう。


09/08/06の読売愛媛県版風車の低周波音測定では、愛媛県伊方町三崎では環境省の測定はその日になされたと言うことだが、今回の環境省の指示以上の測定が事業者や"専門家"により、既にこれまでになされているはずなのだが、それらと比較検証する気はないのだろうか?

さらに、「調査はほかに愛知県の2か所で予定されている。」と言うことであるから、今回の測定はひょっとして愛知と愛媛でお終いないの?と言った感じではあるが…。


2.苦情がないということと被害そのものがないということとは違う魅力いっぱい!ながさきの「しま」!長崎の島!観光スポットもいっぱい!島の暮らしはいかが!島での癒し生活!

平戸市から北へ10kmに、凡そ東西5km、南北3km面積約15平方km、的山大島と書いて「“あづちおおしま」と読む島(右図では「大島」)がある。素人的には「的山」と書いて「あづち」と読むのは何か謂われでも有るのだろうか非常に興味のあるところだが、地名、人名は難しいと言うより解らない。

で、大島だが、そこには2000kW×16基と言う、M&Dグリーンエネルギー株式会社によれば、「離島における風力発電施設としては日本最大級」の風力発電所がある。単純に計算するとこの島には1平方キロに1基の風車が建っていることになるので、多分島では何処に居ても風車を目にし、どこにいても風車音も聞こえてくると言うことになるのではなかろうか、と思うが写真を見ると実際には一応偏在しているのでそうでもないのかもしれない。

しばしば、「風車があって、近くに人間が居ても、苦情など無いところが殆どなのに、“一部の”風車騒音苦情者はギャーギャー騒ぐが、おかしいのではないか」等と言う風車万歳派の声をサイト上で”見る”。

だが、あれだけの大きなモノが剥き出しで、他には自然の音しかしないような場所にデーンと存在し、動いていれば、少なくとも200400mの近辺では「それなりの音」が聞こえない方が不思議で、それを感じない人間が居るとすれば、明らかにそういった人間の方が異常なのである。

3.人の近くに風車があれば苦情はあるはず

矢張り、長崎のふるさと自然の会の調査(的山大島風車被害調査」09.4.19)に依れば、「最も近い風車が150m程度」に有るという“苦情者”は、「騒音について役所に言っても、業者に言ってもなんの対策もない。誰にこの問題を言えば良いのか」という事である。別の地域の“苦情者”は、「役所が(経営・運営)しているので、苦情が言いにくい。近所の人もうるさいと言っている。…。50基も建つ宇久は大変なことになるね」という事である。こうしたことがどうして表に出てこないのか知らない、知らせないと言うことは恐ろしいことである。

因みに調査に当たられた、ふるさと自然の会の川内野さんによれば、「平戸市大島支所は私の電話問い合わせに対し、風車による苦情は全くないという回答だった。」ということである。

「役所が(経営・運営)している」と言うのは、旧大島村は25%の事業参加しているのだが、”役場”の人間は今もって地域住民に睨みを効かせ、黙らせるには非常に役立つ梃子(てこ)となるのであろう。まー、勝手に”在の人”がそう思っているきらいはあるが、地元で反旗を翻すことは中々難しい。地元自治体を事業に参加させると言うことは事業者的には、建設前も後も、非常に好都合なのであろう。

大島で発電した電力は海底ケーブルで平戸側対岸の田平町に送られるらしいが、そこにも風車が有る。川内野さんの調査田平町風車被害調査09.7.11では、その風車から173m離れ、25m低いところに一人住まいのおばあさんは、「うるさいけど我慢している。もう先もなかし、色々いっても仕方がなか」ということである。

こういった調査の一方、「特定非営利活動法人再生可能エネルギー推進市民フォーラム西日本」は20077?200711に的山(あづち)大島風力発電所など九州地区の大規模施設での「一施設毎に複数の関係者にヒアリング調査を実施した」そうであり、「(こうした)ケースは少ない。これにより九州内の風力発電施設の状況をより明らかにすることができたと考える」と言うことであるが、どういった状況が明らかになったのであろうか、是非ともネット上に公表して欲しいモノである。

こうした、「色々いっても仕方がなか」と言う被害者側の状況は、地方へ行けば行くほど、まして、離島などではこういった傾向は決定的であり、被害者として声を大にして手を挙げる等と言うことは、多分未だに村八分になることを覚悟しなくてはならないのではなかろうか。


4.とにかく苦情は告げておくこと

こうした、被害者の雰囲気は、風車音のアラシの中で繋がれながら死んでいった「台湾ヤギ」状況を思い出させる。繋がれたまま語らぬヤギは「座して死に至らしめられた」いや、「夜でも座っていなかった」と言うことであるから、立ちながらにして命尽きたのであろう。

「色々いっても仕方がなか」の人の場合は、座して死を待つという心境かも知れない。実際、お年寄りで、工場の低周波音問題でそう言った状況の人を少なからず知っている。そう言った人たちは環境省が言うところの“苦情者”の数にも入らず、問題的には「風車は全く問題無い」と言う側に一票を投じてしまうことになる。もちろん、今回のような環境省の測定調査の対象にもならない。もちろん問題の渦中の人になどなりたくないと言う思いの方が強いのであればそれは致し方ない。だが、「公害問題に於いては、賛成か反対しかない」のであり、無言であることは賛成なのである。なかなか厳しい選択を迫るモノである。

 苦しみの声を上げるに際しては、自分の苦しみの騒音の測定数値が仮に「参照値」などに比較して、如何に小さかろうが全く問題無い。重要なのはその測定値の数値の騒音で「私は苦しい」と言うことなのである。そうした、被害者の苦情事実の一つ一つの蓄積こそが、それこそ環境省が言うところの、「知見の蓄積」と言うことになるはずなのである。

もちろん、その蓄積から導き出される専門家の見解“は、論拠そのものが、あくまで己の立場が似非科学であろうなどとは一顧だにすることのない御用学者に依るモノであり、それを都合良く役人が利用するのであるが、もちろんそのためにこそ御用学者は存在しているのであるが、恐らく、決して、当然被害者の感覚と相容れるはずがないとは思うが。

しかし、常に彼らの主張する論理には全く正当性が無いのは、彼らは誰一人として、風車から200300mに居住することなく、その音を四六時中聞いているわけでもなく、現実感としての事実を一切知ることもないので、生身の人間の存在を考慮することもなく、あくまで数値だけを見て、科学的に「健康には影響はない(はず)」としているからである。あくまで机上の空論なのである。

5.風車は稼働してみないと…

いずれにしても、まずは、@風車事業自体が如何なる場合にもこうした状況を作り出しているのか、あるいは、A特定の(悪質)事業者がそうしているのか、あるいは、B特定の施設だけがそうなのか、もしそうであるなら、Cそうした、存在を放任していることは、風車事業あるいは関係者全体が非常に“ダーティー”な存在として認識されることになる。
 従って、D万が一、「特定の(悪質)事業者」だけの問題なら、他の善良であるはずの風車事業者はこぞってそういった悪質な事業者を自らの手で駆逐しなくてはならないはずだ。そういった存在を延々と放置状態にしておくと言うことは、やはり、業界全体自体と言うより、この場合は国自体が何らの責任も危機感も持たないが故にと言うことになる。

 そして、最も問題なのは、風力発電の専門家と言われる、これまた“御用学者“達は個々の問題には全く責任がないとばかりに、風力発電問題に関してマスコミからコメントを求められると、毎度同じように口を揃えて、「住民に丁寧に説明して理解を求めるべきだ」などとシャーシャーと第三者的なコメントをなさる。

そもそもが、こうした問題が出てきた事自体の最大の原因の一つは、「風車は稼働してみないと騒音などの実態が解らない部分がある」と言うことを専門家自身が平気で言う事自体、是非とも実際に風車を動かして実験してみたかったからと考えざるを得ない。

そうした風車"専門家"の夢想により、断りもなく人体実験の生け贄にされた風車近辺の住民にとっては無茶苦茶理不尽な話しだ。この災難の原因は、素人目には明らかで、風車は傷害罪、傷害致死”一歩手前罪”と言っても良いはずなのだが、科学的、さらには、法的には因果関係の証明が極めて困難と言うことで現実的には何ら責任を問われていない。もちろん、そうし置かないことには問題風車の関係者は既に今や未必の故意かなりの可能性を秘めた確信犯)が有ったと言うことになってしまうからである。それを逃れるには延々と「風車は問題無い」と言い続けるしかないのであろう。

そうした状況が現在なお、依然として放置されているのであるから、もし、当初においては専門家自体がこうなることを知らなかったのなら、早々に素直に詫び、早々に現在進行形の“人体実験”を取りやめるべきである。しかし、今更、口が裂けてもそんなことは言えないであろう。となれば今後の風車建設で苦情が出た場合は、最早、未必の故意では済まされまい

もし、風車"専門家"に微塵たりとも、人倫とか良心とかいうモノが有る「””無し」の専門家であるなら、せめて、国に対して、人家近くの風車建設の中止を早々に進言すべきである。もちろん今や単なる“権威”となってしまったポチ達に今更「自分のやってきたことは間違いでした」とまではとても言えないであろうし、「チョット拙かったかも知れません」等とも言えないであろう。元々、こういった類の人種は被害者と言うより人間の苦しみを察して胸が痛むような感覚が欠如している輩が多いので、決してこうした事態に危機感を感じることもなくましてや責任など感じるはずもないのであろう。

それにしても、毎度毎度の専門家の「理解を求める」とは、一体全体具体的にどういった理解を考えているのであろうか。私にはやはり、沖縄の基地問題で国が求める「理解」と同じで、単に「我慢しろ」と言う事にしか思えないのだが、この手の音は我慢できる類のモノではないのだ。


6.風車は日本の国策から外れた?

少なくとも風車建造を続けていきたいなら、現在のヤクザ風車が一部の業者によるモノであるとするなら、それを排除すべきは、風車推進派、就中、国の成すべき事であろう。そうした自浄作用が無ければ、風車が置かれた状況はますますダーティーになっていくしかないであろう。そう言った状態を反映してかどうか、昨今のソーラーに対する国策支援状態と比較すると、ソーラーは国産メーカーが国内に於いて下々の家の屋根全てに載せるまで売上が望め、さらには輸出でガンガン儲けられそうなのだから、産官は完全にソーラーに向いていることを関係者は認識すべきであろう。

そもそもが、クリーンエネルギー問題はあくまで政策的、経済的な問題であり、その国策に乗っかって事業を進めてきたはずなのだから、国策の転換(?)を事業者なら自覚すべきではなかろうか。

こうした時代に、これまでのような状況を風車事業者に対して国が放置して、「50基も建つ宇久は大変なことになるね」と言う被害者の言葉は、多分建った後の“被害予定者”に対して向けられた言葉だったのだろうが、流石、人間、ヤギとは違い、死にそうになるならと逆襲した結果、建つ前の“事業者にとって大変なこと“となった。

 

7.宇久島風力発電計画に住民が反対

 

2009/7/1

風力発電:宇久島に計画 住民が反対陳情、有権者の7割超す署名添え /長崎

 五島列島最北端の宇久島(佐世保市)に計画されている風力発電に反対する地元住民団体「宇久若いもんを支援する会」(会長=平山忠一郎・宇久町観光協会長)は30日、計画に同意しないよう求める陳情書を、署名1818人分を添えて市に提出した。

 陳情書は、住民に十分な説明がない▽絶滅危惧(きぐ)種を含む野生生物と遺跡群が保護されない▽低周波や騒音で住民の健康と畜産業に悪影響がある−−とし、計画に同意しないよう求めている。

 署名は宇久島の有権者(約2500人)を対象に先週から集め、7割を超す島民が名を連ねた。平山会長は「住民の生活基盤が脅かされる」と話し、応対した末竹健志副市長は住民の合意が一番大切だ。地元説明会できちんと業者に質問してほしい。市長に伝える」と答えた。会は市に先立ち、県にも同様の陳情をした。

 計画では、風力発電専業の日本風力発電(東京)などが出力2000キロワットの風車を50基設置、九州電力に売電する。10万キロワットの風力発電所は日本最大で、一般家庭6万世帯分の電力を供給できるという。【山下誠吾】

〔長崎版〕

http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20090701ddlk42040564000c.html

宇久町オフィシャルサイト

http://www.city.sasebo.nagasaki.jp/uku/content/asp/default.html

それにしても、26.4平方kmの島に50基の風車を建てると言うことは0.5平方kmに1基の風車を建ってることになる訳で、単純に言って的山大島の2倍の“風車密度”となることになる。どこかにまとめて建てるのでもなければ、島中風車だらけという事になるのは間違いない。因みに、NWWは風車から人家までの距離を最低で2kmを提唱している。

なお、上記の宇久島などの内容についてはアップロードの段階になって「日本に巨大風車はいらない」さんの「巨大風車建設現場、建設候補地の現状」に詳細且つ素晴らしい論考としてまとめられている事が解ったが、まー折角書いたので載せます。


8.力発電建設反対の声相次ぐ 新上五島、関電が説明会

 関西電力の100%子会社の「関電エネルギー開発」が、新上五島町岩瀬浦郷で風力発電計画を進めている。地元住民への説明会が27日、同郷の福見公民館であり、出席者からは、健康被害、自然環境や景観への影響などを理由に反対の声が相次いだ。

 同社などによると、三盛山(302・5メートル)から遠見番岳(308メートル)までの尾根伝いに、2千キロワットの風力発電設備を7基建設。羽根は直径80メートル、タワーの高さ60〜80メートル。年間発電電力量の想定値は3800万キロワット時で、一般家庭の約1万世帯分を賄えるという。

 これに対し同郷の福見と須崎、中山3地区の住民らでつくる「三盛山の風力発電建設に反対する会」(松田金英会長)が8月、発足した。手足のしびれや不眠、耳鳴りといった“風車病”、施設建設に伴う森林破壊や土砂崩れ発生を懸念。地域住民から反対署名を集めるなどしている。

 説明会には、同社側5人と地元住民ら約110人が参加。同社担当者が「やると決定していない。環境調査をさせてほしい。皆さんと話し合いながら、最終的にやるかやらないか、判断させていただきたい」とあいさつ。低周波音は車のエンジン音、冷蔵庫やエアコンの室外機など、「どこにでもある」と説明。病気との因果関係については、研究者の「明確な根拠はない」、公的機関の「直接的な要因となる可能性は少ない」との見解を示した。既存の風力発電設備に対する老人施設などへの聞き取りからも影響はないとした。

 住民らは「7基も造るのは反対。それ以前の(環境)調査も不要。町内のほかの場所にも造らないでほしい」「子どもたちに素晴らしい自然を残して」「(風力発電ができれば)魚が釣れなくなる」などと発言、すべて反対意見だった。同会は28日、井上町長に署名や要望書を手渡すという。


 2008/9/28 長崎新聞


 「新上五島町岩瀬浦郷」と言うのはどこかなと思えば、上の地図で行くと、「宇久島」の下にある「中通島」の行政名らしく、今回白羽の矢を立てられたのは、この島の南部の「三盛山(302・5メートル)から遠見番岳(308メートル)までの尾根伝い」と言うことである。

 確かにその麓に位置する「福見と須崎、中山3地区」の人たちが心配するのは至極もっともな話である。地図で見る限り、各地区から風車までの距離は 500m〜1kmくらいで、多分最近のセット・バック500mはクリアしているような気がする。

 でもね、@「やると決定していない。環境調査をさせてほしい。皆さんと話し合いながら、最終的にやるかやらないか、判断させていただきたい」というのは方便でね、「やると決定していない」ところを調査してどうするの。調査はタダではないでしょ。「やる」方向で調査するに決まっているじゃない。思うに大まかな下調べは既に終わっているはず。何せ正式な調査なら相当なカネが掛かるはずで、住民が「ダメ」と言って、はい、そですかと引っ込むはずがない。「判断させていただきたい」と言う「判断」は住民がするのではなく、事業者が、最初に結論ありきの判断をする訳。
 

 ”低周波音は…「どこにでもある」”という説明が全く詐欺。簡単に言えば、直径40cmくらいの扇風機の羽根と80mの風車の羽根が同じ様に考えろ、と言うことで、どちらも低周波音を出すと言うことで、"専門家"も業者も、地元民に風車を扇風機と思えと”ご理解”を求めるのである。流石にそんなインチキ話に騙される人は無かろうが、それを堂々と言っている"専門家"がおり、それ”先生”としてお招きして、行政や住民を丸め込もうとする業者が居るのだから安心できない。みなさん、「低周波音専門家」と言う言葉に決して騙されてはてはいけません。

 そして、病気との因果関係については、研究者の「明確な根拠はない」、公的機関の「直接的な要因となる可能性は少ない」との見解を示した。”

 世には未だに原因が解らない病気がいっぱいあるのである。”明確な根拠”が無くても、要因になる可能性が少なくても、「なるモノはなる」のである。「原因が解らないから大丈夫」などと言う論理がどこにある。「風車病は絶対ならない」と断言するならまだしもであるが。とにかく危険を知っていて、どうしてわざわざ「病気になる可能性のあるモノ」を身近に置かなくてはならないのか。原発のようにいざ事あれば死ぬかも知れないと解っている方が、相手もしっかり気を使って管理する(と思っていたのだが、今般の東日本大震災における東電の不手際を見ていると全くそうではなかったようでビックリである)し、こっちもそれなりの心構えができる。風車のように”問題がない”と言う考え方が前提になって居るモノのこそ怪しい。本当に怪しい。

 かの水俣病でも死人がドンドン出ているのに原因が解るのに随分掛かった。その理由の一つには御用学者の原因隠蔽工作が有ったのではなかったかな?御用学者というのは明らかにその説が間違っていると言うことが完全に解るまで、政府お墨付きのその道の専門家中の専門家なであるから本当に始末が悪い。

 しかし、本当に事業者は良い場所に眼を付ける。設置場所を見つけること自体が重要な仕事だから当然と言ってしまえば当然だが、流石プロ。この尾根伝いには既にどんな道路か解らないが既設の道路が付いているようだから建設経費は節約できる。でも、須崎と福見方向へは明らかに谷があるから、川ほどではないのだろうが水が流れることは間違いなく、「施設建設に伴う森林破壊や土砂崩れ発生」が単なる「懸念」で終わること決して無いであろう。

 そう、「それ以前の(環境)調査も不要。」という決断こそ正しいのである。彼らにまともに土を踏ませないのこそ正解でしょう。
 


最後まで読んでくれて有難う

 090928,090807


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