消費者安全調査委員会
家庭用ヒートポンプ給湯機から生じる運転音・振動により
不眠等の健康症状が発生したとの申出事案のフォローアップ


家庭用ヒートポンプ給湯機から生じる運転音・振動により不眠等の健康症状が発生したとの申出事案

  家庭用ヒートポンプ給湯機から生じる運転音・振動により不眠等の健康症状が発生したとの申出事案に関する報告書・評価書  
 評価書  経過報告書  報告書  勧告・意見  フォローアップ
     
概要
[PDF:725KB]
 
意見
[PDF:133KB
 
通知(経済産業省)
[PDF:116KB]

通知(消費者庁)
[PDF:132KB]

通知(公害等調整委員会)
[PDF:125KB]

通知(環境省)
(環境省サイト)


通知(消費者庁)
[PDF:71KB]

通知(公害等調整委員会)
[PDF:64KB]

通知(経済産業省)
[PDF:170KB]

通知(環境省)
[PDF:91KB]

 
本文
[PDF:2.3MB]

 消費者安全調査委員会の平成26年12月19日「消費者安全法第23条第1項に基づく事故等原因調査報告書 家庭用ヒートポンプ給湯機から生じる運転音・振動により不眠等の健康症状が発生したとの申出事案」に対する報告書が各省庁への勧告・意見として示されたのだが、無視かと思ったが、流石にそうしたことは無く、関係機関は、業界、末端組織へ、(何かやっていますorやりなさいと言うような)「フォローアップ」をし、それに対する(フィードバック的な)「フォローアップ」=どうしたかorどうしているか)がやっと1年経ってなされたようです。


 因に、報告書のポイントを見ると、「S2.8 聴感調査結果のまとめ」において、

(1)血圧の変化について
・聴感調査において、発症者群は対象者群に比べて、調査実施後の血圧の上昇が顕著である者が多かった

(2)聴覚閾(いき)値について
・低周波音領域において、発症者群が対照者群と異なる聴覚閾(いき)値を有することを示唆するような結果は認められなかった。
・発症者群と対照者群の双方において聴覚閾(いき)値の個人間のばらつきが大きかった。

(3)寝室許容値について
・発症者群においては、対象者群と比較して、寝室許容値と聴覚閾(いき)値との差が小さい傾向がうかがわれた。すなわち、発症者群は、知覚すると直ちに不快を感じることが示唆される。

以上などから、

 「消費者 安全法第 33 条の 規定に基づく意見」として、以下の様に勧告・意見した。

低周波音固有の人体への影響の有無及びそのメカニズムには不明な点もあるため、

現時点においては、ヒートポンプ給湯機の運転音による不眠等の健康症状の発生を根本的に防ぐ対策を示すことは困難であるが、健康症状発生のリスクをできるだけ低減するとともに、より根本的な再発防止策の検討と発症時の対応の改善を進めるため、

経済産業省、環境省、消費者庁及び公害等調整委員会は以下の取組を行うべきである。

(1)リスク低減のための対策
@経済産業省は、住宅の設計・施工時における騒音等防止を考えた家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブックの活用を促すため、住宅事業者や設置事業者へ据付けガイドブックの説明及び普及を促進し、適切な時期にその効果の確認を行うよう、一般社団法人日本冷凍空調工業会を指導すること。

A経済産業省は、設置状況によってはヒートポンプ給湯機の運転音に起因した健康症状を訴える者が生じる可能性があることを、製品カタログに記載する等により、消費者に伝わるよう、製造事業者を指導すること。

B経済産業省は、低周波音が健康症状を発生させる可能性があることに鑑み、ヒートポンプ給湯機の運転音に含まれる低周波音の更なる低減等に向けて、製品開発を行う際に配慮するとともに、低周波音の表示の在り方について検討を行うよう、製造事業者を促すこと。

C環境省は、低周波音の人体への影響について、一層の解明に向けた研究を促進すること。

(2)健康症状の発生時の対応
D経済産業省は製造事業者に対して、ヒートポンプ給湯機から生じる運転音・振動によって健康症状が生じたとする個々の事案に対応して、製造事業者が健康症状の軽減に向けたヒートポンプ給湯機に関する具体的な対策を検討し提案するとともに、その履行がなされるように取り計らうなど丁寧な対応に努めるよう、指導すること。

E消費者庁は、ヒートポンプ給湯機から生じる運転音・振動によって健康症状が生じたとの苦情相談への対応方法を地方公共団体に周知すること。

F環境省は、現場での音の測定値が参照値以下であっても慎重な判断を要する場合があることを、一層明確に周知すること。

G公害等調整委員会は、紛争となった場合の地方公共団体における適切な公害苦情対応について検討を行い、地方公共団体に対して指導、助言を行うこと。

 と言うことに対して、各関係者は一応どう反応したのだろうか。


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 経済
産業省
消費者安全調査委員会からの意見を踏まえ、平成26年12月22日、一般社団法人日本冷凍空調工業会に対し、家庭用ヒートポンプ給湯機の運転音等の改善への取組として、所要の対策を講じるよう要請を行いました。現在、同工業会において、取り組みが進められており、経済産業省では、今後とも、適切にフォローアップを行っていきます。

  通知(経済産業省)[PDF:116KB]
一般社団法人日本冷凍空調工業会に対し、家庭用ヒートポンプ給湯機の運転音等の改善への取組として、所要の対策を講じるよう要請を行いました。
@据付けガイドブックの普及促進を図るべく、同工業会内に「ガイドブック普及促進WG」を平成27年1月に設置。
A製品カタログへの注意喚起表示については、次期カタログから表示すること
【運転音に関するご注意】
●運転音は、…、反響の少ない無響室で測定した数値です。実際に据付けた状態で測定すると、周囲の騒音や反響を受け、表示数値より大きくなるのが普通です。
●ヒートポンプ給湯機は、…。寝室や隣家に近い場所など騒音が気になる場所には据付けないでください。
B 低周波音の低減及び表示の在り方の検討については、…「低周波音の低減と表示の在り方WG」を設置。公益社団法人日本騒音制御工学会の協力を仰ぎつつ、低周波音の低減に効果的な装置等の情報収集及び検討を実施中。
(2)健康症状発生時の対応
D 一般社団法人日本冷凍空調工業会において、…、対応フローを作成中。作成にあたっては、当事者間の関係が複雑で、同工業会や製造事業者単独での対応が難しい場合の対応について、消費者生活センター等との協力を消費者庁を通じて確認中

平成28年1月通知(経済産業省)[PDF:170KB]
 丸投げされた「日本冷凍空調工業会」は実際どこまでやるのか。「据付け」方だけで解決できる問題じゃないことはご存じのはず。欠陥と言っていけなければ、問題のある商品なのだ。エコ機器の多くは。特に
家庭用ヒートポンプ給湯機は。たかがお湯を沸かすだけのために、一見のお得感だけ(決しておトクじゃ無いよ)のために何でこんなに大型=高価な商品が必要なのか。

B「協力を仰ぐ」のが、公益社団法人日本騒音制御工学会であれば、何も出てこないであろう事はこれまでに既に実証済み。

D「当事者間の関係が複雑」なことなど全然無い。単に加害者と被害者があるだけ。「複雑」なのは、”加害者”「当事者間の関係」ないしは、関係官庁であろう。「消費者生活センター等との協力」が何をもたらすのか?
 環境省   1.参照値は、固定発生源(ある時間連続的に低周波音を発生する固定された音源)から発生する低周波音について苦情の申し立てが発生した際に、低周波音によるものかを判断するための目安として示したものである。
2.参照値は、低周波音についての対策目標値、環境アセスメントの環境保全目標値、作業環境のガイドラインなどとして策定したものではない
3.心身に係る苦情に関する参照値は、低周波音に関する感覚については個人差が大きいことを考慮し、大部分の被験者が許容できる音圧レベルを設定したものである。
なお、参照値は低周波音の聴感特性に関する実験の集積結果であるが、低周波音に関する感覚については個人差が大きく、参照値以下であっても、低周波音を許容できないレベルである可能性が10%程度ではあるが残されているので、個人差があることも考慮し判断することが極めて重要である。

通知(環境省)(環境省サイト)
 (1) 低周波音の人体への影響に関する研究の促進( 意見(1 ) C )消費者安全調査委員会からの意見( 1 )C も踏まえ、引き続き、低周波音の人への影響等について最新の科学的知見の収集に努めてまいります。
(2)…。地方公共団体の環境主管部局を対象とした「低周波音測定評価方法講習会」において、参照値以下であっても慎重な判断を要する場合があることについて詳細に説明しており、平成27 年度に開催している講習会(平成27 年12 月から平成28 年1月にかけ6回開催) においても、その旨周知しているところです。

平成28 年1 月通知(環境省)[PDF:91KB]
 「消費者安全調査委員会からの意見( 1 )C」は「最新の科学的知見」にはならないのか!

「(末端行政にまで)その旨周知している」のであれば、少なくとも、行政での環境担当窓口での「参照値以下」での”被害者切り捨て”は無くなるのでしょうね。

 と言うより、そもそも、「近隣騒音問題は民民問題なので行政は立ち入らない」という騒音問題、なかんずく低周波音問題に関する”門前払い”そのものが無くなるのか。
消費者庁  各地方公共団体において、低周波音の測 各地方公共団体において、低周波音の測 定等の 実施状況は異なりますで、以上等の 実施状況は異なりますので、以上事例を参考にしつ、各地方公共団体の 事例を参考にしつつ、各地方公共団体の 環境担当等と連携し、相談に御対応 いた だきますようお願します。
また、調査報告書の概要及び一般社団法人日本冷凍空調工業会の据付けガイドブックを送付いたしますので、ご参考にして下さい。
併せて、併せて、本事務連絡 の内容につ きましては、貴地方公共団体管内の関連部局及び市、貴地方公共団体管内の関連部局及び市 区町村へもご周知くださいますよう、 お願いたします。 通知(消費者庁)[PDF:132KB]
 地方公共団体の消費者行政担当部局宛に通知を発出し、ヒートポンプ給湯機に関連する相談対応に資する情報を周知するとともに、地方公共団体の環境担当と連携して、適切に相談対応を行うよう要請したところです。
具体的には、調査委員会の報告書概要を送付するとともに、相談者の環境改善につながった相談対応事例として、「据付けガイドブックを相談者に提示し、相談者がガイドブックを持って隣家に示したところ移設が実現した事例」や「地方公共団体(環境担当)が相談者宅の低周波音を測定したところ、参照値を上回る低周波音を確認し、所有者に説明したところ移設が実現した事例」を周知し、これらの事例を参考にして、相談対応を行うことを求めました。
現在、相談対応に資する情報について、地方公共団体消費者行政担当部局に追加的に提供すべく、現在、経済産業省、一般社団法人日本冷凍空調工業会等と連携して検討を行っているところです。 
通知(消費者庁)[PDF:71KB]
「ヒートポンプ給湯機に関連する相談対応に資する情報を周知するとともに、地方公共団体の環境担当と連携して、適切に相談対応を行う」と言うことであれば、

エコキュート騒音関係の被害については、これからは、「地方公共団体消費者行政担当部局」に相談した方が良いのか。

「据付けガイドブックを…移設が実現した事例」、「地方公共団体(環境担当)が相談者宅の低周波音を測定したところ、参照値を上回る低周波音を確認…移設が実現した事例」など。
 
 こんな待ってましたなんて事例があるとは、消費者庁がこんな素晴らしいとは是非とも事例を具体的に提示してもらいたいとともに、「民民問題を門算払い」の環境関係窓口よりこちらにお願いすべきですね。
 でも、滅多に無い「参照値越え」が有るなんて、余程非道い施工がなされていたのでしょうか。しかし、行政がその気になって調査すれば、もっと他にたくさんの事例が出て、問題が解決されそうですが。
  公害等
調整委員会
 報告書では、家庭用ヒートポンプ給湯機から生じる運転音に含まれる低周波音が健康症状の発生に関与する可能性を否定できない事例があること、地方自治体の対応が一様でないこと等が指摘されています。
また、意見においては、当委員会に対し、紛争となった場合の地方公共団体における適切な苦情処理対応について検討を行い、地方公共団体に対して指導、助言を行うこととされており、当委員会では、意見を踏まえた対応について検討しております。
貴職におかれましては、報告書の趣旨に留意し、引き続き公害苦情処理に適切に御対応いただくとともに、管下市区町村に対しても報告書について周知くださいますよう、よろしくお願いいたします。

通知(公害等調整委員会)[PDF:125KB]
 地方公共団体に周知を行ったほか、都道府県の公害苦情相談担当部局の職員に対しては平成27年度公害紛争処理関係ブロック会議において、市町村の公害苦情相談担当部局の職員に対しては平成27年度公害苦情相談員等ブロック会議において、それぞれ消費者安全調査委員会からの意見の問題意識を再度周知しました。
また、公害等調整委員会は、公害苦情の事例のとりまとめを行っており、家庭用ヒートポンプ給湯機による騒音の事例も含め、今年度中に、地方公共団体の業務の参考とすべく事例集を地方公共団体に送付する予定です。

平成28年1月通知(公害等調整委員会)[PDF:64KB]
「消費者安全調査委員会からの意見の問題意識を再度周知。」だが、

「参照値」以下を裁定で跳ねまくっているご本尊の「委員会」こそ「周知」すべきではないか。

「今年度中に、地方公共団体の業務の参考とすべく事例集を地方公共団体に送付する予定です。」

裁定で、「参照値以下」として跳ねまくった「事例集」を送付するのかな。

 他の省庁の対応はよく解らないが、これまで自分的に「フォローアップ」しているつもりの環境省の対応は、これまでと全く変わりません。「やってます」と言うだけで、1年間の経過は単に他関係者と時期を合わせただけなのでしょう。報告書を受けた、「当事者間の関係」が複雑なのでしょう。どう歩調をそろえるかということでしょう。いずれにしても、これからだけで無く、これまでの被害者に対して、何らかの実質的効果が有ると良いのですが…。

160206


 こうした関係省庁の「フォローアップ」に対して、消費者庁も満足しているわけでは無く、エコキュート関係に関し以下のように述べているようです。

記者会見要旨 (平成28年1月22日(金)16:35〜17:04 於)消費者庁6階記者会見室)
1.発言要旨

2.質疑応答

朝日新聞の重政です。
今のとは全く関係ないのですけれども、1年前にエコキュートの低周波問題についての報告書が出ましたが、その中でも自治体に適切な苦情処理をするようにというような内容が盛り込まれていたと思うのですが、聞いてみると、なかなかそういうような対応をしている自治体というのは現状では少ない。ある意味、報告書の趣旨が無視されているようなことが続いているのですけれども、そのあたり、どのようにお考えでしょうか。
畑村委員長

私ではなくて、そちらからでいいと思う。

事務局

エコキュートの件ですけれども、本日、意見を出した省庁からフォローアップの書面をいただいていまして、それについて事務局からお話しさせていただいたのですが、そこで現場が変わったかという視点、今仰ったことは多分そういうことですね。そういうことについて、まだいただいたフォローアップで十分ではないところもありましたので、今後、また情報収集、現場がどうなっているかについても、こちらで情報収集していきたいと思っています。

そもそも低周波を調査するための機器を持っていない自治体がかなり多い現状がある。そこら辺についても、報告書の中ではそういうのをしっかり支えなさいみたいな話ではないのですけれども、そこら辺がないと結局、この状態というのは続きそうな感じなのでしょうか。どうなのでしょうか。
事務局

御指摘の点については、我々も報告書を出して1年間経って、事業者団体によるいろいろな設置方法の注意とか、そういうパンフレット等の対策が進んでいるものもあります。進んでいないところもあるのだろうと思います。それを委員会としてもフォローアップしていただいて、今後対策をより深化させていく。そういう方向で委員会としても努力をしていただくということになるのだろうと考えております。
確かにこのヒートポンプの案件は、特に低周波音というのはなかなか対処しづらいものでもありますので、今回この委員会でフォローアップをしたというのも、なかなか対処が難しいのだろうなというのを想定した上ででもあるのですけれども、そういう意味で、今後フォローアップをしながら、より対策の深化を図っていくように努力したいと思っております。

今の件です。このヒートポンプの、報告書として出たものに対する各省庁の対応の報告が今日あったということでしょうか。
事務局

報告書の中の重要な一部として関係省庁に対する意見というパーツがありまして、その意見への対応状況の報告ということです。

160217


最後まで読んでくれてありがとう


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