続 和歌山県由良町:風力発電低周波健康被害私論 2/6

究極の静けさの中で微かに聞こえる風車音

研究室よりも理想的な低周波音長期暴露"人体実験"


 後方 :風車群 右 国道36号線 写真と内容とは直接関係ありません

3.「指針値」とは

 「比較して当該地は問題なし」とした「比較した指針値」とはなんであろうか。適用された数値から見るに、「環境基本法(平成5年法律第91号)第16条第1項の規定に基づく騒音に係る環境基準に依るモノであろう。
一部を下記に記すが、詳細は上記サイトを参照されたい。

第1 環境基準

1 環境基準は、地域の類型及び時間の区分ごとに次表の基準値の欄に掲げるとおりとし、各類型を当てはめる地域は、都道府県知事(市の区域内の地域については、市長。)が指定する。

地域の
類型

基準値

昼間

夜間

AA

50デシベル以下

40デシベル以下

A及びB

55デシベル以下

45デシベル以下

60デシベル以下

50デシベル以下

(注) 1 時間の区分は、昼間を午前6時から午後10時までの間とし、夜間を午後10時から翌日の午前6時までの間とする。

  2 AAを当てはめる地域は、療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域など特に静穏を要する地域とする。

  3 Aを当てはめる地域は、専ら住居の用に供される地域とする。

  4 Bを当てはめる地域は、主として住居の用に供される地域とする
  5 Cを当てはめる地域は、相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域とする。

 ただし、次表に掲げる地域に該当する地域(以下「道路に面する地域」という。)については、上表によらず次表の基準値の欄に掲げるとおりとする。

地域の区分

基準値

昼間

夜間

A地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域

60dB以下

55dB以下

B地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域及びC地域のうち車線を有する道路に面する地域

65dB以下

60dB以下

備考

 車線とは、1縦列の自動車が安全かつ円滑に走行するために必要な一定の幅員を有する帯状の車道部分をいう。
この場合において、幹線交通を担う道路に近接する空間については、上表にかかわらず、特例として次表の基準値の欄に掲げるとおりとする。

基準値

昼間

夜間

70デシベル以下

65デシベル以下

備考
個別の住居等において騒音の影響を受けやすい面の窓を主として閉めた生活が営まれていると認められるときは、屋内へ透過する騒音に係る基準(昼間にあっては45デシベル以下、夜間にあっては40デシベル以下)によることができる。

2 1の環境基準の基準値は、次の方法により評価した場合における値とする。

1) 評価は、個別の住居等が影響を受ける騒音レベルによることを基本とし、住居等の用に供される建物の騒音の影響を受けやすい面における騒音レベルによって評価するものとする。
この場合において屋内へ透過する騒音に係る基準については、建物の騒音の影響を受けやすい面における騒音レベルから当該建物の防音性能値を差し引いて評価するものとする。

(2) 騒音の評価手法は、等価騒音レベルによるものとし、時間の区分ごとの全時間を通じた等価騒音レベルによって評価することを原則とする。

(3) 評価の時期は、騒音が1年間を通じて平均的な状況を呈する日を選定するものとする。

(4) 騒音の測定は、計量法(平成4年法律第51号)第71条の条件に合格した騒音計を用いて行うものとする。この場合において、周波数補正回路はA特性を用いることとする。

(5) 以下略

 

と言うことであり、当該地は、時たまの交通騒音以外基本的に騒音の無い地域であるためかor市部ではない、町であったためか、都市計画地外なのであろう、環境基準適応外地域であったようだ。ただ単に道路に面しているというだけで、「道路に面する地域」という以下の指針値が適応された様だ。 

A地域のうち2車線以上の車線を

有する道路に面する地域

60デシベル以下

55デシベル以下


4.究極の静けさの中で「人体への低周波音長期暴露」進行中

 さて、次にそもそも、各電機メーカーがことあるごとに、「機器の静かさ(けさ)」に例としてしばしば上げる「図書館並みの静けさ40dB」とはそもそもどのくらいの静けさなのであろうか。同程度の静けさとして、「市内の深夜、静かな住宅地の昼」とされているが、それが静かだと思う人は、T家室内の今回の測定に依る「昼間26dB、夜間24dB」と言う驚異的な静けさを想像することが出来るであろうか

 測定者お得意の「一般的な住宅内に存在するレベル」では、基本的に更に、それなりの「ゴー」「ドー」と言うような背景的騒音(暗騒音=対象音がない時の騒音)があるのが普通だが、ここには、それもなさそうな騒音レベルで言う「無音」の世界の様である。従って、こうした環境に、「一般的な住宅内に存在するレベル」と言う「市内」的感覚を当てはめ、”だから大丈夫”等と言うこと自体、「本当の静けさ」と言うモノをしらない輩の無礼千万な烏滸がましい言い方である事を認識すべきであろう。

 さらに、報告書は「誰も感じることはできない」としながらも、現地の測定者は、「風力発電機の音は、車の走行がない時間に微かに聞こえた」としており、それは”聞こえても感じない”と言うことなのか。それとも測定者は「誰もと言う”人”」に入らないのか、不思議な報告書である。

 当該地に於いて「車の走行」が有る時と無い時とどちらが多いのか。国交省の平成22年度「道路交通センサス」で交通量を見ると、詳細的には結構異なるが、当地の状況から想像するに、夜間は、「車の走行」は少ないようである。とすれば、夜間はほとんど騒音らしきモノはなはずだ。とすれば、「微かな風車音」は、こうした最高に恵まれた音環境に暮らしてきた人たちには、「聞こえ、感じてしまう異音以外の何物でも無い」はずだ。それが解れば、何故に、「微かな風車騒音」ごときで、長年住み慣れた我が家を去ったり、”騒音”に苦しんだりしなくてはならないのか、”低周波音の専門家”の先生方にも理解でき様はずだが、それが相も変わらず、「科学的知見が無い、無い」ばかり宣う。それは一に単に風車騒音被害現場を知らず、想像力が無いだけとしか言いようが無い。

 風車に限れば、風車による自宅周辺の測定できる音圧(=騒音)は低いであろう。しかし、「一般的な住宅内に存在する」電気機器などが発する低周波音のように、時間は限られており、さらには、他の部屋に居れば聞こえないような冷蔵庫などの低周波音とは根本的に、「距離による減衰」を差し引いても、そもそもにおいて、強大な空気振動エネルギーを発する風車という騒音源の、空気振動が断えること無く”微かに”浴びせられ、それを「微かに感じ、聞き取る」訳で、それが耐えられないと言うことであろう。

 これは将に、「もし仮に影響があっても回復の手段が見込めないために、人体実験は行えない」という、「低周波音の人体への長期暴露実験」が風車騒音被害の各地で、堂々と行われているわけだ。もちろん、「実験用マウス」ではない「人」は苦しさの余り、まずは、窮余の策として、当該地から避難するしかないような状況にまで追い込まれる程の、健康影響があるのだが、それにも係わらず「健康影響を及ぼす可能性は極めて低い」などと「報告」できるのは、一体全体、それこそ、いかなる「医学的、科学的知見」に基づいて、同時に、「病気である」と言うのが医師であるように、如何なる資格で「健康影響を及ぼす可能性は極めて低い」」と言えるのであろうか。


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